バフェットの教訓
表題の書籍を読みました。
書籍の中のバフェット氏の言葉で、私が好きな言葉の一つは、
「われわれは市場や金利や景気の一年後について意見を持ったことはない。現在も持っていないし、将来も持つつもりはない。」
です。
当ブログを前から読んで下さっている方にとっては、当方がインデックス投資とバリュー投資をミックスさせた考え方で投資を行っていることは、よくご存知のことだと思います。
ETF等を基本として、割安な投資ビークルで国際分散投資ポートフォリオを構成し、そしてバリュー株ETF等をポートフォリオの主役とし、また、数十年の超長期投資を基本としながら、バリューの観点でクレイジーな高値に買い上げられたと判断する場合は、例外的にポートフォリオから外すという投資行動スタンスを取っています。(とはいっても、外した例は殆どないのですが)
インデックス投資とバリュー投資は相反する考え方と思われるかもしれませんが、両者のスタンスには実は、根源的に共通する考え方があると思います。それは、
「長期においては、全ての投資市場において、その価格は本源的な価値に収束する。」
という信念というか哲学です。このようなスタンスに立って超長期のスパンで考える限り、冒頭のようなバフェット氏の台詞は、バリュー投資家のみならず、インデックス投資家にとっても、至極妥当なものだと思います。
「1年後の市場や金利や景気を予測して、それを当てたところで、数十年後の投資対象の本源的価値には大して影響を及ぼさないのだから、短期指向の投資家群やミスターマーケットに翻弄されて近視眼的に右往左往するような愚かな投資行動を取らない」というのが、長期指向のバリュー投資家とインデックス投資家に、共通して求められる態度だと思います。
私は、投資対象の本源的な価値に比して、価格が割安か割高かを判断可能だと考えて投資対象を選別するのがバリュー投資家で、それは出来ないこととして選別しないのがインデックス投資家という理解をしています。
なので、自分は偉大な投資家とは違って、案件の割高割安を的確に識別することなど、大体において出来ないと思っているので、殆どインデックス投資家のように振る舞っていて、それでもこれはクレイジーに割高だとか、よだれがでそうに割安だと思える等、ごくごく一部の状況やケースに限って例外的にバリュー投資家のように振舞っているわけです。
かなり前に自分の投資行動をこういう具合に整理してから、自身のバリュー投資とインデックス投資の間の葛藤はきれいに消えました。両者は、実は相反するものでも何でもなく、単にバフェット氏の言う、「自らの能力の範囲に留まる」ことで、バリュー寄りであったり、インデックス寄りであったりという、異なる投資態度になるだけの話だと、腑に落としたわけです。
完全なインデックス投資スタンスを目指しても、欲と恐怖に振り回され続ければ、資産を成長させるどころか減らし続けるでしょうし、完全なバリュー投資スタンスの極端な集中投資であっても、バフェット氏のような能力者であれば、破格の成果が出るわけです。大切なのは、「自らの能力の範囲に留まる」、言い換えると「自身を知って、自分の能力を超えたばくちを決してしない」という自己管理能力なのだと思います。
そういう意味で、インデックス投資寄りの自身の投資においても、バフェット氏の台詞には、参考になるところがたくさんあると感じています。
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コメント
はじめまして。勇気付けられる記事ありがとうございます。仕事が営利企業でなく、投資の勉強に使える時間があまりないので、インデックス投資家が能力の範囲内なのはわかっているのですが、知的探究心が旺盛すぎて純粋なインデックス投資家になれなくて困っていました。今までも、IVV+EFAの代わりにIOOにしたり、JXI、IXJ、KXIを一定割合いで持ってました。
この記事を読んでかなり腑に落ちました。続けて、バリュー系インデックス投資家を目指します。インデックス投資家としてはMOを買うのもどうかと思うので、実現のためにWisidomTreeを楽天でも扱ってもらえるように働きかけたいと思います。
投稿: ドクター・イエロー | 2008年2月 2日 (土) 23時58分
ドクター・イエローさん、コメントありがとうございます。
当記事がお役に立てたのであれば、とてもうれしい限りです。
「バリュー系インデックス投資家」って、とても的確で良い言葉だと思います。私もまさにこの言葉の示すカテゴリーの投資家です。
楽天証券でWisdomTreeが取り扱われる日が早く来ることを願っています。
それでは、今後ともよろしくお願いします。
投稿: VMax | 2008年2月 3日 (日) 09時14分