海外証券口座の為替リスク
海外証券口座に関係する話で、為替リスクに関してよく誤解しがちな点があります。
1.米国証券口座を開設し、円をドルに換えて送金。そのドル資金でドル建ての中国株式ETFを購入。この投資にドル円の為替リスクは存在する?
2.ルクセンブルグの証券口座を開設し、円をユーロに換えて送金。そのユーロ資金でユーロ建てロシアファンドを購入。この投資にユーロ円の為替リスクは存在する?
3.米国証券口座を開設し、円をドルに換えて送金。そのドル資金でドル建ての日本株式ETFを購入。この投資にドル円の為替リスクは存在する?
答えはすべてNoです。(ただし、円を他通貨に換えてから資産購入までの為替変動は考えないものとします。)
これ、簡単なようで、結構あちこちでこんがらがった記載等が見受けられますので、題材としてみました。
他人のことは言えず、自分もたまにこんがらがることがあります。例えば、今度のG7においての米国サイドのドル安要請といったニュースを聞くと、
ドル安⇒円高⇒米国証券口座資産減少
と、つい連想してしまいます。でもこのうち、2番目の⇒が厳密には正しくないのです。米国証券口座で投資していても、かなりの部分がETFを通じて米国以外の他の国の株式へ投資されているので、対USドルでの円高、円安はその米国以外の国への投資部分においては全く影響を及ぼさないのです。それらの部分については、例えばユーロMSCIに投資している部分はユーロ円の、英国に投資している部分はポンド円の影響を受けるのです。
そうです。このような投資で、本質的にどんなリスクを取っているのか簡単に判断するには、途中を省略して最初と最後だけ考えればよいのです。例えば、上記の1の例では、日本円資金を拠出して、中国株式を購入したのですから、中国元と日本円の為替リスクと中国株の中国元ベースでの資産価格変動リスクを有していることになります。
同じように3の例を考えて見ると、日本円資金を拠出して日本株式を購入していますので、なんら為替リスクを取っておらず、取っているリスクは日本株式の円ベースでの資産価格変動リスクのみです。
わかる方にとってはなんでもないことなのですが、海外証券口座で投資をしていて、取っている為替リスクについてついこんがらがってしまう場合には、このような判断の仕方が役にたつと思います。
(後日、リクエストにお応えして、上記で述べたような構造を実際の計算でお示しした追加のエントリーを書いています。以下をご覧ください。)
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コメント
海外投資における為替リスクがよくわかりません。自分で具体的な数字を当てはめて計算してみたりしたのですが、たとえば例題1の場合、なぜ円対中国元の為替リスクが存在し、円対ドルの為替リスクが存在しないのか、理解できないでいます。
もしよろしければ、具体的な数字で仕組みを説明していただけないでしょうか?
当方、ブログにコメントするのはこれが初めてで、ブログにおけるルールを知らないため、このような稚拙なお願いをコメントに書いてよいかどうかわからなかったのですが、もし失礼でしたら申し訳ありません。
投稿: ひい | 2007年7月 7日 (土) 00時20分
ひいさん、はじめまして。
為替のリスクの件、承知いたしました。数値例をお示しすると、このコメント欄では長くなってしまいますので、新たにエントリーを立てて、そこで計算例をお示ししようと思います。
1日2日お待ちいただいて、当ブログのトップエントリーでその内容をご確認いただければと思います。
以上、よろしくお願いいたします。
投稿: VMax | 2007年7月 7日 (土) 17時08分
お引き受け下さって、ありがとうございます。
よろしくお願いいたします。
投稿: ひい | 2007年7月 8日 (日) 16時35分