« ひさしぶりの大荒れ | トップページ | 大震災の後で人生について語るということ »

2011年8月28日 (日)

記事はこわい?

自身の業界に関係ある新聞記事を読むと、「これは違うだろ」と思うような記事によく出会いますが、他の方も同様の経験をされたことがきっとあると思います。

単に知識不足なのか、ある一定の意図があってわざとそのような記事を書いているのかわかりませんが、目を覆いたくなるような記事がけっこうあります。

当方が最近ずっと注目しているスマートフォン、タブレット市場関係で、偶然にも2つ、そのような記事を目にしましたので、例として挙げてみようと思います。

その前に、以下を読むのが面倒な方に向けて、当方の持っている結論を先に書いておこうと思います。

「新聞等の記事は決して鵜呑みにしてはいけない。実態は正反対のケースさえ存在する。投資に利用しようとする場合は特に、必ず自身で裏を取ること。」

では、以下に2つの例をあげます。

まず、一例目。

http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819696E0E5E2E29E8DE0E5E2EAE0E2E3E3869891E2E2E2

この記事を読むといかにもKDDIのビジネスが好調のように見えます。しかしながら、実態は真逆です。

この記事の書き手が知識不足なのか、意図的に触れずにいるのが、以下の2点です。

-スマートフォンの販売統計としては、BCNは特定一部の量販店に偏っていて、実は上記の記事ほど、KDDIがソフトバンクに比べて新規販売が好調なわけではない。

-もっと重要なことは、KDDIの携帯新規販売は純増に結びついておらず、機種変更ばかりなため、実態のビジネスは下手をしたら顧客ベースでは縮小しかねないほど不調な状況にある。

KDDIは毎月の純増も、1位のソフトバンク、2位のNTTドコモに対して明らかに大きく劣後していますし、MNPも、大幅プラスで1位のソフトバンクに対し、NTTドコモもKDDIもマイナス傾向が長らく続いています。

上の2番目のポイントは、ドコモにも当てはまります。上記記事のBCNの統計では、圧倒的にドコモ圧勝であるにも関わらず、純増ではソフトバンクに負け続けており、かつMNPでは不調のKDDIにさえ負け続ける転出増が続いています。

上記のような統計の動きをきちんと押さえれば、KDDIとドコモのビジネスは何かがおかしい(見えにくい不調の原因がどこかにある)と簡単に気づけるはず。

では、以下に2番目の記事を挙げます。

http://www.nikkei.com/tech/trend/article/g=96958A9C93819499E3E7E2E0828DE3EBE2EAE0E2E3E3E2E2E2E2E2E2;p=9694E0E2E2E6E0E2E3E3E3EBE7E6

AppleとGoogle(Android)のアプリ比較の記事ですが、記事のニュアンスとして、Appleのアプリ一辺倒であったアプリ市場にGoogle(Android)のアプリが殴りこみをかけて好調に勢力を伸ばしているかのような印象を与える記事ですが、これも実態は逆だと思います。

正確な時期は忘れましたが、たしか2011年の初めごろに、「Google(Android)のアプリ数は2011年8月頃にAppleのアプリ数を超える」という予測記事が書かれていました。実はその頃から、Google(Android)のアプリ数は目立った数字の伸びがなく、控え目にいってもかなり停滞しています。Appleのほうはそこからも順調にアプリ数を伸ばしているため、両社の差は当時より大きくなっており、実態は、Google(Android)のアプリ数はAppleのアプリに引き離されているのではないかと思います。なぜ、こんな結果になるのでしょうか?

また、Google(Android)のアプリには、Appleのアプリにはほぼ見受けられない以下のようなさまざまな問題を内包しています。

-誰でも自由にアップでき、審査もろくにされないため、「既存のアプリをコピーしたいわゆる偽物アプリや、ウイルス、スパイウェアを紛れ込ませた有害アプリ」が混入している。

-ウィルス、スパイウェア等が紛れ込んだアプリは、野良市場だけではなく、Googleの正式なアプリマーケットでも散々出現している。

-最近はGoogleの最新のOSバージョンに対応したスパイウェアアプリが出現したとの記事が出ている。(しかも、複数のアンチウィルスソフトをくぐりぬけたらしい。仕組上ある意味当然のことかもしれませんが。)

-上記のような自由なコピー改変がだれでも可能なため、実態のアプリ数がどれだけなのか不明。またアプリ製作者にとって、コピーされてただで配布され、あげくのはてにウィルス混入されたらビジネスどころではないため、明らかに上記の問題は市場発展のための障害になっている。

上記のような問題は、とっくの前から指摘されていた問題にもかかわらず、一向に解決のきざしが見られません。だからこそ、上記記事から受ける印象とは全く異なり、Google(Android)アプリ数が予測を大きく裏切り、目立った伸びを示さないのだと思います。間違いなく、このままの環境では、アップルのアプリ数がGoogle(Android)のそれを大きく引き離していき、プラットフォームの構成要素としてのアプリ環境はApple優勢になっていく可能性大だと思います。

最近はUS記事では、アプリ数の記事は、触れてはいけないものであるかのように、全く記事になっていません。アプリの金額ベースの市場統計も、US記事で全く記事にならなくなっています。Google(Android)のアプリはAppleのアプリに比べて有料アプリが驚くほど買われない傾向にあることは、今までのさまざまな統計記事で明らかになっているので、今やこの手の比較記事はニュースバリューがない、面白みのない記事になっているのだと思います。

なぜ、日経が上記のような2つの記事を書いたのか、その意図はわかりませんが、明らかに、真剣にその市場を調べればこんな記事は書けないと思います。このような記事を見るにつけ、特に投資判断に関係し得る場合は、残念ながら、新聞記事等は基本、疑ってかかった上で入念な調査を怠らないようにしなければならないと思います。

|

« ひさしぶりの大荒れ | トップページ | 大震災の後で人生について語るということ »

コメント

私の業界についての記事でも、「?」と思わないことがありません。明らかに偏っていたり、あまりにも一面的だったり、単純化し過ぎていたり矮小化されていたりします。
以来、新聞記事を読むときには常に疑いの目を向け、記事を読んで何も批判が浮かばない時は、私はその事柄についてよく知らないのだなと思うようにしています。
このような誤った記事ばかりが書かれる背景ですが、ニュースソースが自らの仕事をやりやすくするために半ば意図的に偏った情報を記者に伝えていることが大きいと私は見ています。

投稿: dell | 2011年8月28日 (日) 22時13分

dellさん、コメントどうもです。

おっしゃる通りですね。100%同意です。
また、新聞記者は毎日記事の枠を埋めなければならず、恒常的にネタに飢えていると思いますので、上得意の広告主からのネタであれば、締め切りに追われている漫画家よろしく、なかば自身でも愚かと思うような記事を、枠埋めのために書いてしまうことも多々あるのではないかと邪推します。

実態がどうであれ、自身で裏を取る重要性を、このような記事を見つける度に痛感しています。

それでは、今後ともよろしくお願いします。

投稿: VMax | 2011年8月29日 (月) 22時49分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/202973/52586346

この記事へのトラックバック一覧です: 記事はこわい?:

« ひさしぶりの大荒れ | トップページ | 大震災の後で人生について語るということ »