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2008年12月 1日 (月)

レバレッジビークルの落とし穴

最近はUSのETFでレバレッジのかかったものがどんどん出てきているように思います。特に、この方面も全然詳しくないので、推測や憶測のみになってしまい、かつ間違い等もあると思いますが、個人的に問題だと思うことを書いてみようと思います。

最近のレバレッジETF等は、個人的には投資対象として見ていないこともあり、全く覗いて見たことがないのですが、原理的に指数先物等が入っていることが多いのではないかと思います。まあ、資金借り入れ等によるレバレッジをかけても、結果の現象は原理的には同じだと思うので、この際細かいことは無視して話を進めます。

まず、100の資金があって、例えばS&P500の先物を買うことにより2倍のレバレッジ投資を行うETFがあるとします。まず最初に問題なのは、理論的に先物価格は短期金利調整された価格になっているはずですから、上でも挙げたとおり、あたかも100の自己資金のほかに、100の借金をして現物S&P500を購入したときのポジションと、原理的にはほぼ同じになるはずです。ここでもう、想定借入金100に対する借り入れ利子相当分だけ、パフォーマンスが劣後するんじゃないかと思います。

このポイントは、今回指摘したいメインポイントではなく、次のポイントが重要だと思います。

例えば、上の例で100の資金で、先物を使い200のS&P500のポジションを作った後、S&P500が25%やられたとします。すると200のS&P500ポジションは150に減ることとなり、このとき、このETFは50やられて、ETF資金は50に減ってしまうと思います。ここでETF資金が100から50に減ってしまったのですから、S&P500の先物ポジションは150から100に減らさなくてはいけません(2倍のレバレッジに再調整)。したがって先物ポジションの3分の1を売らなくてはならなくなります。

次に、先に25%やられたS&P500株価が4/3倍(≒1.33倍)に増え、原点復帰したとします。すると100のポジションを持ち、50の資金だったETFは、133のポジションとなり、ETF資金は83に増えます。(その後、先物ポジションは167程度に増やされます)

ここは、お約束ですが、ええっ!と驚くところです。(笑)

S&P500がいったん下がった後、上がって元の価格に戻っても、レバレッジがかかったETFは原点復帰できない(100に戻らない)のです。

これは何故か?上の例でこのETFがやっていることを冷静に見ればすぐにわかります。このETFは市場が下がったときにポジションを売りたたき、市場が上がった後に、ポジションを増やすのです。

まさに、リスク資産への投資で資金を失う投資家と全く同じ投資行動になっています。高値掴みで買い、安値で売り叩くことは、人間が感情的にやっても、機械的かつ定期的に行っても、本質的に全く同じ結果を招きます。

つまり、ただ想定借り入れ資金利子にかかる負担だけではなく、その投資行動から生まれるネガティブ要因により、レバレッジビークルは、せっかくのリスク資産の無リスク資産超過リターン期待値を吹き飛ばす構造になっているわけです。

上記の例はまことに荒い例であって、実際はデイリー等でリバランスされるのでしょうが、細かくやっても理論的に問題の構造は解消されることはありません。また、先に上げがきて、後に下げて原点復帰する形でも、同じように、レバレッジビークルは原点割れしてしまいます。

レバレッジETFは、せっかくのリスク資産の無リスク資産超過リターン期待値を吹き飛ばし、長期投資を行うときに得られることを期待する利益源泉が消失してしまう構造にありますから、まさに丁半ばくちに近いビークルになってしまい、長期投資する意味のないビークルになっていると思います。

なので、私はレバレッジビークルは、はなっから投資対象外にしているわけです。

個人的には、当該商品は、賭場のばくち商品と認識しています。ETFの中にも、投資してはいけないと思う商品がどんどん増えてきますね。

そうそう、最近は、昔懐かしのポートフォリオインシュランスのしくみ(市場価格に応じてリスク資産のエクスポージャーを動的に変える仕組み)をまた目にするようになっていますが、個人的には、最近の市場波乱でデリバティブ複製に失敗しちゃった業者が、それに懲りてそのようなリスクの相手方への転嫁を試みているという側面もあるのではないかと見ています。

ちょっと話がそれてしまいましたが、このしくみもまた高値買い安値売りの機械的投資であって、上記レバレッジビークルと全く同じようにリスク資産の無リスク資産超過リターン期待値を吹き飛ばす構造になっていますのでご注意ください。これも、個人だけではなく事業会社もあまねくつかまっているのではないかと懸念され、・・・困ったものです。

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コメント

ベア型の場合も全く同じことが起こるようですね。EEVはEEMと比較すると年単位では全然逆相関になっていません。

投稿: | 2008年12月11日 (木) 22時52分

コメントどうもです。

おっしゃる通り、ベア型でも同じように不利な現象が起こります。

ベア型の場合は、底値で売りたて、上がると売りポジション解消となってしまいますので。やはり機械的にヘボ投資を繰り返すしくみになります。

まさにこれも、投資してはいけない商品だと、個人的に考えています。

それでは今後とも、よろしくお願いします。

投稿: VMax | 2008年12月12日 (金) 05時36分

いつも大変参考にさせていただいています。
昔の記事にコメントですみません。
米大型レバレッジ3倍ブルETFであるBGUとシンプルなVTIを以下のチャートで比較してみたのですが、記事の通りでした。

http://www.google.com/finance?chdnp=1&chdd=1&chds=1&chdv=1&chvs=maximized&chdeh=0&chdet=1251018598878&chddm=77027&chls=IntervalBasedLine&cmpto=NYSE:VTI&cmptzos=-18000&q=NYSE:BGU&ntsp=0

BGUがランチされた08年11月から09年8月現在までの期間でみると、VTIは今回の上がりでプラスに戻ったにもかかわらず、BGUは未だマイナス。差は18%近くにもなっています。私自身はBGUを安値で買い、その後運よく現在まで上がり続けているため、かなりの含み益が出ていますが、ずっと持っておくものではないことが、よーくわかりました。とはいえまだ上がりそうなので売るタイミングも難しい・・私みたいな素人にはBuy&Holdのほうが気楽ですね。

投稿: けーちゃん | 2009年8月23日 (日) 18時37分

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