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2007年11月15日 (木)

ホームカントリー・バイアス

本日の日経新聞朝刊の大機小機に、「ホームカントリー・バイアス」という題材で、コラムが書かれていました。

その主旨は、当ブログを読まれている方にとっては、耳タコな話だと思います。このコラムの要点をかいつまんで記すと、

日本の世界株式指数に占める時価総額比率は、1989年の40%から、97年には13%、現在では9%と減少してきていること。逆に、新興国比率は、1%⇒7%⇒11%と増えて来ていること。日本の企業年金においては、株式比率は日本株6:外国株4となっていて、ホームバイアス満載であること。この傾向は外国でもよく見られる現象であること。他方、そのホームバイアスで集中投資した日本市場は、89年から現在までで、年率で日本▲2%で、北米10%、欧州・パシフィック6%、新興国12%と比較して、リターン面でこのホームバイアスがもたらした結果には非常に寒いものがあったこと。結論として、ホームバイアス再考の必要性が意識される日が近いのでは。

といったような内容です。当ブログでも、以下のようなエントリーで書いていることと、ダブる内容です。

http://max999.cocolog-nifty.com/blog/2007/04/post_41bc.html

http://max999.cocolog-nifty.com/blog/2007/07/post_3a2a.html

日経新聞のコラムにおいて、このようなホームバイアスのテーマが語られるようになったとは、進歩したものだと感慨深く思うべきか、それほど日本株式の低迷は目を覆うほどだと嘆くべきか。ホームバイアスは万国共通なれど、それで困っている国など、おそらく日本以外には殆ど無いと思います。強いて挙げれば、21世紀の米国くらいでしょうか。

今回書きたかったのは、実は別のテーマだったのですが、長くなりそうなので、そのテーマについては、また別に次回を設けて書こうと思います。

では、相変わらず乱調な市場ですが、長期投資家である我々は、全く気にせず、穏やかに過ごしましょう。

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コメント

バブル崩壊後の低迷ですが昨今のものでも10年前の新興国ブームのタイで10000-5000、7年前のITバブルのナスダックで5200-2800ですからいかに酷いかわかります。

日本株の場合世界最大の金満国家になった上での株・土地バブルですから当分戻って来れないのも無理ないのかもしれません。(米大恐慌も25年かかってますし)まあバブル市場(特に株・土地両方で発生したら)からは気が付いたら逃げろと言うことなんでしょうね。

ホームバイアスですが難しいですよね。いつも思うんですが我々個人投資家ならはじめる時で100万単位、そしてゴールとしている水準であれば数千万から1億2億でほぼ限られると思います。(現在の貨幣価値で)これでしたら別に日本だろうが米国だろうが中国だろうがアフリカの聞いたことの無い国でも恐らく自分の売り買いで相場を左右せずにいることができるでしょうから自由に投資できます。これは大型株・小型株、債券・社債などの比較においても同様です。

でもこれが我々の給与から毎月引き落とされる公的年金であればもうその規模(厚生150兆・共済50兆)から自由に海外に投資することなど不可能ではないでしょうか。(リスクプレミアム付きの値段で買う・まともなPERで買うという意味)少なくとも大人口国の年金を扱っていれば無理でないかと思います。(ハーバード基金やバフェットとてこれに比べれば小さな体で無いかと)

釈迦に説法かと思いますがやっぱり公正な価格って大切ですよね。我々個人投資家は小ささゆえ自由に動けますがそれゆえに高値つかみをすることもあると思います。(堀江事件以降の日本新興市場やシーゲルらの本のバブル株の事例を見てそう思います)それらのバイアスを乗り越えて分散投資をしたいですね。

投稿: ROM人 | 2007年11月16日 (金) 05時41分

資産運用におけるホームバイアスの話は、たしかによく言われることではありますが、しかし、ホームバイアスにはそれなりの理由もあるのではないでしょうか?
外貨建て資産は、その資産の市場価格の変動以外に為替リスクも伴います。従って、自国通貨建てでリスクリターン比を理論的に考えれば、外貨建て資産は自国通貨建て資産より不利になるはずです。為替を完全にヘッジすればこの不利は消せますが、為替ヘッジのための証拠金などが別途必要になります。従って、外貨建て資産は理論的には自国通貨建て資産より幾分か不利な運用対象であり、自国通貨建て資産での運用比率がグローバルマーケットでの時価総額比率より大きくなるのはむしろ必然であると思われます。
もっとも、日本のように、中央銀行が資産価格を故意に抑制しているような国の場合には、たしかにまた別の議論が必要になりますが・・・。

投稿: dell | 2007年11月16日 (金) 21時57分

dellさん、どうもです。

なかなか、興味深い議論ですね。

いただいたご意見について、私はこう考えます。

>外貨建て資産は、その資産の市場価格の変動以外に為替リスクも伴います。従って、自国通貨建てでリスクリターン比を理論的に考えれば、外貨建て資産は自国通貨建て資産より不利になるはずです。為替を完全にヘッジすればこの不利は消せますが、為替ヘッジのための証拠金などが別途必要になります。

