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2007年2月19日 (月)

個人にとってのALM(2)

昨日、「個人にとってのALM」でご紹介したように、ご自身にとっての負債(Liability)は何かを考え、それに出来るだけマッチした資産(Asset)ポートフォリオを考えることが、個人にとってのALM(アセット・ライアビリティ・マネージメント)の出発点になると思います。

例えば、借金もローンもなく、子供も巣立って、自身の将来の生活費のみを考えればよい年金のみ収入の人を考えてみます。国と企業年金で不足する額が毎月10万円で、仮に余命が20年だと置くと、

不足額月額10万円×12ヶ月×20年=2400万円

となりますので、現在2400万円の資産を持っているとしたら、この時点でご自身の資産と負債は等しく、マッチしています。(A=Lの状態)

では、これを将来においてもA=Lが維持し続けられるようにするにはどうしたら良いかと考えたときに、前回ご案内したようなインフレ連動債券が存在すると非常に都合が良いのです。

すなわち、仮にこの人が2400万円をインフレ連動債券に投資したら、将来インフレが起こってもデフレが起こっても、将来の生活に必要な実質購買力は保たれている状態を維持し続けることができます。

インフレが起こったら、将来生活に必要な額が増えます(負債Lの増加)が、他方、インフレ連動債券に投資している資産額(A)も論理的に同額だけ増えるので、A=Lの関係が保たれるのです。

上記は、非常に単純な例で、これほど単純な状況にある人は実際にはいませんが、自身の負債(Liability)に着目して、それに見合った資産を持つことにより、将来、資産が負債を下回ってしまうリスクをコントロールするのは、実は企業においてはごくごく当たり前のリスクマネージメントの初歩であり、個人においてもこのような発想を出発点にして、どういった資産運用を行っていくべきかを考えていく必要があると思います。

この出発点から、例えば

-国の年金がインフレをキャッチアップできるかどうか、あるいは現在の年金水準を維持できるかどうかが疑わしいので、インフレ連動債投資額を増やす。(インフレ連動債の代わりに個人向け10年国債で代用する。)

-現在の資産残高が2400万円もないので、将来の負債をまかなうために、働けるうちにもう少し働いて資産を積み上げる。あるいは、よりインフレ抵抗力がある株式、不動産等に一部投資する。

-日本国の債券への集中投資は不安。そこで、一部はUSドル、ユーロといった外貨の投資に振り向ける。

-平均の余命よりも長生きする可能性もあるので、生命保険会社の年金商品(終身年金)に一部資金を振り向ける。

といった、個人個人の都合や状況等に応じた様々な応用をしていくことにより、個人にとってのALMは実現していくものと思います。

「元本を失いたくないので元本保証」といった短絡的な判断で金融商品を購入し、実は手数料をぼったくられて資産はろくに増えず、また解約不能な商品で身動き取れず、かつ満期にはインフレが進んでいて、帰ってきた資金の実質購買力は地に落ちているなんて目にあわないよう、金融に関するリテラシーをアップさせていきましょう。

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