« タイミング投資をロードファンドでやる愚 | トップページ | ETF vs MutualFund »

2007年5月27日 (日)

バリュー株投資ビークルに乗る際の心構え

左のサイドバーで載せている世界バリュー株ファンドのPGVFXのアニュアルレポート(2006年12月)を見ていたら、このファンドとMSCIworldとの、長期パフォーマンス比較の数字が載っていました。この数字の動きから、バリュー株投資をする場合の典型的な動きがわかり、またバリュー株投資のメリットもわかり、かつバリュー株投資をするときの落とし穴もわかります。なので、今回は、このパフォーマンス数字を取り上げて、それらの点をご紹介したいと思います。

まずは、各年のパフォーマンス数字からです。

          PGVFX  MSCIworld  diff

1990   -11.74%   -17.02%     5.28%

1991    17.18%     18.28%    -1.10%

1992     9.78%     -5.23%    15.01%

1993    25.71%    22.50%      3.21%

1994   -2.78%      5.08%     -7.86%

1995   31.81%     20.72%    11.09%

1996   23.32%     13.48%     9.84%

1997   34.56%     15.76%    18.80%

1998   -8.85%     24.34%   -33.19%

1999   16.50%     24.93%    -8.43%

2000   -5.82%    -13.18%     7.36%

2001    2.21%     -16.82%   19.03%

2002    3.82%     -19.89%   23.71%

2003   47.06%     33.11%    13.95%

2004   23.63%     14.72%     8.91%

2005   10.52%      9.49%      1.03%

2006   24.57%     20.07%     4.50%

対比しているベンチマークは、MSCI World, EAFE and USA Indexes, net dividends reinvested ("MSCI World, net")とのことで、源泉税をも含む配当の効果も考慮されたベンチマークのようです。比較対象のベンチマークとしては、適切なベンチマークと思われます。

この17年の結果をまとめると以下のとおりとなります。

                     PGVFX  MSCIworld

年率リターン      13.1%        7.5%

累積資産成長   8.06倍    3.43倍

言うまでも無く、PGVFXの圧勝です。年率リターンでは、PGVFXの13勝4敗となっています。PGVFXを持っていれば、およそ4分の3の確率で、毎年の年率リターンでベンチマークに勝ったことになります。

また、下げ抵抗力を見てみましょう。

「最悪のケース」

運用期間   1年     2年    3年    4年    5年   6年  7年

PGVFX       -11.74%   -3.74%  -0.06%    2.22%    6.12%  42.80% 76.10%

MSCIworld  -19.89% -33.36% -42.15% -27.72% -11.66% -3.27% 16.14%

すなわち、最悪の年に投資してしまったら、MSCIworldの場合には、元本復帰するのに、6~7年もかかってしまったことになります。これが、PGVFXの場合は3~4年ですんだわけです。また、最悪のタイミングで資産購入した場合、MSCIworldであれば、累積で42.15%の下落に耐える必要があったのに対して、PGVFXであれば、たった11.74%の下落に耐えればよかったことになります。

こういう数字を見てみると、バリュー株投資をすることのメリットがはっきりとわかります。

それでは、このようなバリュー株投資ビークルに乗ることの落とし穴はないのでしょうか?これも上のデータが如実に示してくれています。

          PGVFX  MSCIworld  diff

1998   -8.85%     24.34%   -33.19%

1999   16.50%     24.93%    -8.43%

PGVFXに投資していた場合、もっともきつい逆風に1998-1999の2年間に晒されていたことになります。PGVFXは1998年にはベンチマークに対し-33.19%、1999年には-8.43%と、大きく遅れをとっています。2年間ベンチマークに対してこれだけ大きく遅れをとっていたら、このファンドを持続できる人のほうが少ないのではないでしょうか。

折りしも、おおよそグリーンスパン氏が「根拠なき熱狂」と警鐘を鳴らした時期に近いものと思われます。バリュー株投資は、米国市場の熱狂に置いてけぼりをくらってしまった格好です。ここで、我慢できずにPGVFXからMSCIworldインデックスに乗り換えてしまったら、およそ7年間元本復帰しない、MSCIworldのまさに最悪のタイミングに、乗換えを行うことになってしまいます。

実際、1990年にPGVFXへ投資をはじめ、2000年始に、PGVFXからMSCIworldに乗り換えたとすると、上記17年間の年率リターンは、8.07%にまで落ちてしまいます。

