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2008年3月15日 (土)

ドル安

ドル安ですね。

1ドル100円を割ってしまいました。

注意しなければいけないのは、これはドル安であって円高ではないということ、すなわち、ドルとドルリンクの通貨が、その他の世界通貨に対して弱くなっているのであって、円がドルとドルリンク通貨以外の通貨に対して強くなっているわけではないということです。

なので、国際分散投資のために米国市場ETFに投資していて、その投資ビークルが全て米ドル建てであるからといって、それら投資ビークルの全てがドル円為替リスクを有しているわけではないことは、当ブログでも何度か書いていますけれど、押さえておかなければならない点だと思います。

このポイントが腑に落ちていない方は、以前書きました以下のブログをご参照いただければと思います。

http://max999.cocolog-nifty.com/blog/2007/04/post_8f8f.html

http://max999.cocolog-nifty.com/blog/2007/07/post_b923.html

米ドル建てビークルであったとしても、米ドルに全く関係の無い国や地域に投資している限りは、「ドル円が100円を割った。どうしよう。」とあわてる必要はさらさらないわけです。

また、株式等のリスクプレミアムが存在するビークルに対する長期の分散投資を行う場合は、そのリスクプレミアムの存在がもたらす長期上昇期待値効果の方が、ゼロサムのぶれである為替の変動よりも、長期的には圧倒的に勝ってしまう結果となるため、このような投資を指向する場合は一般に為替のヘッジなどを想定する必要はないと思います。このポイントについても、以前当ブログで取り上げています。

http://max999.cocolog-nifty.com/blog/2007/04/post_9b79.html

純粋理論的に理想的かつ仮想的な状況を考えれば、外国株の為替リスクをヘッジしようとヘッジしまいと、リターン期待値は同じになります。現実はそのような美しい理論世界でないところが事態を難しくするポイントではあるのですが、1つ明確なことは、株式等リスク資産に正のリスクプレミアムが存在することは、超長期の資本主義の歴史という実証統計で証明されている一方で、為替の1方向のポジションに明確なリスクプレミアムがあることを実証的に証明することは出来ていないはずだということです。すなわち、株式資産投資によって、将来リスクプレミアムが正のリターン期待値として見込まれることは、過去の資本主義の歴史という実証統計で証明されるほど確からしいことであって、その一方で為替のポジションからリスクプレミアムが得られるかどうかは、だれも実証統計で証明しきれないほど怪しいものだと言えるのではと思います。

実際は、為替ポジションをもつには、そのポジション保有期間中に見合った双方の通貨の金利差を清算する必要があります。すなわち、為替の世界では、ゼロサムゲームを前提とした裁定により、ポジションを持つ場合の適正清算額が決められるしくみになっています。要はポジションを建てる時点では、損得はフィフティフィフティ(つまり将来リターン期待値はゼロ)となるように、ポジションを持つ際の条件は定められます。これが、為替は純粋理論的にはゼロサムと呼ばれる理由です。

海外資産投資に、自前で為替ヘッジをかけようとすることは、投資ゲームの中にゼロサム、実際は様々な摩擦(手数料等)が介在するマイナスサムゲームを混入させることを意味することになります。

そのマイナスサムゲームに勝利するには、将来見通しの冴え、あるいはその他の、確実に世の中の平均を大きく上回る、何らかの優位性が必要になります。

その優位性をもたない一般の人間は、為替が怖いからといってヘッジしようとすると、様々なコストを含んだマイナスサムゲームの混入により、確実に長期のリターン期待値は下がります。(ここでは、将来のリターン額が確実に下がると言っているわけではないことにご注意ください。より不利な投資方法を採っていても、極端に運がよければ、結果は期待値を上回ることがあります。宝くじを1回買ったら、資金は期待値としては約半分に減りますが、中には当って億万長者になる人も若干はいるのと本質は同じです。)

純粋理論的には為替はゼロサムですが、実際は日本国家が破綻に窮して、このゼロサム前提が崩れる可能性もあります。どちらかというと、海外資産の為替リスクをヘッジしてしまうと、円通貨とモノの関係に強烈にベットしてしまい、日本国の信用力の低下等により円通貨の購買力が地に落ちてしまうと、それだけで投資の成果は見るも無残なものになるリスクに直面することになります。

外国資産の通貨をヘッジすることは、ある意味、日本国、日本円通貨、言い換えると日本国の信用リスクに対して、一点集中投資をしていることを意味するのかもしれません。「何が本当のリスクなのか」という問いは本当に奥が深く、難しい問いだと思います。

こんな考えで、私は長期国際分散投資を目的として投資した海外資産ビークルに対して、為替ヘッジなど全くしていませんし、将来も全くやるつもりもありません。

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コメント

ヘッジ不要同感です。そんなに為替リスクが嫌なら大人しく止めておけというのが個人的意見です。(仕組み商品の香りがしますw)

とりあえず為替相場のブーム&バーストでバーストの段階が来ましたね。まずはドルから買い場に近づいてきているようなので適当なところで海外投資比率を少し上げようと思ってます。(欧州はまだですが溜まっているものを考えると時間の問題でしょう)

それにしても最近の騒動はすごいですね・・・・・投資生活3年目にしてこんなすごいものを目にすることになるとは思いませんでした。(まあ最高の買い場ではありますが・・・)ところでVMAX様はこういうのは結構体験されていて慣れてるのでしょうか?(勝手にベテラン投資家と思ってたので気になりまして) 

