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2007年6月 1日 (金)

変額年金

またもや、身内ネタです。

最近、女房の父親から、「銀行から、XXXXXXXXXXという変額年金を勧められているが、買っても良いか?」と聞かれました。

脊髄反射で「ダメ!絶対買っちゃだめ!」と答えてしまいました。

どうも、新発売の商品らしく、銀行にしきりに勧められるのだそうです。

いつもいつも、脊髄反射で切って捨てるのもなんなので、今回はその商品について、その後ちょっと調べて見ました。

運用ビークルは、日本株式、世界株式、日本債券、世界債券(為替ヘッジなし)に20対15対20対45の割合で投資するバランスファンドのようです。保険の保証として、10年後の元本保証と運用途中の運用成果が一定パーセントに達したらその金額が保証される、いわゆる経路依存型でストライクプライスの切り上がる形のプットオプションが内蔵されています。

この保証の対価として、まず最初に契約初期費用が5%、保険契約関連費用2.65%、資産運用関連費用0.315%で、毎年資産残高に対し合計2.965%の費用がかかります。

かなり複雑なオプションが内蔵されており、簡単に解析的に計算することは不可能だと思いますが、間違いなく、計算するまでも無く

トータル費用=銀行への手数料支払い+資産運用会社への費用支払い+オプションプレミアム(権利購入費用)+保険会社の利益

という等式が成立しているものと思います。

たぶん、この商品の契約初期費用5%が、そのまま銀行の販売報酬として、保険会社から銀行へそのまま渡っているのだと思います。

銀行員がしきりに勧めるわけです。投資信託の販売報酬は通常2~3%であると思います。それが5%ですから、銀行にとって販売効率は約2倍です。

この破格の販売効率を支えるために、一般の人の「名目元本」に対する異常なこだわりに応える商品設計をしているのだと思います。

でも、ある意味、無意味な往復ビンタをやっているようなものです。すなわち、

「リスクを取らないとリターンが得られないのでバランスファンドに投資しましょう。えっ、でもリスクが怖いって?じゃあ、オプションを売りますから、それでヘッジしてください。」

ナンセンスの一言です。リスクが怖ければ、怖くない程度にまでしかリスクをとらなければよいだけのことです。10のリスクをとるためにお金を払い、そのリスクが怖いからそのうちの7のリスクを消すためにまたお金を払う。世の中のいたいけなご老人方は、こんな無意味な両建て商品でお金をむしられているわけです。

「いや、オプションによって、ペイオフの形が変わっている。これでお客のニーズに応えているのだ。」といわれれば、それもある種の正論かもしれません。でも、その正論の中には、「名目元本を守っても、資産の実質購買力が保たれるわけでは必ずしもないのに、多くのお客は名目元本を守ることに異常なくらいに執着する。よし、この心理を利用して高効率の利益を追求しよう。」という銀行と保険会社の意図が見え隠れしています。

「本当に顧客のためになるもの」を提供して、その対価をいただく商売ではなく、「多くの顧客の行動ファイナンス的な偏向を利用して、本当は顧客にとって意義の小さい商品形でも、感情的な引き付け効果の高い商品形で、たくさん売って手数料を稼ごう」という、まさに身勝手な発想が見えます。

いわば、「10年後に元本を返せば、そのときにその元本の実質購買力が地に落ちていても、私(銀行)のしったことじゃない。自分たちが手数料を稼げればそれでいいのだ。」といっているようなものです。

上記の商品でも、ざっくりいって初期に5%、毎年3%×10年で、合計で約35%もの総費用支払い負担があるのです。それで、株式比率が35%で、かつバリュエーションが割高で、将来の期待が小さい日本株に20%投資するアロケーションへの投資では、ろくな実質リターンが得られない確率が高いものと思います。

早く「名目元本への過度な固執」から卒業して、金融機関からこのような心理的な罠を利用され、手数料を巻き上げられないようになる必要があると思います。

前にも、上の話題に関連あるブログを書いていますので、ご興味ある方はご参考としてください。

http://max999.cocolog-nifty.com/blog/2007/02/post_5f8c.html

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