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2007年6月16日 (土)

理想的な投資ビークル

私が考える理想的な投資ビークルはこんなものです。

「世界中のあらゆる投資案件のうち、本源的な価値に比べ、割高な値段がついている案件を避け、割安なものを選んで自動的に投資し続けてくれるビークル」

今までさんざんご紹介しました通り、どうもこの世の投資市場の世界は完全には効率的ではなく、割高な資産と割安な資産が存在しており、割高なものを避け、割安なものを選んで投資すれば、投資成果は明らかに向上するようです。

しかしながら、バリューな投資対象を選別するには、一般にそれなりの能力と労力が必要で、その両者が備わっていても、広い世界の市場を網羅することは不可能に近そうです。すなわち、バフェットが最近までUS市場の例えばIT等を除いた、得意な市場のみにフォーカスするしかなかったように、バリュー投資を貫くには、おのずと手を広げられる範囲に限度があるものと思います。

この限度というのが問題で、例えば日本語の決算資料等の情報が提供される日本の株式市場でしかバリュー投資の力量が発揮できない投資家は、世界でもトップクラスの成長率の低い、成熟国の限られた投資案件から投資対象を選ぶしかないわけです。世界には1950年代の日本のような、10年で株価が10倍になってもおかしくない、とてつもない成長力を秘めた国の投資案件や、日本企業よりもずっと収益性が高い欧米企業の投資案件がごろごろしていますので、日本市場しか手を出せないハイレベルなバリュー投資家よりも、100人並でも世界の市場にアクセスできる投資家のほうが、ずっと良いパフォーマンスを示す可能性が結構あるのです。

また、限られた市場にしか投資できないと、投資成果の天底も一般に激しくなります。日本では、バブル崩壊後、日経平均はいまだに、バブルの頂点の半分あたりのところをうろうろしています。世界の株式市場を見渡しても、こんな市場はなかなか見当たりません。世界各国の株式市場は1990年の水準に比べると何倍にも成長しているのが普通です。投資対象のバリューを信じてはいても、自国の外で各国株式市場が軒並み新高値を更新し続けるのを延々と横目で見続けるのも、耐えられる程度に限度があります。

実際、日本の市場が世界各国対比で低迷し続けているので、やはり利口な日本のバリュー投資家の方々の中には、世界株ETF等をポートフォリオに組み込み、ご自身の投資ポートフォリオの日本市場のローカルリスクをヘッジされているケースが最近、見受けられます。個人的に、ものすごく賢明なご判断だと思います。日本のような、成熟した国の投資案件にのみ縛られた投資姿勢は、ほんと、体中に重い重りを背負ってレースに出る馬のようでもあります。わざわざ、自分自身を苦しい試練に立ち向かわせるのは、美しい態度かもしれませんが、効率的、効果的に利益を得る、通常の投資目的からすれば逆行する態度になっている恐れが大いにあります。

少々、脱線した感もありますが、バリュー投資を徹底しようとすると、世界中の全ての投資案件の割高割安を自信を持って判断、選定することなどおよそ不可能なので、必然的に集中投資にならざるを得ず、そうすると、よく理解できる自国市場での投資になりがちなので、ローカル市場の低迷リスクやローカル国家の衰退リスク丸抱えのポートフォリオになりがちです。

すなわち、バリュー投資と国際分散投資は、結構、水と油の相容れない面があるのです。

この問題を解決することの出来る、現実的なソリューションのひとつが、世界のバリュー株投資ビークルに投資することだと思います。もちろん、世界中の投資案件の割高割安を判断できる、能力、情報、時間といった全てを兼ね備えるに越したことはありませんが、それだけで自分の人生が終わってしまいかねませんから。

もし、投資ビークルが自動的に、世界中のバリューな投資案件を選んで投資してくれるとしたら、またバブリーな投資市場の割高な投資案件を自動的に外してくれるとすれば、正直とっても魅力的です。そのような投資ビークルを手にすることが出来れば、例えばA国はバブルに見えるので、外す必要があるのではないだろうか、B国が割安になっているのでオーバーウェイトにしたほうがよいのではないだろうか、といったことに煩わされる必要がなくなるのです。

また、自分で割高を売り、割安を買いといった入れ替えをやっていては、そのたびにキャピタルゲインに対する税金を国に払うこととなり、投資の複利効果を大きく減じることになってしまいます。バリューな投資行動でまず潤うのが、自分ではなく自国政府であるという構造は、決して無視できません。このような税金の不利に打ち勝ってなお、バリュー投資のメリットを手にすることは決して不可能ではないとは思いますが、だれにでも出来ることではないと思います。このようなバリューな投資行動が投資ビークル内で行われて、その行為の度にいちいち税金がかからないとすれば、それ自体とても魅力的に思えます。

なので、前回のWisdomTreeの新興国高配当株ETFのSECfilingの情報をすごいと思うわけです。これを今までありそうで無かった新興国バリュー株ビークルだと思えれば、世界株において、

USバリュー株ETF:US以外の世界先進国バリュー株ETF:その他新興国バリュー株ETF

を持ち、その3つの投資ビークルの投資比率のみを考えればよく、A国はバブルだろうか、B国は割安に見えるけどどうだろうかと悩む必要がこれでほとんど無くなるわけです。

そんな、冒頭に挙げたような理想にまた一歩近づける可能性があると思って、WisdomTreeの情報を喜んだわけなのです。

今まで、個別の新興国株ETFにかなり恣意的、差別的に投資してきましたが、もし、WisdomTreeの新興国高配当株ビークルが、バリュー投資として過去有効に機能していて信頼度が高そうなら、もう個別新興国株ETFへの直接投資は止めてしまって、複数新興国を跨いだ配当額加重の投資ポートフォリオに、新興国ポートフォリオの構築を委ねてしまおうかとも考えています。

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