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2008年7月26日 (土)

DEM(その2)

以前、WisdomTreeの新興国高配当株ETFのDEMの運用経過について当ブログで取り上げたのですが、ふと気が付くと、足元でも時価総額比例の同種のETF(例えばEEM)をかなり引き離しています。

以前のブログはこちらです。

http://max999.cocolog-nifty.com/blog/2008/03/dem.html

どうも、今やって見ると、ヤフーのグラフのリンクを期間指定でうまく張ることができないみたいですので、ご興味ある方は、USのヤフーファイナンスでDEMとEEM、VWOのリターングラフを作って見てみてください。

7月15日あたりから、DEMとそれ以外の時価総額比例の新興国株ETFのパフォーマンスに顕著な差が出ています。

当然ながら、それ以前もDEMのパフォーマンスが良く、前回もそれで当ブログにて取り上げたわけですので、DEM取引開始以来のパフォーマンス比較グラフを作っても(昨年7月13日以降)、10%以上DEMのパフォーマンスがその他を上回っています。

前回当ブログで取り上げたときの、DEMの相対的な好パフォーマンスの理由としては、その時点で好調な台湾やブラジルの割合が高く、不調な中国等の割合が際立って低いポートフォリオとなっているのが原因のように思えましたが、最近はブラジルなどの資源国のパフォーマンスは相対的に悪いようなイメージを持っていたので、直近のDEMの時価総額比例ETFに対するアウトパフォーマンスの理由がわからず、ちょっと調べてみました。

で、DEMの直近のポートフォリオ構成を見てみると、持ち株上位であったペトロブラス(ブラジル石油関連株)が、上位から消えているではありませんか。(確か以前は、保有占率1位か2位であったような気がします。あやふやな記憶ですが。)

http://www.wisdomtree.com/etfs/index-details.asp?IndexID=80

そういえば、WisdomTreeのファンダメンタルETFは年1回、配当利回りのランク付けによるリバランスがあるはずで、6月か7月あたりがそのリバランスのタイミングだったかもしれません。(これも、あいまいな記憶ですが)

どうも、直近のペトロブラス等のブラジル株の下落を、高配当株リバランスで、きれいに避けてくれているのかもしれません。

その他気付いたのは、ポートフォリオのIndustry Groupのデータです。確か、DEMのIndustory Groupの上位は、Energy, Materialsだったように記憶していたのですが、今見ると1位がTelecommunication Servicesで2位がBanksになっています。(Energy, Materialsの全体に対する占率は、全体の23.5%くらいです。)

http://www.wisdomtree.com/etfs/index-details.asp?IndexID=80

念のため、EEMについてもどうなっているか調べてみると、

http://us.ishares.com/product_info/fund/overview/EEM.htm

やはり、1位がEnergy、2位がMaterialsとなっており、この両者で全体の40%近くを占めています。(6月末の数値ですが)

このあたりがDEMとEEMの直近のパフォーマンスの差を説明していそうな気がします。

なんか下手な短期投機家よりもよっぽどうまくやってくれている感じです。ただ購入して放置しているだけで、定期的な見直しにより割安なポートフォリオ構成を維持してくれることで好結果をもたらしてくれるのであれば、これほど良い投資ビークルはないですね。

さて、将来はどんな結果になりますでしょうか。

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コメント

VMax様
その節はたいへんお世話になりました。おかげさまで雑誌は大好評で迎えられました。ありがとうございました。

久々にコメントさせていただきます。おっしゃるとおりでDEMとEEMの開きには、一体なにがあったのかと思わせるものがあります。一方で、ちょっと似ているエマージング諸国へのETFで、ADREというのがあり、私も少しもっていますが、それとDEMを比べると、かなりDEMが分が悪いです。よく分からないのが、ADREのIndustory Groupの上位も、Energy, Materialsであることで、両者で44%ぐらいいっているようです。つまり、今回のロジックでいえば、EEMよりダメダメなパフォーマンスになっていてもおかしくないはずなのです。

ADREは、たしかバンクオブNYが管理しているADRのうち時価総額の大きい企業上位50社を選ぶ、みたいな感じのインデックスに連動するものだったと思いますが(適当言ってます)、なぜDEMに対抗し、優勢を保っていられるんでしょうか。やはりADRを出せるほど優秀(?)な企業だけを囲っているから、ということなんでしょうか。

投稿: 西中野 | 2008年7月27日 (日) 08時39分

西中野さん、おひさしぶりです。

コメント遅れまして申し訳ありません。

ADREについては、EEMとのパフォーマンスの違いを調べるために、前に一度見てみたことがあります。そのときはADREのブラジル比率が非常に高かったことを今も覚えています。ブラジル比率が相対的に高く、中国比率が相対的に低いのが、ADREがEEMに対してそのとき相対優位であった主因だと当時は理解しました。今もその状況は変わっていないようです。

http://quicktake.morningstar.com/etfnet/Portfolio.aspx?Country=USA&Symbol=ADRE

ADREのブラジル比率は6月末現在、38.5%で中国比率は9.3%のようです。他方、EEMは、ブラジル比率16.4%、中国比率13.8%のようです。

http://quicktake.morningstar.com/etfnet/Portfolio.aspx?Country=USA&Symbol=EEM

ADREはよくも悪くもブラジルの株価、もっと言うとブラジル株のうちかなりの部分を占めているペトロブラスの影響(含む原油相場関連)をかなり受けるETFだと思います。直近もADREは素直にそのような影響を受けて動いているように見えます。

ちなみにYahooのAdj CloseのデータからDEMとADREをパフォーマンスを計算、比較してみると以下の通りでした。

2007/06/13-2008/07/30
ADRE:▲0.72%、DEM:+4.43%

2008/07/15-2008/07/30
ADRE:+2.07%、DEM:+9.34%

西中野さんのコメントから、当方とは同じデータを見ていないような気がしますし、当方のYahooからのデータ処理が正しくフェアな比較になってない可能性もあると思いますが、上記数字からは、特に直近の半月のパフォーマンスはかなりDEMの方が優位に見えます。

いずれにせよ、DEMにしろADREにしろ、オーソドックスな時価総額比例ETFであるEEMとは、一種異なるビークルであることは、おそらく間違いのないところだと思います。

それでは、今後ともよろしくお願いいたします。

投稿: VMax | 2008年7月31日 (木) 19時57分

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