バリュー株投資ビークルの最悪の時期に、「バリュー投資が報われる」ことを信じられなければ、結果、ほとんど全てに近いバリュー株投資のベンチマーク超過リターンを捨ててしまうこととなるわけです。

これは、実に恐ろしいことです。

「バリューが報われる」ことを最悪の時期にも信じきれる人間でなければ、バリュー投資は徒労に終わってしまう可能性が高いことは、知っておいて損はありません。「全ての資産はいずれ本源的な価値に収束する」という信念を、バブルの宴の渦中においてもまわりに流されることなく貫き続けることができる人しか、おそらくバリュー投資の価値を手にすることはできないのです。

この例に限らず、よく言われる、「バックミラーを見て運転する愚」を冒してしまうとろくなことがないことは、十分腹に落としておく必要があります。

バフェットが、ITバブル時に、価値を生み出さない株が何十倍になろうとも無視を決め込んだように、バリュー株ビークルへの投資においても同種の能力が必要です。おそらく、その能力に対する見返りが、バリュー株ビークルの破格の超過リターンなのだと思います。

|

« タイミング投資をロードファンドでやる愚 | トップページ | ETF vs MutualFund »

コメント

世界割安株式ファンドのベンチマークが
MSCI WORLDというのは不適当だと思います。設定当時は分類がなかったので
仕方ないというのなら分かりますが。

fact sheetを見ると、タイ、南アフリカ、
韓国が多く含まれています。このファン
ドのベンチマークは、最低でも、
MSCI AC WORLDでしょう。
リンク先は、同種のファンドのVHGEXです
が、これはベンチマークをMSCI AC WORLD
にしています。ここからさらにバリュー
のインデックスでないとおかしいのです。

中・小型株も多く含まれています。Investment Styleでミッドキャップ
バリューと表示しているのは良心的です。

であれば、US内外のミッドキャップ
バリュー混合(新興国含む)がベンチ
マークにもっとも相応しいと考えます。

また、預かり資産総額が増加した近年では
MSCI EAFE Indexと米国株式市場総合の
インデックスにリターンが近似してきて
います。バリューでなくインデックスに近くなってきているなら、この先、選択する
べきファンドはバリューインデックスファンドの組み合わせか、ETFの組み合わせ
になると考えます。

投稿: 名無しさん@お金いっぱい | 2007年5月29日 (火) 21時51分

名無しさん、いつもお世話になります。

このエントリは、バリュー株投資ビークルに乗る際のメリットと落とし穴に対する私見を述べさせていただいております。
なので、仮に比較可能な完全な世界バリュー株インデックスが存在していたとして、そのベンチマークと比較したら、上記のエントリーの目的、すなわちバリュービークルに乗った場合のメリットと落とし穴についての私見をお示しする目的が達成できないわけです。
(世界バリュー株に乗った場合と乗らなかった場合、すなわち世界株インデックスに乗った場合との差が示せないため。)

このエントリー自体の本源的な目的をまずご理解いただけると幸いです。

なお、当然のことながら、個別ファンドの設定ベンチマークといった個別の話もありますが、それ自体全く別のIssueでもあり、上記エントリーの目的と完全にかけ離れてしまいますので、ここではこれ以上触れることは避けたいと思います。

あと、ファンドの規模の問題ですが、このエントリーに当方が書いたことが将来大いに関係するはずです。まちがいなく1998-1999のような、世界株インデックスに比較した世界バリュー株ビークルの不振が続いた場合、世界バリュー株ファンド等からはたくさんの資金が「抜ける」可能性が想定されます。だから、今だけを見て資金が多すぎると決め付けるのは早計ではないかと思います。
世の中には、「バックミラーを見て運転する」方がたくさんおり、それゆえの今の当該ファンドの資産残高であることを考えれば、おそらく逆もまた真なりであって、将来を悲観するのは杞憂に終わる可能性も結構あると、私は考えます。
いずれにしろ、将来のことを事前に読みきることはある意味不可能ですので、今までどおりいろんな保険をかけながら、その都度最善と思える判断をしていきたいと思っています。

以上、このコメントに何かご参考になるところがありましたら幸いです。
では、今後ともよろしくお願いいたします。

投稿: VMax | 2007年5月30日 (水) 00時24分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/202973/15217936

この記事へのトラックバック一覧です: バリュー株投資ビークルに乗る際の心構え:

« タイミング投資をロードファンドでやる愚 | トップページ | ETF vs MutualFund »