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2007年5月21日 (月)

特選!バリュー株投資ビークルまとめ

かなり書いたブログも多くなって、後から見ていただく方にとって特定テーマへの情報アクセスが難しいように思います。ブログというツールは、やはり日記として最適となるように設計されていて、系統だった整理は難しい感じです。

そこで、当方よりお伝えしたいテーマごとに関連あるものを一括りにしたブログを書くことによって、その関連をわかりやすくして、また同時にアクセスを容易にしてみたらどうだろうかと考えました。

なので、今回は米国証券口座で買える、バリュー株投資ビークルに関する過去ブログを一まとめにしてご紹介したいと思います。

まず、最初のブログです。

http://max999.cocolog-nifty.com/blog/2007/03/post_271d.html

この記事で、US投資信託QFVOXとUS市場ETFのEFVをご紹介しています。ともに、米国除く世界株ビークルで、ベンチマークとして参照しているEFAを長期リターンで上回っています。

次はこのブログです。

http://max999.cocolog-nifty.com/blog/2007/03/post_6d50.html

この記事では、US株式市場ビークルとして、US市場ETFのIWNをご紹介しています。このビークルも、ベンチマークとして参照しているSPYやIWMを長期リターンで上回っています。

なぜ、一般に効率的と言われる株式市場でこのような現象が起こっているのでしょうか。その直接的な解はおそらく誰もきちんと示すことはできないでしょうが、超長期の世界中の株式市場で、延々とこの現象が起こり続けていることは、学者その他の様々な分析により裏付けられています。

このブログで、そのような実証分析の1つを引っ張ってみました。

http://max999.cocolog-nifty.com/blog/2007/03/post_a1a8.html

この現象をアノマリーとして見たとき、間違いなく、超長期の株式市場で機能し続ける数少ないアノマリーであると思います。個人的には、ヘッジファンドの裁定リターンの将来性よりもよっぽど信頼性が高いと思っています。ヘッジファンドの裁定については所詮10~15年の話で、裁定行動の実績年数が短いため、将来はその効果が消えてしまう恐れがありますが、このアノマリーはほんとうに年季が入ったものです。

そのことが垣間見えるのが、このブログです。

http://max999.cocolog-nifty.com/blog/2007/04/post_1bcd.html

記事自体は本の紹介なのですが、図らずも、国際分散投資でも避けられなかった大きな市場下落である1929年の世界恐慌の時代を含む投資期間においても、バリュー株投資は有効に機能し、有名な経済学者のケインズがこのバリュー株投資によって、こんな最悪の時代にも資産を大きく成長させたことがこの書籍から読み取れます。(本の紹介なので、その内容をすべて書くことはしていませんが)

最後は、最近有名なJeremy Siegel氏の関与した高配当株ETFを紹介するブログです。

http://max999.cocolog-nifty.com/blog/2007/04/post_df91.html

http://max999.cocolog-nifty.com/blog/2007/04/etf_396e.html

このUS市場ETFのDLSは米国除く世界株式市場に投資するETFで、小型高配当株に投資するETFです。このETFの実績はまだ短いですが、この高配当株一般の優位性自体は結構有名です。NYダウ銘柄においても、「ダウの犬」と呼ばれ、ダウ銘柄のうち高配当な株に限定して投資するとNYダウを継続的に上回ることが出来ることが良く知られています。

上の最後のブログでJeremy Siegel氏の記事を載せていますが、ここで高配当株が持つさらなる非常に好ましい特質を書いた記述部分を紹介します。

According to my research, dividend-weighted indexes outperform capitalization-weighted indexes and are particularly valuable at withstanding bear markets. For example, the Russell 3000 Index lost almost 50% of its value between the bull market peak of March 2000 and the October 2002 low. Over this same period, a comparable total market dividend-weighted index was virtually unchanged. A dividend weighted index did have a bear market, but it only corrected by 20%. Moreover, the dividend-weighted index bear market didn't start until March 2002, and it lasted only six months (compared to 24 months for the cap-weighted index). The dividend-weighted index is now about 40% above its March 2000 close, whereas the S&P 500 and Russell 3000 are still not yet back to even. A similar performance occurred in other bear markets.

(上記の英文は、Jeremy Siegel氏の書いた、

http://webreprints.djreprints.com/1497650936231.html

の一部です。)

「私のリサーチによると、配当加重インデックスは時価総額加重インデックスをアウトパフォームしており、ベアマーケットに耐えるような状況で特に価値がある。例えばRussell3000インデックスはブルマーケットのピークである2000年3月から2002年の最安値までにほぼ50%下落した。その同期間において、比較可能な配当加重トータルマーケットインデックスは実質的に、その価値は変わらなかった。配当加重インデックスもベアマーケットを経験したが、その調整はたった20%であった。さらに、配当加重インデックスのベアマーケットは2002年の3月まで始まらなかったし、それはたった6ヶ月間しか続かなかった(時価総額加重インデックスの場合、24ヶ月も続いたのにも係わらず)。配当加重インデックスは今、2000年3月末よりも40%だけ高い位置にいるが、S&P500とRussell3000はいまだに、イーブンにさえ戻っていない。別のベアマーケットでも同様の結果が起こっている。」

(訳は私の勝手な翻訳ですのでその内容の正確さは保証できません。あらかじめご了承ください。)

以上を全てまとめますと、バリュー株、高配当株ビークルは、ベンチマークである時価総額インデックスより、通常ボラティリティが低く、ベアマーケットにおいての下げ抵抗力が強く、長期リターンが時価総額インデックスよりも明らかに高い、という一般的な傾向があるということになります。

こういったアノマリーが消えることなく、資本主義の歴史とともに、世界中で延々と続いていることは、ある意味驚きではあります。しかしながら、実際、私はずっとUS投資信託等を用いてその効果を享受してきましたし、これからもこのアノマリーが消える日まで、ずっとこのスタンスで投資をし続けていくと思います。

このブログが皆様の投資の何らかのヒントになり、お役に立てれば幸いです。

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コメント

こんにちは。
詳細で具体的な、バリュー投資のためのまとめ、大変ありがとうございます。とてもためになりました。
シーゲルの「株式投資」でもバリュー株、小型株優位のアノマリーについて触れられていましたが、結局「分散投資しろ」という結論だったと思います。しかしその後シーゲルは確か多少考えを変えたんですよね。私ももう少しいろいろ勉強しようと思います。インデックス投資も奥が深いですね。

投稿: 駒沢公園散歩人 | 2007年5月21日 (月) 08時59分

いつもお世話になります。

ご感想いただき、ありがとうございます。
読んでいただく方へのヒントやご参考になれば、書いた甲斐があるというものです。

それでは、今後ともよろしくお願いします。

投稿: VMax | 2007年5月21日 (月) 17時02分

とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます!!

投稿: 写真の髪型 | 2013年6月 6日 (木) 12時47分

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» [Value_Investing] 機械的株式投資のリスクとリターン。 [Quercusの日記]
最近40年間の米国株式市場(1963年12月31日から2003年12月31日)の調査から。What Works on Wall Street, 3rd edition, pp.338-344 (ASIN:0071452257)から引用。 戦略相乗平均相加平均標準偏差シャープレシオ下方リスク最大下落βETFで代用するなら(年間コスト) 全ての株式,配... [続きを読む]

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