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2007年6月19日 (火)

夢を売る業界

インデックス投資(パッシブ運用)にまつわる話で、「パッシブ運用が蔓延すると、アクティブがインデックスを上回り始める」というまことしやかなロジックがあります。

このロジックを信じている方が、どうもあちこちにおられるようです。今日は、これに対して反証を試みたいと思います。

もし、仮に、インデックスファンドとETFが大ブームとなり、世の中の全ての人がインデックス運用を行う状態になったとします。ここで、ある人が現れ、アクティブ運用をはじめます。この人(Aさん)はX銘柄だけを購入しようとします。ここで重要なのは、このAさんがX銘柄を買うためには、市場のだれかもう1人がAさんにX銘柄を売る必要があることです。この方をBさんとします。すなわち、このBさんは市場の全ての銘柄のうちX銘柄をAさんに売ってしまうので、彼のポートフォリオは、市場銘柄のうちX銘柄を除くすべての銘柄となります。

これで、市場でアクティブ運用を行うのは、AさんとBさんの2人となりました。さて、アクティブ運用の成績やいかに?

結果は神のみぞ知る、といいたいところですが、明らかにAさんのポートフォリオとBさんのポートフォリオを足すと市場全銘柄となりますので、2人のアクティブ運用のパフォーマンスをトータルで見ると、インデックス運用のパフォーマンスに一致します。すなわち、Aさんがインデックスに勝てばBさんが負け、Bさんがインデックスに勝てばAさんが負け、という、至極明らかな構図になります。

この例から、「パッシブ運用が蔓延すると、アクティブがインデックスを上回り始める」というロジックが、ある種のトンデモロジックなのではないかと気づきます。

論理的に考えれば、

(仮説)インデックス運用が市場の加重平均のとき、アクティブ運用が市場平均を上回る。

(結果)市場には、インデックス運用とアクティブ運用しかないので、アクティブ運用が市場平均を上回るとすると、インデックス運用は市場の平均では無くなる。

⇒矛盾

(結論)背理法により、最初の仮説「アクティブ運用が、市場平均であるインデックス運用を上回る」は誤り。

となり、昔、数学で習った背理法でも、このロジックは反証されます。

結局、市場でインデックス運用が流行ろうと、ETFが流行ろうと、アクティブ運用者の5割(超過コスト負担を考えればそれ以上)は、パッシブ運用に負けてしまうのが、ロジカルには必然となるわけです。

この手のまことしやかなトンデモロジックは、おそらく夢を売る金融業界から、様々な意図があって発信されることが多いのではないかと思います。

過去、よくあったこの手のロジックには、

-非効率な、新興市場や新興国市場ではアクティブがインデックスを上回る。

-アクティブ運用のキャッシュマネージメントが、下落を緩和し、パフォーマンスを向上させる。

といったものがありました。これらは、論理的にではなく、すでに定量的、統計的に否定されてしまっているのが現実です。

夢を売る業界は、優れた現実主義者の足を引っ張って儲けようと、アノ手コノ手のトンデモロジックを繰り出してくるものです。本当にあきれます。

皆さんもこんなロジックにだまされないよう、くれぐれもご注意を。

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コメント

効率的市場仮説の定義は「アクティブ運用者の平均は市場平均を下回る」ではなく「情報に基づく運用では、運を超える確率で勝ち続けることは出来ない」では無いですか?
書かれた例では、Bさんが馬鹿なら今後も割安な価格で売ろうとすることがあり、それを買うのがAさんだけなら、「Aさんは市場平均に勝ち、Bさんはそれ以上に市場平均に負ける」ということはありえます。二人の平均は市場平均に負ける点はV-Maxさんの仰るとおりですが。
あるいは、インデックスの組み換えの時にAさん以外先回り売買をしないなら「Aさんは(時価総額など、真の意味での)市場平均に勝ち、その分インデックスファンドが広く浅く負ける」ということも有り得ます。
実際に「情報に基づく運用では、運を超える確率で勝ち続けることは出来ない」のは、有能な人同士が競っているからでしょう。
「なぜ投資のプロはサルに負けるのか」という本が面白いことを書いていました。「アクティブ運用のおかげで、インデックスファンドが妥当な株価で売買できる。アクティブファンドの運用者は、ファンドの顧客のためではなく、インデックスファンドのために働いている。」

投稿: COLE | 2007年6月19日 (火) 08時33分

COLEさん、はじめまして。
コメントいただき、ありがとうございます。

COLEさんのおっしゃるとおり、アクティブ運用の中で、例えば、
Aさん>インデックス>Bさん
といった極端な優劣がつくことはありえます。
ただし、そんな都合の良い愚かなBさんはそうそういないものです。BさんだってX銘柄を外せばリターンが上がると思って外すわけですから。
COLEさん自身のコメントが到達している結論の通り、この戦いはたいてい、とてつもなく有能なAさんとBさんの両者の戦いとなり、両者とも運用コストと税金でやられ、実際は、多くの場合、
インデックス>Aさん≒Bさん
となってしまうのが、悲しい現実なのではないでしょうか。
このようなことは、市場がパッシブ運用の重要性、優位性を理解すればするほど起こりやすくなるのではと思います。よっぽど自信のある人しか、アクティブに走らなくなりますので。
インデックス銘柄入れ替えの件も、フリーランチを求める投資家が群がれば、その利益はとてつもなく減り、論理的には最後には売買手数料をまかなえるだけの、フリーランチの機会が実質的になくなるところまで事態は進むはずです。実際にも、この現象が起こっているようなことをどこかで聞いた覚えがあります。
フリーランチの機会はたいていはかなく消えるものだと思います。

投稿: VMax | 2007年6月19日 (火) 09時03分

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