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2007年6月12日 (火)

楽天証券での取り扱いETF追加

楽天証券でまたもや、取り扱いETFの追加のようです。

http://nightwalker.cocolog-nifty.com/money/2007/06/etf619_3cc9.html

今回取り扱いとなるのは、米国債券、米国ナスダックバイオテクノロジー、米国不動産、米国TIPS債券の米国市場4銘柄です。

個人的には、今回追加分で食指が動くものはないのですが、米国TIPS債券については、あまりご存知ない方もおられると思いますので、若干の解説をしたいと思います。

通常TIPSと呼ばれるのは、米国政府発行のインフレ連動債(物価連動債とも呼びます)のことです。米国のCPI(消費者物価指数)の増加に連動して、そのクーポンと元本が増加していく仕組みの債券です。今回のTIPというETFは、この米国政府発行のインフレ連動債に投資するETFです。

つまり、通常の債券であれば、クーポンと償還時元本は実額であらかじめ決まってしまっていますので、発行後の大きなインフレ時にはその資産の実質購買価値が下落してしまうリスクがありますが、このTIPS債券であれば、インフレが起こればその分だけ将来のクーポンと償還時元本の額が増えますから、将来のインフレに対する抵抗力が備わった債券となっています。TIPというETFを購入すれば、このインフレ連動債を購入するのに準じた、リスクの低い債券資産でありながら、インフレ抵抗力のある資産を保有することができるわけです。(あくまで、USマーケットにおけるUS$建てでのインフレ抵抗力であって、円建てというわけではありませんが、長期的には多少誤差はあっても、円ベースで換算した後でもインフレ抵抗力を見せてくれる期待が持てる資産です。(長期的には、為替市場でモノと2通貨間の緩い裁定機能が働くことが期待できますので))

TIPSは、このようなインフレヘッジと安全性という、好ましい両面を兼ね備えた資産であることから、伝統的な債券資産を一部代替することの出来る資産と評価されています。また、伝統的債券の代わりにTIPS債券をポートフォリオに組み込むことで、対リスクリターンを改善することができるといった分析や研究結果等もよく見受けられます。

いわゆる通好みの資産クラスといったところです。

日本国も物価連動国債を発行しているのですが、機関投資家しか買えず、かつ債券に元本保証がない(デフレ時に元本より割れる可能性があるしくみ)という問題があります。現在のところ、投資信託会社がファンドを組成して物価連動国債ファンドとして個人に提供している商品を買う以外には、円ベースの物価連動債券資産を手に入れる手段はありません。しかもその選択肢はあまりなく、ファンドの信託報酬も結構お高めだったと思います。

ということで、どちらかというと保守的な投資家で、かつインフレにやられる可能性が気になる方に、特に向いている資産だと思います。

しかし、ある意味、こんな通なETFをリクエストされる方が結構いらっしゃるんですね。ちょっと驚きました。論理的には、筋道の通った至極真っ当な資産であり、魅力ある資産ではあるのですが、米国でも日本でもまだまだ認知度が低く、マイナーな位置付けに留まっているものと思っていました。

なお、米国証券会社口座をお持ちの方は、このTIPというETFではなくて、ダイレクトにTIPS債券を買いに行くことも、証券会社によっては可能なはずです。(個人的には、試したことはないのですが)

興味があれば、チャレンジしてみるのも面白いのではと思います。

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受信: 2007年6月15日 (金) 17時03分

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