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2007年2月15日 (木)

仕組預金の罠

最近は様々な銀行で、いわゆる仕組預金と呼ばれる、デリバティブを内包した預金商品が売られているようです。

この商品の典型的な特徴は、預金満期を顧客ではなく、銀行側が決めるというところにあります。すなわち、将来の市場金利状況によって、あらかじめ提示した条件で継続したほうが有利か、それとも継続せずに満期にしてしまって預金終了させたほうが有利かを「銀行が」判断し、実際の預金満期が事後的に確定することになります。

いわば、銀行側が事後的に有利なほうを選択できる権利を顧客から買い、顧客側はその価値ある権利を銀行に売り渡し、その見返りとして報酬(オプション料)を得る、典型的なオプション取引になっています。

顧客が得るオプション料は、この仕組預金の場合は、通常の預金では得られない追加的な上乗せ金利となります。仕組預金を買いたいお客は、通常の預金よりも高い預金金利を目当てにしているものと思われます。

正当なオプション取引であれば、両者の取引される潜在的価値は取引時点では同一であり、どちらが結果的に得するかはある意味フェアな丁半ばくちの形になっているはずで、その取引自体になんら問題はありません。

問題の1つは、販売側と購入側には明らかな情報格差があって、このような一般個人を対象とするデリバティブでは、購入者が圧倒的に不利な条件になっていることが通例であることです。通常のこのようなリテール商品では、私の経験上は、そのオプションにかかる支出とそのオプションから得られる収入の比は60~70%程度であることが多かったです。この比率を返戻率と呼ぶことにしましょう。

これらのオプションを一種の投機だと見ると、同じく投機のパチンコの返戻率は90%程度といわれています。これが宝くじの場合、50%程度と言われます。

簡単に言えば、1万円を握り締めてパチンコに行くと、帰りの財布の中身は平均的には9千円になっているということを意味します。仕組預金のオプションはそのパチンコより圧倒的に不利な賭けになっている可能性が高いのです。

すなわち、銀行等の金融機関で仕組預金取引をするということは、預金金利の一部で、パチンコよりも圧倒的に不利で、宝くじよりはましなばくちをするのとあまり変わらないということになります。

まあ、確率的に負けていくことが半ば運命付けられたパチンコや宝くじを楽しむ人が世の中にはたくさんいることを考えれば、預金商品の中に非常に不利なばくち要素が入っていることがあながち問題とは言えないのかも知れません。

もう1つの問題は、「元本保証とインフレリスク」のところでも以下のように書いた、

「投資をする人はいつの時代も名目の価値保全には異常に執着する傾向がありますが、自身の将来の生活コストに関係する実質価値保全にはとんと興味を示さないどころか、名目価値保全のために実質価値を失っていくリスクを平然と取ってしまう傾向にある」

という、非常に数多くの人の「実質価値保全よりも名目価値保全にこだわってしまう愚」に関係する心理を、金融機関が利用していると思われることです。

例えば、今現在の1万円が一年後に確実に1万500円に増えて、元本を失うことのない商品を選ぶとします。

この商品を買えば一年後には必ず増えて帰ってくるとしても、実質価値が保全されているかどうかはわかりません。1年前に1万円で買えた商品が、極端な話、2万円に値上がりしているかもしれません。

通常の人は、お金という紙切れを墓場に持っていきたいわけではなく、お金と引き換えに、生活物資その他のモノを買うためにお金を管理しているのですから、1万円が1万500円に確実に増えたとしても、その間にモノの価格が2倍に跳ね上がってしまっては、生活者にとって大きなリスクに直面してしまいます。

すなわち、1万円が元本割れせずに確実に1万500円になる商品よりも、モノの価格が2倍になったときは、確実に1万円が2万円以上に増え、モノの価格が半分になったときは、確実に1万円が5千円以上で帰ってくる投資ビークルの方が、生活者の将来生活リスクはヘッジされているので、安全な商品であるはずです。

同じことが上記の仕組預金にも言えます。将来、市場金利が異常に上がって物価も上がってしまうケースを想定した場合、仕組預金に投資してしまっていたら、銀行に有無を言わさず満期を延長されてしまい、周りの人がもらう金利水準よりも低い金利で我慢しなければならなくなり、またその間、どんどん物価が上がって投資金の実質購買力がどんどん下がってしまうのを、ただただ指をくわえて見ていることしか出来なくなります。

お金の額面が減るのがリスクか?それとも以前買えた必要なモノが買えなくなってしまうことがリスクか?をしっかり考える必要があります。そうしなければ、銀行をはじめとする鵜の目鷹の目の金融機関にあざとく誘導され、わざわざ本当のリスクでないものを重要と錯誤し、パチンコよりも不利なばくちにお金を捨て続ける愚を犯すことになってしまいます。

くれぐれもご注意ください。

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