ドル安ですね。
1ドル100円を割ってしまいました。
注意しなければいけないのは、これはドル安であって円高ではないということ、すなわち、ドルとドルリンクの通貨が、その他の世界通貨に対して弱くなっているのであって、円がドルとドルリンク通貨以外の通貨に対して強くなっているわけではないということです。
なので、国際分散投資のために米国市場ETFに投資していて、その投資ビークルが全て米ドル建てであるからといって、それら投資ビークルの全てがドル円為替リスクを有しているわけではないことは、当ブログでも何度か書いていますけれど、押さえておかなければならない点だと思います。
このポイントが腑に落ちていない方は、以前書きました以下のブログをご参照いただければと思います。
http://max999.cocolog-nifty.com/blog/2007/04/post_8f8f.html
http://max999.cocolog-nifty.com/blog/2007/07/post_b923.html
米ドル建てビークルであったとしても、米ドルに全く関係の無い国や地域に投資している限りは、「ドル円が100円を割った。どうしよう。」とあわてる必要はさらさらないわけです。
また、株式等のリスクプレミアムが存在するビークルに対する長期の分散投資を行う場合は、そのリスクプレミアムの存在がもたらす長期上昇期待値効果の方が、ゼロサムのぶれである為替の変動よりも、長期的には圧倒的に勝ってしまう結果となるため、このような投資を指向する場合は一般に為替のヘッジなどを想定する必要はないと思います。このポイントについても、以前当ブログで取り上げています。
http://max999.cocolog-nifty.com/blog/2007/04/post_9b79.html
純粋理論的に理想的かつ仮想的な状況を考えれば、外国株の為替リスクをヘッジしようとヘッジしまいと、リターン期待値は同じになります。現実はそのような美しい理論世界でないところが事態を難しくするポイントではあるのですが、1つ明確なことは、株式等リスク資産に正のリスクプレミアムが存在することは、超長期の資本主義の歴史という実証統計で証明されている一方で、為替の1方向のポジションに明確なリスクプレミアムがあることを実証的に証明することは出来ていないはずだということです。すなわち、株式資産投資によって、将来リスクプレミアムが正のリターン期待値として見込まれることは、過去の資本主義の歴史という実証統計で証明されるほど確からしいことであって、その一方で為替のポジションからリスクプレミアムが得られるかどうかは、だれも実証統計で証明しきれないほど怪しいものだと言えるのではと思います。
実際は、為替ポジションをもつには、そのポジション保有期間中に見合った双方の通貨の金利差を清算する必要があります。すなわち、為替の世界では、ゼロサムゲームを前提とした裁定により、ポジションを持つ場合の適正清算額が決められるしくみになっています。要はポジションを建てる時点では、損得はフィフティフィフティ(つまり将来リターン期待値はゼロ)となるように、ポジションを持つ際の条件は定められます。これが、為替は純粋理論的にはゼロサムと呼ばれる理由です。
海外資産投資に、自前で為替ヘッジをかけようとすることは、投資ゲームの中にゼロサム、実際は様々な摩擦(手数料等)が介在するマイナスサムゲームを混入させることを意味することになります。
そのマイナスサムゲームに勝利するには、将来見通しの冴え、あるいはその他の、確実に世の中の平均を大きく上回る、何らかの優位性が必要になります。
その優位性をもたない一般の人間は、為替が怖いからといってヘッジしようとすると、様々なコストを含んだマイナスサムゲームの混入により、確実に長期のリターン期待値は下がります。(ここでは、将来のリターン額が確実に下がると言っているわけではないことにご注意ください。より不利な投資方法を採っていても、極端に運がよければ、結果は期待値を上回ることがあります。宝くじを1回買ったら、資金は期待値としては約半分に減りますが、中には当って億万長者になる人も若干はいるのと本質は同じです。)
純粋理論的には為替はゼロサムですが、実際は日本国家が破綻に窮して、このゼロサム前提が崩れる可能性もあります。どちらかというと、海外資産の為替リスクをヘッジしてしまうと、円通貨とモノの関係に強烈にベットしてしまい、日本国の信用力の低下等により円通貨の購買力が地に落ちてしまうと、それだけで投資の成果は見るも無残なものになるリスクに直面することになります。
外国資産の通貨をヘッジすることは、ある意味、日本国、日本円通貨、言い換えると日本国の信用リスクに対して、一点集中投資をしていることを意味するのかもしれません。「何が本当のリスクなのか」という問いは本当に奥が深く、難しい問いだと思います。
こんな考えで、私は長期国際分散投資を目的として投資した海外資産ビークルに対して、為替ヘッジなど全くしていませんし、将来も全くやるつもりもありません。
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