為替ヘッジ付の投資信託を買うときには、個人投資家は、証拠金その他追加資金負担の必要はありません。一方で、別途FX等を用いて通貨ヘッジしようとすれば別途、証拠金が必要になります。追加資金が必要かどうかは、取引制度や信用主体その他のスキームの違いによって生ずる付随的なものであって、通貨ヘッジという経済行為自体に必ずしも必然的な要素ではないと思います。

もし、追加差し入れ証拠金など必要ない、ある意味理想的な状態を仮定すれば、明らかに日本株式と為替ヘッジありの海外株式のポートフォリオは、日本株式のみのポートフォリオよりも論理的にリスクリターンは良くなるはずです。
(この理屈、確かこのエントリーで参照した以前の当ブログでの紹介書籍の中にも書いてあったような気がします。)

その理想世界では、ホームバイアスを正当化することのできる論理は存在しないと思います。

とここまでが、純粋理論的な論理展開だと思います。

その次が、為替ヘッジ付の適切な海外資産投資信託等がない、あるいはデフォルトも衰退も自国通貨インフレも社会保障制度の荒廃もあり得る国家リスク満載の現実世界を踏まえて、わざと通貨ヘッジをしない等といった現実事例の場合の議論です。

例えば、為替のボラティリティが12%、外国株式の現地通貨ベースのボラティリティが18%だとすると、外国株式の日本通貨ベースのボラティリティはどの程度になるでしょうか?
18%+12%=30%でしょうか。
実際、ヒストリカルには、せいぜい20%とかそんな水準です。要は、為替リスクをとっても、そんなに劇的にはボラティリティは上がらないのが実際のところです。通常は、株式自体のボラティリティの方が為替のそれよりも一般には大きく、しかも両者の相関は大きくないことが通常ですので、現地通貨ベースのボラティリティに対し、追加為替リスクを加味しても、ほんの数%程度しか、外国株式資産の日本通貨ベースのボラティリティは上がらないというのが、私の経験の範囲では典型的な結果だったと思います。

このときは、外国資産の通貨をヘッジしようがしまいが、効率的な資産ポートフォリオの資産比率には、あまり劇的な変化がないのが、典型的な結論だと思います。

つまり、株式中心のポートフォリオを考える場合には、外国資産の通貨をヘッジするか否かでは、効率的アロケーションの各資産割合の結論は劇的には変動しないので、為替リスクの存在は、ホームバイアスの正当性を立証する論理的理屈には、あまりつながらないのではと考えます。

以上、とても面白いテーマであるため、真剣な反論を展開してしまっていますが、気を悪くされたらごめんなさい。この手の理屈について、どうしても深みにはまってしまうのが、良くも悪くも当方のくせですので。

では、また興味深いご意見、お待ちしています。

投稿: VMax | 2007年11月17日 (土) 00時53分

>為替のボラティリティが12%、外国株式の現地通貨ベースのボラティリティが18%だとすると、外国株式の日本通貨ベースのボラティリティはどの程度になるでしょうか?
18%+12%=30%でしょうか。
実際、ヒストリカルには、せいぜい20%とかそんな水準です

たぶん、その例だとボラティリティーは20数パーセントといったところではないかと思います。
仮にたとえばボラティリティーが18パーセントから23パーセントに増えたとして、効率的な資産ポートフォリオの資産比率はあまり変化しないのでしょうか?細かい計算はしていないのですが、第一印象的にある程度資産比率が変わってくると思ったのです。もちろん、この議論で日本の年金の6:4のような極端なホームカントリーバイアスは正当化し得ないと思います。しかしながら、為替の問題を考慮すれば、効率的ポートフォリオにおいて時価総額比率よりは自国建て資産が多くなるはずだと考え、あえてこのようなミクロな議論を展開させて頂きました。
ちなみに、この手の理屈っぽい議論をするVMaxさんが好きでいつもここを読ませて頂いています。今後とも理屈っぽい議論、期待していますよ。

投稿: dell | 2007年11月17日 (土) 01時29分

dellさん、理屈っぽい議論にお付き合いいただいてありがとうございます。(不愉快に思われていないようで安心しました。)

>たぶん、その例だとボラティリティーは20数パーセントといったところではないかと思います。
仮にたとえばボラティリティーが18パーセントから23パーセントに増えたとして、

この話は、ここのところがポイントだと思います。しかしながら、ここで数多くのヒストリカル統計結果を挙げるのも困難ですし、かといって単なる1例をあげても、有効な反証にならないでしょうから、仮に為替と外国株式のリターンの相関がゼロであった場合、かつその資産リターンが対数正規分布に従う場合の日本通貨ベースの理論的なボラティリティを計算してみます。

(18%^2+12%^2)^0.5
の算式で、その答えは21.63%程度となります。上記算式は自然対数の右肩で起こる正規分布の分散の加法法則が、両者の相関0のとき成り立つことを前提に計算しています。(たぶんこれで正しいはずです。)

