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2007年12月 5日 (水)

いかにもという感じ

カン・チュンドさんの書かれた、銀行の押し売り姿勢に関する以下のブログが、今のこの業界の性質を如実に表していると思います。

http://tohshi.blog61.fc2.com/blog-entry-416.html

お客の口座内の資金移動に関する個人情報について、ファイアーウォールがなく、投資信託や変額年金の営業に横流しされているという銀行の実態が良くわかりますね。しかし、これ、法的に問題ないのでしょうか?

銀行はどうも、どこかで道を踏み外してしまった気がします。バブル崩壊による窮地が、このような倫理観の無い方向に走らせてしまったのでしょうか。

皆さんも、くれぐれもご注意ください。銀行があなたの口座の大きな資金変動を抜け目無く把握して、その資金を食い物にしようと狙っています。フィナンシャルフリーダムのためには、投資資金を食い物にしようとする業者や相手につかまらないことは必須の最低条件だと思います。

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コメント

顧客の情報に基づいて、なんらかの付加的なアクションをおこすということは、「マーケティング」や「ビジネスインテリジェンス」という名のもと、あらゆる業界でおこなわれています。個人情報が特定できる形で、別の会社に情報を渡さない限り、個人情報保護法的にはセーフなのではないでしょうか。

問題の本質は、顧客情報を利用してビジネスを企むという姿勢そのものではなく、そのビジネスが顧客のためになっていないということでしょう。

投稿: Jun | 2007年12月 7日 (金) 11時06分

こんにちは、カン・チュンドです。
弊所ブログ記事をご紹介いただき、ありがとうございます。自己防衛のために預金を複数行に分ける、円建てMRF、MMFなどをもっと活用するなど工夫が必要かもしれませんね。

投稿: カン・チュンド | 2007年12月 7日 (金) 14時41分

 金融知識の無いものを食い物にする手合いが多くて困りますね。仕組み債などはさも良さそうな条件に見えるので、よく知らないものはついつい騙されてしまいます。騙されないように勉強するしかないのでしょうけど、普通のおじさん、おばさんに勉強しろと言っても無理でしょうね。

 本当に有利なものを勧めるならまだしも、銀行だけの利益にしかならないものを押しつけるのはホントにけしからんと言うところで、職業倫理に欠けるとしか言いようがないです。

 

投稿: 浦島太郎 | 2007年12月 7日 (金) 19時15分

Junさん、はじめまして。

私はこの方面の知識が詳しいわけでもなく、またこの件について詳細に調べる気も全くないので、以下の記述は的外れかもしれません。
でも、銀行が特権的な地位を利用してお客に筋の悪い無理難題を押し付ける例は多々ある(あった)と思います。

例えば、以前大手銀行が、特権的地位を利用して取引先中小企業にデリバティブを無理やり買わせて、金融庁に処分されたはずです。また保険商品の販売でも、特権的な地位にある銀行は、押し付け販売を防ぐための特別な規制を金融庁から受けているはずです。

すべての業界がやっていることだから、銀行もやってよいというふうに自動的になるわけではなく、社会に害成す恐れがある場合は、規制当局が銀行への特別な規制の枠をはめることはよくあることだと思います。

資金移動の個人情報についても、この手のトラブルで銀行が社会に害をなしていると判明すれば、金融庁は法に対して下位に位置づけられる細則を定める規制を設けて、そういった業界を規制すると思います。(たいていの法律は、そういった上位の法律の下にぶら下がっている、規制当局が必要に応じて定める細則で詳細が規定され、業界はそういった細則を守ることになるのが、私の経験の範囲では典型的な姿です。)

そういった規制がすでにあるのかまだないのかわかりませんが、こういった銀行の行為による被害が大きな問題になれば(なったのなら)、間違いなく新しい規制の枠が銀行にはめられる(はめられている)はずです。
ちょうど、金融商品取引法が最近新しく適用されて、銀行の投資信託等の販売が激減したように。

決して、規制当局は他の業界でやっていることが銀行でも実現できるように規制を作っているわけではなく、それが社会的に問題になる恐れ大なら、銀行にのみそれをやることを禁止することもしょっちゅうあるというのが、私の知識と経験の範囲では実態だと思います。

