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2007年8月 8日 (水)

年金制度の根本的問題(その2)

年金制度の根本的問題(その1)のコメントでいただいた通り、今の国民年金では、若者はおおよそこんな支払い構造になっています。

年金保険料として100払い、

税金で100払い、

将来、年金で170が戻ってくる。

http://max999.cocolog-nifty.com/blog/2007/08/post_254c.html

結局、200払って、170しか戻って来ないしくみで、今の日本の若者には犠牲になってもらって、その尊い犠牲を今のお年寄りに還元するしか、今の年金制度を維持することはできないわけです。

これをストレートに、200を保険料で払え、170しか返さないけど、と言った瞬間に、これは自助努力でもなんでもなくなります。若者にとっては、年金制度に加入するくらいなら、170は貯金やインフレ連動ビークルに投資等しておいて、残りの30と170が生む実質余剰利子で好きなだけ人生を謳歌したほうがずっとよいに決まっています。かくして、国民年金の収入をすべて保険料でまかなおうとした瞬間に、国民年金の不払いの度合いは、今よりずっとひどくなってしまうと思います。それを防ぐために、すなわち国民年金制度を崩壊させないために、一部国庫負担と言う形にして、未加入の場合の税金の払い損という不利益を意図的に発生させているのではないかと思います。

本質的には、今の若者にとっての国民年金の位置づけは、自助努力を促進させてよりよい老後のための準備をサポートするためのものというよりは、今のお年寄りに十分な年金を支払うために、拠出資金からの損失発生が半ば確定した殺人的金融商品にはめ込み、彼ら若者の老後を暗澹としたものにするための存在になってしまっています。厚生労働省や社会保険庁の建前と存在意義は、すでに大きく崩れてしまっていて(世代間扶養は保険でなくても実現でき、保険料と年金が記録管理によって紐付けされた保険による自助努力は上記の通り、仕組みとして実質崩壊している)、それでも彼らは自らの存在意義を否定できず、組織の自己保身のために今も汲々としているのだと思います。

だれか(若者)の犠牲でしか、社会的にだれか(お年寄り)を助けることはできず、かつ、それをどうしても行う必要があるなら、実際は成立などしていない自助努力などという欺瞞をちりばめるのではなく、ストレートに税金としてその費用を徴収すべきだと思います。また、今の国民年金制度では、今のお年寄りの生活を守るために、今の若者の将来の老後を危険に晒しているという点を考慮して、守る必要のない、収入や資産の非常に恵まれたお年寄りは年金を受け取らないような仕組みが必要だと思います。

こういった、ある意味まっとうな検討が、政府組織の自己保身のために、無残にも脇に追いやられ続けていると思います。

だいぶ、金融視点の話からそれてしまいましたが、次回こそは(もしあれば)、金融視点の話をしたいと思っています。

すなわち、国民年金に加入しないインセンティブを持つ人はどんな人なのか、果たして運用に自信を持つ人だけなのか、今の国民年金の構造で本当に100年安心なのかといったことに関する私見が書ければと思います。また、その他、前回のコメントでいただいた内容に対する私見なども、書けたらいいなと思っています。

(なお、今回においても、前回の最後に書いたのと同じような注意事項が当てはまります。再度、繰り返すことはいたしませんが、その注意事項を踏まえ、読んでいただければ幸いに思います。)

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コメント

いつも拝見させていただいております。
 世代間扶養は若者からの過剰な所得移転だ、という論なのだなと理解しました。
 大和総研は2005年に以下のPDFレポート「現在の高齢者は豊かである」をだしています
http://www.dir.co.jp/research/report/capital-mkt/capmkt/05113002capmkt.pdf

・平均的には高齢者はそれ以下の世代より豊かである
・高齢者世代内の格差はそれ以下の世代内格差より大きい
 以上より、真の弱者救済には世代内扶養が必要ではないのかとの事。
民間ではこういう論もでてるんですね。

投稿: まひわり | 2007年8月 9日 (木) 10時38分

まひわりさん、コメントありがとうございます。

お教えいただいたサイトを拝見させていただきました。

統計結果に基づき、淡々とおっしゃるような論を展開していますね。

非常に参考になりました。今後ともよろしくお願いいたします。

投稿: VMax | 2007年8月10日 (金) 20時45分

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