個人にとってのALM
以前に何度も書いていますが、「自分にとって何が本当のリスクか?」ということに真剣に向き合わないと、容易に元本保証や表面利率の高さにつられて、金融機関にだまされることになってしまいます。
運用資金は墓にいっしょに現金で埋めてもらうつもりでない限りは、ご自身あるいは遺族がモノに換えるために存在しているものですから、その実質購買力の維持拡大が究極的な資産運用の目的であり、その実質購買力の喪失危険のあるナンセンスな商品が「見える」ようになることが、自立した「投資者」、ご自身の資金の「運用者」となるためにはぜひとも必要なことだと思います。
実は海外では、このような資金の実質購買力ヘッジのために、ある意味理想的な投資ビークルが、海外の投資家向けに存在しているという話をしたいと思います。
それは、「物価連動国債」あるいは「インフレ連動国債」と呼ばれる、国が発行する債券です。通常のこのタイプの国債は、CPI(消費者物価指数)の増加に合わせて、債券の元本とクーポンが同一の比率で増加していくしくみになっており、CPIで測った将来のインフレ率を超えるリターンがあらかじめ確保されているという、ある意味優れものの債券です。
例えば、米国の証券会社口座を開設すれば、債券が買える証券会社であれば、米国のインフレ連動国債を買うことができます。またこれらの債券で構成されたETFも存在し、債券が買えない証券会社でも下記のようなETFを買うことにより、米ドル建てでのインフレヘッジが可能です。
http://quicktake.morningstar.com/etfnet/Snapshot.aspx?Country=USA&Symbol=TIP&fdtab=snapshot
このような債券は、米国、ドイツ、オーストラリアと言った先進各国で発行されています。
日本では、インフレ連動国債は日本国が発行しているのですが、現状では機関投資家向けのビークルであって、個人投資家が買うことはできないようです。なので、インフレ連動国債でファンドを組成して、個人向けに販売している投資信託会社があります。ただ、残念なのが信託報酬が1%近かったりして、あまり魅力的なファンドになっていないところです。
表題のALMはアセット・ライアビリティ・マネージメントを意味します。すなわち、個人の主なL(ライアビリティ:負債)は将来のご自身の生活コスト等のモノの価格なのですから、個人のA(アセット)はその負債にマッチするような資産ビークルで投資するのが、最もリスクの少ない投資ポートフォリオであって、それが個人のアセット・ライアビリティ・マネージメントのスタート地点ではなかろうかと考えます。
日本国もそのあたりをきっちり考えて、個人向け投資教育をしながら、個人向けに魅力的な物価連動国債を提供するくらいのことをやってほしいものです。
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