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2007年3月19日 (月)

インデックスファンドがベンチマーク通りに回らない理由

前回、日本の海外株式ファンドの実力について、モーニングスターのHPのデータを用いて実際のパフォーマンスを比較することで調べました。

http://max999.cocolog-nifty.com/blog/2007/03/post_5273.html

そこで定石どおり、コクサイのカテゴリーで7つのインデックスファンド集団が、たった1つのアクティブファンドを除いて、他のすべてのアクティブファンドに勝利している姿を確認することができました。

でも・・・、と不満を感じられた方も中にはおられたかもしれません。これら7つのインデックスファンドの平均パフォーマンスを計算すると6.89%でした。一方でこれらインデックスファンドがベンチマークとするMSCIコクサイのパフォーマンスは8.43%です。実に1.54%もアンダーパフォームしています。なぜ、このような結果になるのでしょう?インデックスファンドはベンチマークを正確にトラッキングするファンドではなかったのでしょうか?

実は海外株式インデックスファンドがベンチマークにパフォーマンスで大きく劣後する要因がいくつかあります。今日はこれらの要因についてお話したいと思います。

1.まず最初に考えなければならないのが、信託報酬です。例えば中央三井外国株式ファンドの場合は0.84%の信託報酬がかかります。ファンド自体ができるだけベンチマークを複製するように運用しますので、このようなフィー徴収の分だけベンチマークにパフォーマンス劣後します。

2.外国株式ファンドで考えなければならないのは、それぞれの国において配当金にかかる外国投資家への源泉徴収税です。海外ETFの配当金と税金のところでも説明しましたUSでの配当金への10%の源泉税徴収と同じ事象です。通常、2国間の租税条約で国外の投資家への配当金支払いの場合の源泉徴収税率が定められており、その水準は国家間ごとに異なるようですが、だいたい10%から20%程度のようです。例えば、ファンドの所有株式の平均配当率が3%で源泉徴収率が10%の場合、3%×10%=0.30%だけ、各国への源泉徴収税の支払いのため、パフォーマンスが落ちます。

3.ファンドの受託銀行は日本の信託銀行がなるのが通常ですが、扱っているのが世界中の株式ですので、その先をたどっていくとさらなるカストディ(資産管理を行う業者)が介在することになっているものと思われます。日本株式のファンドのように系列の証券会社が会員となっている証券取引所で資産の売買がすべて事足りるわけではないので、最終的には世界の証券取引所の会員となっている業者に取引がつながれて、その株式資産も電子的な形ではあってもそれぞれの末端のところで保有の記録がなされているはずです。このような状況を支えるために、日本資産に投資するよりも多くの関係者へのコスト支払いがかさむ構造となっていることが、容易に推測されます。また、この手のコストはいわゆる管理コストですので定額制の要素が強く、残高の少ないファンドにおいては特に負担が非常に重くなっていて、パフォーマンスを大きく削る1要素となっているのではないかと思います。

4.これは3の要素にも出てきたポイントですが、残高の少ないファンドにおいてインデックスファンドのトラッキングエラーを小さくしようとすると、インデックスのすべての銘柄をインデックスの通りに買う事はとても不可能で、いきおい、主要な国の主要な大型株を買うことで終わりになってしまうことが多いものと思います。ここで思い出していただきたいのが「大型株よりも小型株のほうがパフォーマンスが良い」という一般論です。インデックスファンドとしてベンチマークからのトラッキングエラーを最小にすることを宿命付けられたファンドは、ファンドの残高が十分なければインデックスを正確に複製することは難しく、しかも流動性があって買いやすくトラッキングエラーも発生しにくい各国大型株で構成されたファンドは必然的にベンチマークにパフォーマンス劣後しやすい状況となります。

残念ながら私は投資信託業界の人間ではないので、上記の要素についてはかなりの推測が混じっており正確なものではないかもしれません。しかしながら、実際、日本の海外株式インデックスファンドのリターンはベンチマークに大きく劣るのが通常で、またその要素のいくつかは構造的なものです。

なので、日本の海外株式インデックスファンドが信託報酬水準を大きく越えてベンチマークに劣後するのは、ある程度までは必要経費と思うべきかもしれません。またそれでも、アクティブファンドのパフォーマンスに比べたらずっとましですし。

一方、これが米国の投資信託であったら、米国市場のETFであったらどうなるのか、私にも詳細はわかりません。しかしながら、世界最大の証券市場である米国市場を本拠地としたファンドやETFであれば、2,3,4の各要素において、それぞれにある程度の改善が見られるのではないかとの期待があります。今後のパフォーマンス推移等を注意深く見ていこうと思っています。

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