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2007年5月 7日 (月)

新興国株投資に対する態度

新興国投資に対する態度について、自分の考えをまとめておきたいと思います。

昨今のマネー雑誌の中で、例えば中国本土株50%、ベトナム株50%といった、一種クレイジーなポートフォリオが踊る中、新興国株比率について投資資産のごく一部に留めるべきだという至極まっとうな意見があり、それはそれで100%適切で有益な意見であると思います。

正直、中国本土株50%、ベトナム株50%なんてのは個人的には、ポートフォリオでも分散投資でもなく、競馬と競輪を半々で勝負してますという姿に見えます。(あくまで個人的私見です。)

個人的なスタンスとしては、投資ビークルの本質的価値に着目した投資を指向していますので、中国A株、ベトナム株といった株はいま、まさに本質的な価値を無視したマネーゲームが繰り広げられていると認識しており、そのような投資ビークルは個人的なスタンスの上では真っ先に避けるべき対象です。

こういった、個人的にある意味論外な選択はともかく、十分思慮のある賢い方々の投資ポートフォリオの中で、主に評論家が述べる「新興国への投資は資産のごく一部に留めるべきだ」という意見を100%鵜呑みにするのもどうかと思うのです。

上記のような一種クレイジーな新興国株群とは違って、香港上場中国株やその他のBRICs等を見ると、全く別世界の姿が見えてきます。PERが10倍以下、経済成長率が6%や8%という、割安度や成長性から見たら先進国ではあり得ないくらい恐ろしく魅力的な条件が、新興国投資においては容易に発見できます。

この、恐ろしく魅力的な投資条件の理由については、新興国特有の政治リスクや制度リスク等に起因する部分が大きいものと思いますが、逆に言うと、このリスクテイクにはその見返りとして、先進国の投資ではなかなかお目にかかれないほどのプラスアルファの大きなリターン期待値が内在しているということでもあると思います。

先日の「日本経済のリスク・プレミアム」の著書においては、過去50年のオーダーの分析により、日本株式マーケットの実際のリターンは、長期においてはファンダメンタルリターンにきれいに収束しているという統計分析結果が示されています。

そして、50年前といえば、日本も立派な新興国といってよいのではと思います。このいかにもディスカウントされていそうな敗戦国としての日本株のリターンは1950年代は破格でした。この著書からは日本株式は1951年から1960年までの9年間程度で軽く10倍になっていることが確認できます。

つまり、新興国の割安状態は長期においてはリターンで報われる可能性が高く、新興国ディスカウントは1つのねらい目なわけです。

新興国を含めた経済自由化の流れの中で、様々な新興国が大きく成長し世界経済の中で無視できない大きな経済規模を占めつつある中、なお先進国と比較して大きな新興国ディスカウントにさらされているのであれば、そのリスクの内容を十分把握し、そのリスクを先進国やその他の有望な分散投資案件で散らしながら、積極的に新興国ディスカウントを取りに行くのも、十分妥当な投資行動なのではないかと思います。

また、上記著書の中で、世界株式の時価総額における米国株式の比率は50%である一方で、米国の世界経済に占めるGDP比率は1990年現在では31%にしか過ぎないことが記されています。明らかにこれから新興国の世界経済規模に占める比率はどんどん上がっていく中で、あいもかわらず世界株式ポートフォリオの50%を米国株式に投資し続けてよいのでしょうか。答えはありません。しかしながら、私個人はモルガンスタンレーを全く信用していません。彼らは我々のポートフォリオのリスクリターンを最大にするためには行動してくれないからです。

識者が「新興国への投資は資産のごく一部に留めるべきだ」と言っているので、ポートフォリオの5%に押さえてますというのも、やはり一種の思考停止なのではないかと思います。

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