この理屈で、為替リスク込みでも、ボラティリティがあまりあがらないだろう統計数学的な構造が、たぶん示せているものと思います。

後は、ボラティリティがたいして変わらなければ、結論の効率的アロケーションの結果もそう変わらないはずという単純な2段論法です。(ただし、これについては手元で検証はできていません。また現実にはボラティリティが少々変わり、相関も多少変わるという前提での計算になると思うので、厳密な結果はきちんとした検証をしないとはっきり言えないかもしれません。)

為替リスクを追加しても、ボラティリティの総量が目立って上がらないのは、人間の感覚的には意外で、あらかじめ想像するのは一般には難しいと思います。

だからこそ、前のコメントにも書きましたが、「デフォルトも衰退も自国通貨インフレも社会保障制度の荒廃もあり得る国家リスク満載の現実世界」では、外国資産の為替リスクはきちんと取っておいたほうがよいと、個人的には考えています。これは、上の議論とは直接は関係ありませんが。

それでは、今後ともよろしくお願いいたします。

投稿: VMax | 2007年11月17日 (土) 07時03分

為替リスクを追加してもボラティリティの総量は意外と僅かしか上がらないものなのですね。
大変勉強になりました。ありがとうございます。
今後も面白い記事、期待してます。

投稿: dell | 2007年11月17日 (土) 15時19分

ROM人さん、いつもお世話になります。

お返事、遅くなりましたが、おっしゃられている数々のポイント、100%同意です。

1点追加しますと、日本の場合、ホームバイアスが解けて資金が海外に向かってしまうと、日本国債が暴落して円金利が上がってしまい、国の財政が持たなくなる可能性が高いというオマケつきですので、さらに日本の場合は事態は困難極まりないと思います。

日本国債を買ってくれる外人などいないらしいので、日本人のホームバイアス解消は、国家崩壊とイコールかもしれないところが、なんとも空恐ろしいところでもあります。

あと、この記事に関して当方が本当に書きたかったことは、ROM人さんの今回のコメントの中にすでに凝縮されていると思います。
記事には、日本国での局所的なバブルの世界指数に与えるすさまじさとそれを無視した時価総額比例アロケーション投資のナンセンスさが内在されていると思います。
おっしゃるような、「公正な価格」であるかどうかをきちんと検証した上で分散投資対象とする態度は、とても重要で、かつ大きな価値をもたらすと私も考えています。

なので、私はインデックス投資を基本としながらも、時価総額比例のアロケーションをわざと取らず、バリュー投資の視点で国際分散投資の対象を選別しています。

最近でも、バリューな視点があれば、内外リートの暴落にもまともに付き合う必要はありませんでしたし、長い間新興国ディスカウントの状態にあった新興国から大きなリターンを得ることも可能であったはずですし、中国本土株のクレイジーさに引きずられて上げた香港市場中国株の異常価格からの回帰の痛みをまともに食らう必要もあまりなかったはずです。

やはり、バリューの視点は重要だなと思います。「より愚かな人がより高値で買ってくれるだろうから買う」という、企業収益等の経済的裏づけのない市場センチメント予測に基づき、非合理的な高値圏でやたら売買してしまうと、いつかはつかまってしまい、ベンチマークより大きくやられてフィナンシャルフリーダムはかえって遠ざかってしまうリスクが高まります。

「本源的な価値がある=公正な価格以下で売買されている」投資対象のみを購入して、長期分散投資をする投資態度の力を、あらためて再認識しつつある今日この頃です。

とまあ、こんなことを本当は書きたかったのですが、その本質を見事にROM人さんに先に書かれてしまったのでした。

では、今後ともよろしくお願いいたします。

投稿: VMax | 2007年11月18日 (日) 12時29分

僕も投資が趣味のため利回りはよくありませんが(苦笑)時価総額式でなく安かったら買おう方式としております。まだ投資を始めて2年くらいで無数の失敗を重ねていて日々勉強状態ですね。

今思出だすとこちらのサイトで教わったことで一番勉強になったのは安価で放置されている外国株は為替で損をしてもその高いROEと成長性で元が取れると言うことでしょうか。個人的に為替恐怖症のため多くは円資産としていましたが結局日本株も為替が安くなれば上がり(下手するとダウが上がれば上がり)高くなれば下がりました。(逆)これだと外国株に投資してもリスクは同じだったなあと最近思い失敗したかなと言う状態です。(安く買った外国株の方が利益率が良いですね)まあ長い人生の間にどこかで買いどきもあるでしょうからその時には適時外国株でも買い増し比率を改善させようと思っております。(案外その時は早いかもしれませんけどw)本当に何を買うときでもバリューは大切ですね。

それでは今後も記事の方楽しみにさせていただきます。今回のご返答ありがとうございました。

投稿: ROM人 | 2007年11月18日 (日) 15時12分

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