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2007年7月22日 (日)

米国金利(その2)

前のエントリーのコメントでリクエストをいただいてしまったので、続編として、米国長期金利が5%を割った理由についての私見を書いてみようと思います。

(あくまで私見であり、またこの分野の専門家でも何でもないですので、話半分、眉唾と思っていただければと思います。)

まずは、以下のチャートをご覧ください。

http://finance.yahoo.com/charts#chart2:symbol=hyg;range=20070411,20070720;compare=ief;indicator=volume;charttype=line;crosshair=on;logscale=on;source=undefined

このチャートで、直近IEFが上がっている一方で、HYGがかなり下がっていることがわかります。IEFは7~10年物TreasuryのETFですので、10年物Treasuryの金利が下がっていることと、IEFが上がっていることは、全く同じ事象の表裏です。(市場金利が下がると、債券価格は上がります。)

しかしながら、HYGがかなり下がっていることは、自明な現象ではありません。HYGは米国ハイイールド債券、すなわち、格付がシングルB前後の信用度がかなり低く、クーポン金利の高い債券のETFです。市場金利が下がり、普通であれば債券の時価が上がるはずの状況で、HYGが下がっているということは、おそらく信用度の低い債券のデフォルトリスクが市場で意識され、信用リスクスプレッドが広がっていることを意味します。

ざっくりいって、

社債利回り=無リスク資産利回り(=Treasury利回り)+信用リスクスプレッド

となります。倒産(デフォルト)リスクのある社債は、純粋理論的に無リスクなTreasuryよりも利回りが高くないとだれも買わないわけで、そのために社債の利回りはTreasuryよりも高くなります。その利回り格差が、信用リスクスプレッドであって、倒産(デフォルト)リスクを取ることに対する見返りの報酬です。

この信用リスクスプレッドは、市場が信用度の低い社債の倒産(デフォルト)リスクに敏感になると、ある意味当然のことではありますが、大きく広がります。

今、Treasuryの金利が下がったのに、HYGの価格が下がったということは、Treasury金利の下げ幅を大きく超えてそれ以上に、市場が要求する信用リスクスプレッドが広がってしまっているわけです。

ここからは憶測です。低格付け債券の信用リスクスプレッドが広がってしまったのは、おそらくサブプライムローンのせいだと思います。米国債券市場では、信用リスクが強く意識されている展開になっているのではないかと思います。

信用リスクスプレッドが広がり、Treasury金利が下がったと言うことは、債券市場で、質への逃避が起こっているのではないでしょうか。信用リスクのないTreasuryが買われ、信用度の低い格付の低い債券が売りたたかれる展開になっているものと推測します。

ちょっと前に、サブプライム関連の資産担保証券の格付が格付会社によって引き下げられたというニュースがありましたね。サブプライム関連の資産担保証券の投売り状態が、通常の社債市場に影響を及ぼし始めていて、今のところ、社債の信用リスクスプレッドがどんどん広がり続けている状況のように読めます。

この状況が起きる前の展開としては、10年物Treasuryの金利が跳ね上がった理由として、米国の景気が思ったより良く、政策金利を下げていくような展開ではなくなったことと、かつ世界の流動性資金の行き先が、米国Treasury一辺倒ではなくなってきたことが挙げられると思います。

なので、そういった10年物Treasuryの金利が上がっていく圧力と、米国市場の特殊事情(サブプライムローンによる債券市場の質への逃避)による長期金利下げ圧力が両方かかり、今のところ、下げ圧力がどんどん優勢になってきているのではないかというのが、私の見方です。

いかがでしょうか。話半分、眉唾な話であるとは言え、多少のご参考になると良いのですが。

この金利の動きの先にあるものを考えるには、このチャートがヒントになるのではと思います。今日は、これをご提示して、終わりとしたいと思います。

http://finance.yahoo.com/charts#chart2:symbol=^dji;range=20070427,20070720;compare=^gspc+^ixic;indicator=volume;charttype=line;crosshair=on;logscale=on;source=undefined

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コメント

 丁寧な解説ありがとうございました。早速お礼のコメントを書き込んだのですが、この会社のブログは書き込みがすぐに表示されず、今回のように消えてしまうことも時々あるようで、もう一度書き込みいたします。
 最初一通り読んだだけでは「このチャートで、直近IEFが上がっている一方で、HYGがかなり下がっていることがわかります。」の指摘の「直近」と言うのが、どこであるかはっきりわかりませんでしたが、どうもグラフの最後の部分らしいと言うことがわかってからはすんなり理解できました。指摘されたときはほとんど開きがありませんでので、見当が付きにくかったのですが、今は指摘されたときよりものすごく顕著に開いておりわかりやすくなっていますね。
 でも、もう少し先で反転したら説明とグラフとが合わなくなるけど、そういうことはないのでしょうね。しかし、グラフだけはどんどん変化してしまうので、文章が取り残されているようです。そういう意味では絶対期間で書いてもらったほうが汎用性があるかもしれませんね。

投稿: 浦島太郎 | 2007年7月28日 (土) 15時49分

浦島さん、コメントありがとうございます。

つい先日、ココログの本格的メンテナンスだったようで、1日程度、入力不能になってしまいました。そのときコメントいただいたせいで、せっかく入力いただいたコメントが消失してしまったのかもしれません。ご迷惑をおかけしてすいません。

なお、エントリーのグラフ等も、文章との整合性を保持するために、本来なら画像で貼り付けて、書いたときの状態が永久保存されるようにすべきなのですが、単に当方が機械オンチでそのやり方を知らないだけなのです。

ご迷惑をおかけいたします。もしやり方がわかりましたら、できるだけもっとわかりやすくなるようにしたいと思っております。

それでは、今後ともよろしくお願いいたします。

投稿: VMax | 2007年7月28日 (土) 20時40分

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