このあたりのことを踏まえながら、このエントリーは書いています。

ご参考になりましたら幸いです。

投稿: VMax | 2007年12月 7日 (金) 20時33分

カンさん、浦島さん、コメントありがとうございます。

今回のカンさんのエントリーも大変参考になる内容で、引用させていただきました。ありがとうございます。

浦島さんがおっしゃるように、銀行とお客の両者には大きな金融知識、金融情報格差があって、一般人に「銀行にだまされないように十分な金融知識と能力を磨け」というのは、酷な話だと思います。

役所もそのようなことは重々承知しているので、金融商品取引法で情報格差のある一般人を守ろうとするのだと思います。

このような弱小ブログではありますが、情報格差のある弱者側に立った問題提起は、今後とも行って行きたいと思っています。

それでは、今後ともよろしくお願いいたします。

投稿: VMax | 2007年12月 7日 (金) 21時04分

こんにちは。早速のご返信をありがとうございます。

なるほど、中小企業との取引に関して、以前に銀行に規制がかけられた経緯があるのですね。法律本文そのものと細則等を含めた体系全体とを区別する必要があるとの点、勉強になりました。

私の先ほどのコメントは、他の業界がやっているから、銀行もやっていい、という意図ではありません。もちろん、銀行が法の精神と照らし合わせてアンフェアだということになれば、規制されてしかるべきでしょう。

しかし、この件、銀行は本当にアンフェアだと言えるのでしょうか?アンフェアだというためには、例えば、顧客側にその銀行以外の選択肢がなかったり、得られる情報が対等でなかったり、という何らかの前提条件が必要ではないでしょうか。

投稿: Jun | 2007年12月 8日 (土) 05時28分

Junさん、コメントありがとうございます。

またまた、記憶と知識があやふやなので、以下で間違ったことを言ってしまうかもしれないのですが、以下のような実際の例があったはずです。

銀行が証券仲介業を営むことを認める自由化があった際に、実際に物理的に銀行と窓口を別の場所にして、人(担当)も別に置くことその他を規制として要求されたように記憶しています。銀行内部情報のファイアーウォールまで要求されたかどうかはわからないのですが、間違いなく証券等外部業界と競争条件のイコールフッティングの観点と、銀行が単なる仲介商品を、あたかも銀行自身が元本保証している安全な商品であるかのごとく売るトラブルを防ぐための規制だと私は解釈しています。

銀行は一昔前、変額保険を用いてお客の人生を大きく狂わせる問題のある販売をして数々の訴訟にまで発展しました。(有効な相続税対策になるとして借金をしてまで変額保険を買わせたやつです。)

当局も、問題が大きくなる前に適切な規制を設けないと、監督規制している自分の立場が危うくなりますから、銀行が内部情報を使って、高額決済等を行おうとしている国民を苦しめていると判断すれば、当然のように、その行為に何らかの規制をはめるだろうという推定を私はしています。

つまり、銀行が決済手段として唯一に近い特権的立場(これは国が与えた特権です)を利用して、その決済を行おうとしている国民の利益を害していると当局が判断すれば、その行為に対して当局は規制する(国が与えた特権によって生ずる弊害を取り除く)と思います。要は、国は、公共の福祉の視点で必要な規制を適用しています。

おっしゃるところのアンフェアかどうかは、公共の福祉を増大しているか、逆に損なっているかというのが1つの重要な視点であることが、法律の条文を読むと感じられます。(そのような事態を改善するための追加規制の自由度を確保した条文になっているのが典型的な法律の文章だと私は理解しています。)

以上、ご参考になりましたら幸いです。

投稿: VMax | 2007年12月 8日 (土) 08時18分

単なる本人のメモです。

12月22日朝日新聞の「保険窓販 全面解禁」の記事中に、以下の記述がありましたので、以下に引用します。

『銀行が預金口座や資産に関する情報を顧客の同意なしで保険の売り込みに使うことや、融資審査中の相手に保険を勧誘することは圧力販売になりかねないため原則ルール違反となる。』

この新聞の記述を信じれば、少なくとも預金口座への高額着金情報を捕らえて保険商品の営業をかけることは、法令に触れる可能性があると思います。

投稿: VMax | 2007年12月26日 (水) 20時22分

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