« iPhone4S and Siri | トップページ | アマゾンのタブレットビジネス(その2) »

2011年10月27日 (木)

アマゾンのタブレットビジネス

USアマゾンの株価が、直近のQuarterly決算を契機に急落しています。US記事を斜め読みしただけなので、正確ではないかもしれませんが、主な原因は直近Quarterの純利益の劇的な減少にあって、その主な理由は、先日アマゾンが発表したKindle Fireという名のタブレットにあるようです。

これもまた、よく事情を知っている人には言わずもがなの内容ですが、この現象の背景として当方が把握している状況を簡単に箇条書きで書いてみます。(例によってマーケティングテイストで書きます。)

・タブレット市場は、先駆者Appleが先行したiPadが市場をリードしており、今年に入り、数え切れないほどのMeToo業者がコピー商品を販売開始しているが、それら業者群も意味のある規模のシェアをAppleから奪うことができず、iPod市場と同じ、Apple1社で市場の過半を占める無双状態が続いている。この状況の下、早くもHPやシャープ等、タブレット市場から実質的に脱落する企業が現れ始めている。(ちなみに、日本のスマートフォン市場もKDDIからの新型iPhone販売開始を契機として、販売ランキング上位を新旧iPhoneが全て占拠するiPod状態になっている。今回、大手キャリア3社からの新型iPhone販売開始となったUSでもおそらく状況は似たようなものだろうと思います。)

・このような状況の中、先日アマゾンが新Kindleラインナップを開示し、クリスマス商戦への商品追加を発表した。その中には、Kindle FireというAndroidベースと思われるタブレット端末が含まれており、現在、市場でiPad対抗の新1番手と目されている。その主な理由は価格にあり、199ドルという破格に安い値段となっており、アマゾンのKindle端末に共通の、ロスリーダー販売手法を取っているものと考えられる。すなわち、端末を損の出る価格で販売し、端末購入の後に購入されるコンテンツからの収入により、初期の損を回収し利益を出そうとする販売モデルとなっていることが想定される。(このアマゾンの新Androidタブレット端末からはGoogleが完全にハブられ、Googleの携帯端末ビジネスモデルが完全に壊されているのが結構面白い注目点ですが、今回の話にはあまり関係ないのでこの点は省きます。)

・現在、このKindle Fireを含む新Kindle端末は既に予約販売開始されており、会社想定を上回る順調な予約販売状況と会社発表されているとのこと。このモデルにより、ある意味当たり前の話ではあるが、会社の初期損失(初期投資他)がかさみ、主にその重みで今Quarterの会社純利益の大幅減少につながったようだ。ここまでこのタブレット関連で何百億円規模の損失が出ているようで、また次のQuarterでは純利益の減少だけでは収まらず、損失にまでなる可能性が指摘され、直近のアマゾン株価の急落につながっている。

正確かどうかわかりませんが、以上のような理解をしています。

アマゾンの経営陣はこのビジネスモデルに自信を持っており、初期損失(初期投資)の回収が十分実現できると踏んでいるようです。しかしながら、ずっと前から、この点が個人的にはおおいにクエスチョンだと思っています。なぜなら、私は自身で4月下旬から、iPadタブレットを使用し続けており、iPhoneやiPod Touchとは大きく異なり、コンテンツ消費の目的ではあまり使っていないからです。

iPhoneやiPod Touchでは、Audible、音楽、USテレビドラマ、映画等々、確かに山のようにコンテンツを消費しているのですが、タブレット端末であるiPadはそのような使い方はほとんどしておらず、ノートパソコンの代替使用、すなわちインターネットでの情報収集や毎日のニュース閲覧等を、食卓でもベッドでも、家のどこからでも、思い立ったらすぐに行うための便利なパソコン代用端末として利用しています。

このような使い方では、アマゾンが狙う、コンテンツ販売での端末販売損失の回収と利益計上はとうてい達成できないのではと思ってしまいます。

私も、ついこの間まで、家の部屋が本で埋まるくらい本を読んでいた人間だったので、もしタブレットでない通常のE-ReaderのKindle端末を買っていたら、山のように電子書籍を注文していたと思いますので、このコンテンツにより初期損失を回収するアマゾンモデルが十二分にワークするだろうことは容易に想像できます。また、そのような本の虫といえるくらいの本好きな一部の人々でこのビジネスがなりたっているのだろうと想像します。しかしながら、タブレット端末の場合は正直、出来ることが多すぎて、通常のKindle端末と電子書籍の関係と同様にコンテンツが消費されていくとは、個人的にはとてもじゃないですが、イメージできないのです。

とまあ、こんな風にアマゾンのタブレット戦略について、前からクエスチョンを膨らませ続けていたのですが、今日ふっと見つけた記事に、私の感覚に完全にフィットするタブレット関連の記事を見つけました。

「米国、タブレット端末の主な利用目的はニュースサイト閲覧」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111027-00000004-inet-inet

当該記事によると、USでのタブレット使用の状況は以下の通りです。(以下引用)

・Web サイト閲覧  67%
・Eメール利用  54%
・ニュース閲読  53%
・SNS 利用  39%
・ゲーム  30%
・読書  17%
・動画閲覧  13%

(以上、引用終わり)

この分類でいうと私自身も、タブレット利用内容のほとんどが、上記の使用率トップに挙がっている「Web サイト閲覧」に該当します。自身の感覚と自身のタブレットの使用方法が、その他市場のマジョリティとずれてはいなそうだということが、当該記事で確認できた格好です。

通常は新規のロスリーダー+コンテンツによる回収のビジネスでは、どの程度の速さで損が回収され、またどの程度の利益ボリュームが上がるのかが不透明なため、慎重な販売ボリュームコントロールで最悪ロスや必要キャッシュを許容範囲にコントロールする必要があると思いますので、その上でロスリーダーによる市場占拠を成し遂げなければならないという、ある意味二律背反な目標を達成しなければならず、圧倒的な規模の優位とキャッシュリッチな強者しか取れない戦略なのではないかと思います。それにしては、毎年生み出す兆単位のキャッシュにしろ、破格の利益率と額にしろ、今やこの点で圧倒的な優位性を誇る巨人Appleに、ある意味優位に格下と思われるアマゾンが当該戦略で挑むのは、ちょっと無理目な感じもします。

アマゾン経営陣は、タブレットについても既存E-ReaderのKindleと同じくコンテンツによる事後プロフィットが十分上がることについて、相当な自信を持っているのか、あるいはAppleをはじめとする新興タブレット業者にコンテンツ販売を牛耳られる将来に脅威を感じているのかわかりませんが、早急な展開を見せるアマゾンのタブレット商品戦略の結果推移に、今後も目を離せないですね。

ところで、アマゾンを株としてみたときに、当該株のPERは極端に高く、予想PERにして70倍とか、実現利益に対してPER100倍とか、すさまじいPERの数字になっています。これではタブレット戦略が成功しようが失敗しようが、将来株価として投資が報われる可能性は著しく小さいものになりかねません。個人的には、この1点のみで当該会社を投資可能な会社とは考えておらず、ただマーケティング的に興味深いウォッチ対象としてしか見ることはできないと判断しています。

|

« iPhone4S and Siri | トップページ | アマゾンのタブレットビジネス(その2) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/202973/53095980

この記事へのトラックバック一覧です: アマゾンのタブレットビジネス:

« iPhone4S and Siri | トップページ | アマゾンのタブレットビジネス(その2) »