ターゲットイヤーファンドというタイプのファンドがあります。
今日は、このタイプのファンドに関して、私の知っている注意点、考えなければならないことを一点書いて見ようと思います。
例えば、2030年頃に退職予定の人のために、2030年に向けてファンドの株式比率を段階的に減らしていくようなバランスファンドのことを指しています。
米国ではずいぶん前からこのタイプのファンドは存在していて(確かバンガードとかフィデリティ等が出していたのではないかと記憶しています)、このタイプのETFまで出始めているような状況です。
この分野、正確なことは知らないのですが、日本では野村がゆうちょ銀行で販売したことで市場で注目を集めているようです。しかしながら、日本マーケットでは、まだまだこのタイプのファンドは市場に本格的に浸透するには至っておらず、市場発展の初期段階だろうと思います。
このタイプのファンドの存在意義やメリット、デメリット、ナンセンスな点等、様々な論点でいろいろな議論があり得ると思います。また、その議論についても、なかなか白黒つく話では無いことが容易に予想されます。
ここでは、一点、私が知っている事実だけを提示して、そこに存在している問題点を指摘したいと思います。
米国ではこのタイプのファンドは、ずいぶん前から存在していると上で書きましたが、このタイプのファンドがターゲットイヤーに向けてスケジュール通りに、愚かな人間の感情を抜きにしてリスクエクスポージャーを機械的に減らしてくれると通常は期待してしまいますが、それが必ずしもそうではないのです。
米国では、(確か複数の)大手のターゲットイヤーファンドが、前に株式の基本エクスポージャーを増やす変更を、運用の途中で行っていたと私は記憶しています。要は、運用開始時に株式60%からターゲットイヤーに向けて株式30%にまで減らしていきますと謳っていたファンドが、これからは当初株式比率を80%、ターゲットイヤーの株式比率を40%に変更しますなんてことをやったわけです。
これをやられたら、ターゲットイヤーファンドに投資し、リスクエクスポージャーを少しずつ減らして欲しいお客にとってはたまったものではありません。株式60%のバランスポートフォリオが、この変更によって、例えば逆に株式75%にリスクエクスポージャーが上がってしまうわけです。
下手したら、サブプライムによる市場の動乱の前に、きっちり株式比率が上がってしまって、当該ターゲットイヤーファンド群は見事につかまってしまっているかもしれません。
まさに天井買いのど素人のような投資行動になってしまっているわけです。
なぜ、こんなことが起こるかと言えば、当然投資信託会社に第一義的な責任があるのはもちろんですが、市場が上がっているときに株式比率の高いファンドを買いたがるお客自身も遠因となっているはずです。
投資信託会社も商売ですから、お客が直近の市場の好調を背景に株式比率の高いターゲットイヤーファンドを好んで買う行動を起こすから、売れて商売を成り立たせることを目的に株式比率の後日変更をやるターゲットイヤーファンドが出てくるわけです。
人間の感情が作っているマーケットですから、バックミラーを見た投資行動でリスクリターンを悪化させるナンセンスな行動は、そんな行動を排除する目的のターゲットイヤーファンドにまで影響を与えかねません。
この米国の事例は、間違いなく日本でも起こり得ると思います。
バックミラーを見た愚かな投資行動はターゲットイヤーファンドに投資しても防げないかもしれないということは知っておいたほうがよいと思います。
個人的には、バランスファンドに投資するなら、こんなことが起こりえないスタティックアロケーションのバランスファンドをお勧めします。群集心理に巻き込まれて、高値買い安値売りという愚かな投資行動をしないという、賢い投資家行動を貫徹するのも、ほんと大変という気がします。こんなところにまで、落とし穴があるのですから。
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