« 通貨分散 | トップページ | ホームバイアスという障害 »

2007年4月29日 (日)

ベトナム株投資のあれこれ

特にベトナム株投資をやるつもりもさらさらないのですが、最近ブログの世界でもベトナム株が騒がしく、ちょっと気になりましたのでその様子を調べて見ました。

ダイヤモンドZAIの6月号にも新興国の特集があって、ベトナム株式についてもまとめてありましたので買ってみました。

この雑誌によると2006年下旬から2007年初旬にかけてベトナムVN指数は約2倍(指数値は1200弱)にまで成長しています。(この雑誌、完全にあおってますね。)

では、足元どうなっているかなと調べると

http://viet-kabu.com/stock/vnindex.php

なんと指数は923.89まで落ちていました。(2007年4月25日現在)

どおりでベトナム株関連ブログがいま騒がしいわけです。

とは言え、この規模の新興国に証券口座を作って資金を突っ込むのだから、25%程度の下落は十分計算内で覚悟の上だろうと思います。

次に、この雑誌の記事の最後で挙げられている日本の証券会社で買えるベトナム株ファンド(除く他国を含むバランスファンド)のうち、半年程度ですが運用実績のあるファンドを選んでその内容を調べて見ました。(ここではその名前を具体的に挙げないことにします。)

直近大きく下げたとはいえ、2006年下旬から2007年初旬までの指数の高パフォーマンスを考えれば、その投資信託も2倍近くに増えているはず、と考えて運用報告書を覗いてみると、2006年10月5日運用開始で設定来騰落率は、なんと12.28%!

えっ、1桁少ないんじゃないの?と思って運用報告書をよく見ると、運用資産の現金比率にその理由がありました。なんと、現金比率が70.9%もあるのです。ヒストリカルに調べて見ても、常に現金比率が60~80%のレンジで推移しています。

これじゃあ、ベトナム株式市場の年末年始の2倍のパフォーマンスを享受できるわけないわなと納得。でも、まだわからないのが、なぜこのファンドはフルインベストメントしないのか?です。

ファンド概要に、この疑問に答える一文がありました。

「ベンチマークは定めず、絶対リターンを目指した運用を行います。」

とのことです。

どうも、割高のときには現金比率を高め、割安のときに現金比率を低める形の調整を行うファンドという触れ込みのようです。

この調整により、年末年始の2倍への急騰劇を見事に取り逃したようです。

でも、3割程度の資金がベトナム株に回っていて市場が2倍になったのだから、基準価格も3割増しになっていなければならないのに、2月の運用報告を見ても、実際は直近3ヶ月で12%程度しか上がっていません。

ほんとのところは、このファンドの規模(残高100億円強)が既にベトナム株式市場から見て大きすぎるのではないでしょうか。

ベトナム市場規模を調べてみると、以下のような情報がありました。

http://viet-kabu.com/news/general/051222101113.html

ちょっと古い記事ですが、2005年12月時点のベトナム証券市場の時価総額はわずか3000億円弱で、そのうち株式+投信の市場規模がなんと、350億円程度なのです。後で本屋で調べて見ると、2006年12月時点ではホーチミンで1兆円程度、ハノイで4000億円程度にまで市場規模が拡大しているとのことですので、株式+投信の市場規模も1000億円は超えてきているのだろうと思いますが、いかんせん小さな市場です。

また、下記の記事を見ても、1日の市場取引総額よりも、このファンドの規模の方がすでに大きいことがわかります。

http://www.viet-kabu.com/news/general/070425082131.html

上記ファンドはベトナム市場自体が小さすぎて、自らの買いで値がつりあがるので、フルインベストメントしたくてもたぶんそれが困難な状況にあり、また自らの買いの力で株式購入価格がつりあがるので、市場の上がり幅の3分の1の上がり幅しか取れないのではと思います。

こんなファンドに投資した人はほんとかわいそうです。投資額のたった3割しかベトナム株式を買えていないのに、高額の信託報酬は資産全体にかかってしまいます。また株式投資部分からも市場の上がり幅の3分の1のゲインしか得られません。結果、ベトナム株式市場というリスクの高い市場に投資しながら、その市場指数の10分の1程度のリターンしか、このファンドの投資家は得ていないのです。

もし、資金が多すぎてベトナム株式市場で消化できないなら、新規投資資金の受付は停止すべきです。

あるいは、このファンドの謳い文句のとおり、本当に意図的にキャッシュポジションを調整しているとすれば、このファンドのその動的投資方針と能力により、年末年始の2倍の急騰劇を見事に取り逃したことになります。全くもって見事な運用能力です。

果たして、このファンドの購入者はこんな運用で満足しているのでしょうか。摩訶不思議です。

上記の雑誌には、ベトナム株投信の利点として、「情報のチェックを含め、お任せできる!」と書いてありますが、株式投資部分で市場の3分の1程度のパフォーマンスしか出せず、しかも市場の2倍への急騰劇の中、現金比率を6~8割に保ち、市場の上昇を見事に取りのがすファンドにはちっともお任せできません。

このようなファンドには近づかないのが身のためだと思います。また、平気でこんなファンドを取り上げる、この雑誌の記事もお粗末極まりないものと思います。読者の方もくれぐれも自分の目で見て確かめてから商品を買うようにしてください。

|

« 通貨分散 | トップページ | ホームバイアスという障害 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/202973/14871976

この記事へのトラックバック一覧です: ベトナム株投資のあれこれ:

» 郵便局の投資信託 [郵便局で投資信託 初心者の投資信託]
今、郵便局の投資信託が人気です。ゼロ金利解除で金利があがっている、景気が回復しているとは言うものの、預貯金の利息はまだまだ、低いものです。 [続きを読む]

受信: 2007年4月29日 (日) 15時36分

» 郵便局の投資信託ガイド [郵便局の投資信託ガイド]
郵便局の投資信託を分かりやすく解説いたします。 お得に賢く利用し、積極的に資産を運用するお手伝いをいたします。 [続きを読む]

受信: 2007年4月29日 (日) 17時33分

» ベトナム株投資の魅力 [ベトナム株へ投資 ]
ベトナム株投資の魅力は、市場経済(資本主義)の後進性と国家の将来性にあります。 [続きを読む]

受信: 2007年5月 1日 (火) 20時29分

» ベトナム株の紹介 [ベトナム株の入門]
経済発展の可能性、海外の金融機関進出に対する積極的な支援などが評価されたもので、これからのベトナム株の投資魅力になります [続きを読む]

受信: 2007年5月 2日 (水) 00時04分

« 通貨分散 | トップページ | ホームバイアスという障害 »