投稿: ROM人 | 2008年3月16日 (日) 02時38分

ROM人さん、おはようございます。(いつもコメントありがとうございます。)

当方、投資歴だけは長く、1990年代の日本のバブル崩壊の途中から、投資の世界の経験があります。なので、投資に関しては、たいていのことはすべて経験していると思います。

これは投資に関する失敗を一通り全部こなしていることを意味します。その長年の失敗の経験から、「株式のリスクプレミアムを長期投資で取る方法ほど安全・確実で成果の上がる方法はない」というところにたどりつきました。

いろんなことを経験して腹に落としておくと、こんな市場のときにも「自身のタイミング投資能力など丁半ばくち以下で、資本主義の長期の歴史に裏付けられた優位性を削ってしまいかねない」と思い知っているので、あたふたせずにすみ、投資態度に腹が据わるので、このような過去の経験にはとても意味があると思います。

ただ、やっぱり、「投資を始めたときに今持っている知識があれば(壮大な回り道をしなくて済んだのに)」と思ってしまいますね。

個人的には、今は国際分散投資により積極的に踏み出すにはとてもよい時期なのではと思います。

それでは、お互い、10年に一度しか得られないかもしれない、貴重な経験を楽しみましょう。

投稿: VMax | 2008年3月16日 (日) 08時47分

車カフェと申します。
いつも勉強させて頂いております。
本格的に投資開始して1年目にして、凄い状況を体験しているなと思いながら少しずつ買い増してます。残念ながら「貴重な経験を楽しみましょう」という境地までは辿りついておりませんが。。

本題とそれてしまいますが、前からお伺いさせていただきたいと思っていたことがございます。
VMAXさんは米国証券会社経由でETF等を購入されているのかと思ってますが、米国証券会社経由の場合 配当の税金が総合課税になるので、資産が増えれば増えるほど国内での税金支払いが厳しくなるのではないでしょうか。この点どのようにお考えでしょうか?
この配当は相殺できる方法がないかと思っていたのですが、何かしらで相殺されているのでしょうか?それとも海外では無配当のものを主にご購入されていらっしゃるのでしょうか。

もしよろしければお教えいただけると幸いです。

投稿: 車カフェ | 2008年3月16日 (日) 11時18分

過去の記事を拝見していて、下記みつけました。失礼致しました。
その上でお伺いすると「必要最低限の年間生活費にかなり近づいてきている」ということで、国内税金支払いがかなり高くなっているかと思いますが、それでも海外口座を利用されているのは、商品性の優位が税制優位に勝るというお考えからでしょうか。
それとも過去の投資経緯ということで、今後は国内証券会社経由での投資をされる予定でしょうか。

>例によって今年も、海外口座の配当とキャピタルゲインディストリビューションを配当所得として総合課税申告することになります。
>ポートフォリオからの配当収入だけでも、結構な収入金額となってきており、必要最低限の年間生活費にかなり近づいてきているので、さらに、市場の下落に対して個人的に何の意味も感じなくなってきています。

投稿: 車カフェ | 2008年3月16日 (日) 13時29分

車カフェさん、どうもです。

ご質問の件、配当金に対する税制について、国内証券会社のほうが、海外証券会社よりも優位であるにもかかわらず、海外証券会社をメインで利用しているのは、商品のバラエティと質、利便性、手数料といったその他の優位性に価値があると思っているからです。

特にIBは、日本を含む世界の市場にアクセスできます。IBは日本の証券会社の代わりになり得ますが、日本の証券会社はIBの代わりができません。結局は、限られた選択肢の中で買うことが決まっている資金のみ、日本の口座に向かい、その他大半の資金はUSの証券口座に向かってしまっているのが、当方の実情です。

あまり確固とした根拠に基づいているわけではないのですが、日本の証券会社を介した投資環境とUSの証券口座の投資環境の差は、ずっと埋まらないのではと思っています。昨今の日本の証券取引所や証券会社の行動を見ると、特にそう思います。まさに、極東のマイナー市場の位置づけを得るための手を打ち続けているかのように思えてなりません。

現在のボーダレスな時代において、世界中で最も流動性が高く、競争も激しく魅力的な商品やサービスが溢れている市場を使える環境、条件が自身にあるなら、使わない手はないと思っています。

こんなところですが、ご参考になりましたら幸いです。

投稿: VMax | 2008年3月16日 (日) 16時19分

VMAXさん

当方は国内・海外どちらも利用しているのですが、時折このことを考えてます。
いつも勉強させていただいているVMAXさんのご見解を教えていただきありがとうございました。

投稿: 車カフェ | 2008年3月16日 (日) 17時12分

こちらこそいつも記事で勉強させていただいてます。これからもどうかよろしくお願いします。

バブル期からとなると相当なベテランですね・・・・当方が悟る用になるまではまだまださきのようですw

まあ楽しむというまでは行きませんが、百面相をしながらも弱気でないのが不思議です。(発狂するのは去年の秋にやりつくしましたw)バリューでもなくファンダメンタルでもない流動性危機というのがいかに買い場であり、またこの瞬間に現金を持っているのが大事か。しみじみ感じます。

ではお互い頑張りましょう。

投稿: ROM人 | 2008年3月16日 (日) 18時46分

いつも拝見させていただいております。
為替ヘッジについては勉強になりました。今後ともよろしくお願いします。竹内重人拝

投稿: shigehito | 2008年3月16日 (日) 22時22分

shigehitoさん、

コメントを残していただき、ありがとうございます。

今後ともよろしくお願いいたします。

投稿: VMax | 2008年3月17日 (月) 02時33分

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