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2007年7月 1日 (日)

結果論

投資の結果を判断するのは、非常に難しいものです。

ウォーレン・バフェットくらい優れた結果を何十年にも渡って示し続ければ、数学的、統計的にも市場平均より優れた運用能力の持ち主として証明することが可能なケースもあるでしょうが、10年、5年や、ましてや1、2年の運用成果がベンチマークを上回っていても、その運用者が優れている証明は、理論的にはなかなかできません。

実際、過去にも、HP等で自身の運用成果を公開し、億の資産を作りながらも、数年もしないうちに資産を飛ばして消えていった方もいました。このような相場の一山すら越えられない運用者も、いや、そうだからこそ、ベンチマークに比してとてつもなく優れたパフォーマンスを一時的に示すわけです。

もし、ベンチマークに対し、とてつもなく良い成果を示している運用者群を集めたら、その中にも、数十年の時の荒波に耐えられない運用者や、単なる幸運の持ち主が、間違いなく多数まざっています。また、その人たちの中には、未来のウォーレン・バフェットはいないかもしれません。バフェットと同じような実力の持ち主であれば、決して年100%のリターンなど出さないでしょうから。すなわち、地味にベンチマーク+10%程度の運用をしている人の中に、未来のウォーレン・バフェットがいる可能性が高いのです。

それでも、短期的にベンチマーク+10%程度の運用成果を出している人など、世の中には掃いて捨てるほどいますから、その中にわずかにいるだろう、その運用を30年40年続けられる、未来のバフェットを見つけるのは至難の業です。

ウォーレン・バフェットがすごいのは、年100%のリターンを生み出すからではありません。毎年のように、ベンチマークよりも10%程度リターンのよい運用を30年も40年もの間継続できるからです。逆に言うと、短期的に年50%とか100%のリターンを輩出する人が巷に結構いたりするのに、たったベンチマーク+10%程度の運用を30~40年続けられる人は皆無に近いのです。だからこそ、ウォーレン・バフェットが偉大なわけです。

これは、数学的には市場参加者の運用成果の平均値からのちらばりの結果が正規分布に従うとした場合に、その長期の市場平均からの散らばりの結果が時間の平方根に比例しており、年率換算の市場平均値からの乖離率が、超長期になればなるほど小さくなっていくことと、論理的、本質的に同じ話になります。すなわち、上記の現象は数学的、統計的にも全くもって妥当な現象であるわけです。

要は、統計結果の中から偶然性を排除し、真の実力を抽出するには、通常、気の遠くなるほどの長い期間の統計データが必要であって、また、それがなければ、ただの偶然の結果とそうでない実力の発露を分離するのは、理論的には不可能なわけです。

なので、もし自身の短期的なアクティブ運用成果が仮にベンチマークよりもかなりの高パフォーマンスであるとするとかえって難しい話になります。自分が本当の実力者かどうかは、5年10年20年とやってみなければわからないのですが、長い間やってみて、仮に最後にベンチマークに大負けして、自分がその実力者ではないとわかったときには、最悪10年20年といった長期の貴重な複利の投資期間を無駄にすることになりかねません。だいたい10年20年あれば、その期間だけで運が良ければフィナンシャルフリーダムに到達できるかもしれないのです。その可能性を捨てるリスクを、すなわち最悪10年20年の複利の運用期間を無駄に捨てるかもしれないリスクを負って、自分が運用の実力者であることにベットするような状況になりがちです。

結構、この手の話は、パチンコなどの賭け事と同じで引き際が難しいのです。過去、大成功していればしているほど、なかなかあきらめきれず、傷を大きくしてしまいがちです。上記の超長期の統計なしには実力なのか運なのか誰にも判別できないというポイントはここでも利いてきます。過去の成功が華々しければ華々しいほど、直近の不調は単なる不運に違いないと思ってしまい、取り返しのつかないところまで行ってしまいがちなのです。

分野は若干異なる部分もありますが、過去のタイガーファンドやソロスの引き際なども思い出していただければ、このような人間心理がもたらす引き際の困難さもイメージしていただけるものと思います。

自分が凡人か天才かの解は長期の時間のみが示すことができます。短期的に良いアクティブ運用成果を出すことは、多くの凡人にとっては不幸の始まりかもしれないのです。

実際、ウォーレン・バフェットのような実力は、フィナンシャルフリーダムを達成するには、間違いなくオーバースペックです。私を含め、多くの凡人にとっては、自分にその神様と同じような能力がないことが早くわかればわかるほど、結果的に早く豊かになれ、むしろ幸せだったりするわけです。ウォーレン・バフェットはそこまで考えて、一般個人にインデックスファンドを勧めているはずです。

禍福はあざなえる縄の如し、何が幸せかは後になって見ないとわからないものです。

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コメント

このVMaxさんのご意見、まったく同感です。私が常日頃思っていることです。

おっしゃる様にアクティブ投資で10年、20年と言う期間、インデックスを上回る結果を出すことは、並大抵のことではありません。ある程度の期間、良い結果を出していても、ある時大損して、長期的には、インデックスより下回るケースは非常に多いと思います。

そして、おっしゃる様に、アクティブ投資は時間が(通常)非常にかかります。自分の時間と言う、非常に大切な資産を使うだけのリターンが得られるのか、と言う点も含めて考えると、余計投資手法において、アクティブ投資はリスクが高い、または、リターンが低い、危険性が高いと思います。

最近、まろさんのブログで、バフェット氏の関連の話について、コメントしております。(Know-something vs Know-nothing...) もしよろしければ、ご覧になって見て下さい。

http://stojkovic.blog20.fc2.com/blog-entry-552.html#comment934

投稿: Alpha | 2007年8月 1日 (水) 14時35分

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