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2008年11月 2日 (日)

お寒い金融商品たち

金融市場の歴史に残りそうなくらいの下落が起こってしまうと、必然的に、お寒い商品群に悲惨な結果が降りかかってきます。

ちょっと気になって、ある会社の日経平均オプション内包型投資商品の運用レポートをのぞいてきました。いわゆる30%とか日経平均が下がらなければ高金利がもらえるという商品です。

当ブログではすでに山ほど取り上げたり、解説したりしているタイプの商品なので商品説明は省略しますが、今回の下げで設定したファンドの全てが、見事に息の根が止まって(元本保証が外れて)いますね。運用レポートではまだ9月末の結果しか載っていないので、そのレポート上ではまだ生き残っているファンドもありますが、そのファンド群も10月の下げで全てアウトになっているはずです。ノックイン価格がすべて10月の最安終値より上ですから。

この会社は直近数ヶ月はこのタイプのファンドを設定していないようです。たぶん推測するに、このようなノックインが生じ始めた今年の年始あたりから、このようなファンドを販売した会社のお客に対する対応、説明にてんてこ舞いなのではないでしょうか。「こんな大損の可能性のある商品だとは聞いていなかった」だとか「(ほぼ)確定利回りだ(30%も下がりませんから)と聞いた」とかいうやりとりが目に見えるようです。

金融機関にとって、このような利益にもならない負の仕事に延々ときりきり舞いさせられたら、その商品内のデリバティブでぼったくりしたとしても、てんで割が合わないのではないでしょうか。こんなお客対応で振り回されて、商売が長期に中断するばかりか、肥沃であった土壌がやせ細ってしまって将来のビジネス継続のための顧客地盤まで失われてしまいかねません。販売員も、こんな後ろ向きの仕事ばかりではいやになってやめちゃうのではないでしょうか。

全ては、自分たちの利益しか考えない、身勝手な発想による商売から来ていると私は思います。自らの利益(Win)のために、お客の利益(Win)を真剣に追求する、商売人が成功するためには当たり前に必要な態度が欠けているから、必然的にこの結果を得ているのだと思います。

お客のWinを考えたら、この商品のような設計はできません。全ては、見かけ上の高い表面金利を出すがため、すなわち仕組みの良くわからないお客を釣るためにやっている設計だと思います。

こういうところに会社としての品格が出ますし、品の悪い会社は長い目で見れば見事につかまってこけていくように思いますね。これは、おそらくは金融に限った話ではないのでしょう。

それにしても、設定した全てのファンドでノックインとは、ある意味見事というほかありません。

そういえばこの間、個人年金商品でも「80%のノックアウトにひっかかってしまったのだが、どうしたら良いか」という相談をある人から受けました。

やれやれ。

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コメント

 平穏無事に世の中が流れていれば客も金融機関も万々歳なのでしょうけど、年に数回は大幅な価格調整があるのですから、かなりの確率でノックイン価格に引っかかるのではないでしょうか。

 長期間にわたる毎年の変化を示して、この程度であれば損しませんが、経験的な変化率を超える事態になると損が発生しますときちんと説明してから売るべきでしょう。ノックイン価格を下回ったらかくかくしかじかの商品でお返ししますなんて言われても、客は損か得か分かりませんからね。もっとも、損であることがはっきり分かれば、買い手はいないかもしれませんが。でも、買い手のいないような商品設計するのが間違っているので、客の無知につけ込んで騙すのが金融機関の商法ではないはずです。

 私も日経平均が15000円を割らなければ云々と言うお誘いを受けましたが、冗談じゃない13000円さえ割るはずだと言うことで断りました。

 今回の下げは100年に一度どころか500年に一度くらいの下げのような印象ですから、運が悪いと言えば運がそれまでですが。

 いずれにしても金融機関は儲かるが、客は見かけ上の金利につられ、損する確率が非常に高いインチキ商品は困ります。こういうものこそマスコミが叩くべきでしょうけど、叩くだけの知識がないのでしょうね。

 かくいう、私も騙されて買わされた時期がありましたけど、今後はこの手の仕組み債は絶対に買いません。

投稿: 与太郎 | 2008年11月 2日 (日) 20時06分

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