« 大震災の後で人生について語るということ | トップページ | 荒れている市場 »

2011年9月 4日 (日)

リーマンショックを経て-バリュー効果の検証(1)

ずっと当ブログで取り上げたいと思っていて、なかなか書けなかったのが、標題の内容です。

ちょっと時間が取れましたので、軽く検証してみようと思います。

当方、ずっとバリュー株ETF等のビークルに投資を続けており、バリュー効果が市場に存在し続けているかどうかという命題は、自身の投資方針が道理にかなったものでありつづけているかどうかという問いに等しいことになります。なので、個人的には非常に重要なテーマです。

かといって、当方ただの個人投資家で、研究者のような広範囲、網羅的で恣意性のない、適切な研究、検証など望むべくもありません。ということで、当ブログの左側のタブで紹介しているETF等のうち、バリュー系のビークルを取り上げて検証していこうと思います。

今日は、個人的にも一番多くの残高を保有しているDEM(新興国高配当株ETF)と通常の新興国インデックスに追随する時価総額比例型のETFであるEEMを比較してみようと思います。

DEMのローンチ日からの両者のパフォーマンス比較(配当再投資後)の数字は以下の通りです。

Adj Close base(配当効果考慮後数値)

2007 Jul 13, DEM 44.41, EEM 44.47

2011 Sep 02, DEM 56.09, EEM 41.56

期間中投資リターン:DEM 26.3%, EEM:-6.5%

年率換算投資リターン(4年2カ月として計算):DEM 5.76%, EEM -1.61%

(US Yahoo Financeデータより)

本当はグラフで示したかったのですが、YahooFinanceのグラフの調子が悪いので、当該サイトのヒストリカル数値から転載、計算しました。

数字を見る限り、出来すぎなくらいのバリュー効果が見られます。より正確な検証のためには、絶対に避けることのできない両者の配当にかかる10%の課税を考慮しなければならず、配当額としてはDEM>EEMであると思われるので、上記の計算上の差は実際には若干小さくなるとは思いますが、それでも両者の差はそのような要素では埋めようのない非常に大きなものとなっています。これは、期間中の市場環境がリーマンショックを含む期間で、グロース株に不利な状況であったであろうこと、かつリーマンショックに大きく関係する世界的な金融機関群とはほぼ無関係に近い保有銘柄群であることが関係していると個人的に判断しており、当該結果はかなり割り引いて考える必要があると考えています。

とは言え、この結果から新興国株式上のバリュー効果を否定するには、すさまじすぎるベンチマーク対比の高パフォーマンスです。DEMがローンチしてから、個人的に新興国株式ETFはどんどんDEMにシフトし、今ではDEMとDGS以外の新興国株式ビークルは全く保有していません。やっぱり投資は単純であるに越したことはなく、これからもずっと新興国株式はWisdomTreeETFオンリーで行く予定です。

ご参考のため、DEMに関係する当ブログの過去エントリーのリンクを張っておきます。

http://max999.cocolog-nifty.com/blog/2007/06/wisdomtreeetf_dddd.html

http://max999.cocolog-nifty.com/blog/2007/06/post_2519.html

http://max999.cocolog-nifty.com/blog/2007/07/wisdomtreeetf_7286.html

http://max999.cocolog-nifty.com/blog/2008/03/dem.html

http://max999.cocolog-nifty.com/blog/2008/07/dem_86a1.html

当該検証は(2)以降も続けていき、他の銘柄についてのエントリーも書いていこうと思いますが、(2)はいつになるのやら。何の期待もせず、お付き合いいただけたらと思います。

|

« 大震災の後で人生について語るということ | トップページ | 荒れている市場 »

コメント

すごい結果ですね。これまで差が出るとは!EXPESE RATIOが高めなので敬遠していましたが、これをみると考え直さねば。私は、DTHとDHSに注目していますが、これについても自分なりに検証できたらと思っています。
こういう有益な検証はぜひシリーズ化してほしいです。(*゚▽゚)ノ

投稿: osa | 2011年9月 4日 (日) 20時31分

osaさん、コメントありがとうございます。

まだまだ自身でも直近の世界の株式市場のバリュー効果について、なんら確固たる見解を持てるほどの分析もできていませんが、今のところは世界の株式市場からバリュー効果が消えている、あるいは消失しつつある証拠は発見できず、これまで見てきたデータからは、個人的には逆にこれからもこの効果は延々と続きそうな感じがしています。

なかなか(2)以降を書く時間も取れない状態となっており、ご期待に沿えない状況となっておりますが、できれば、続きを書いていきたいと考えておりますので、例によって、何の期待もせず、気長にお付き合いいただければ幸いです。


以上、よろしくお願いいたします。


投稿: VMax | 2011年9月12日 (月) 23時16分

とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。

投稿: 投資の初心者 | 2011年10月21日 (金) 00時27分

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: リーマンショックを経て-バリュー効果の検証(1):

« 大震災の後で人生について語るということ | トップページ | 荒れている市場 »