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2012年2月

2012年2月12日 (日)

アマゾンのタブレットビジネス(その4)

今回は、標題にいつわりありですが、アマゾンのタブレットビジネスに大いに関係ありな話題なので、前回の続きでその4としてエントリーを作ってみました。

日経の報道によると、アマゾンがついに日本でも電子書籍端末(KindleTouchのようです)を出すそうです。しかも3Gバージョンはドコモの回線を使用するようです。まだ、公式発表ではなく、確実な話ではないとは思いますが。

個人的にはこれが1年以上前の話であれば、自身の購入検討に値する話となっていたのですが、今となっては何の心も動かされないニュースになっています。

というのは、電子書籍を読みたければ、自身のスマートフォンかタブレットに放り込んでおけば済む話で、わざわざ専用の電子書籍端末を買う必要などさらさらないからです。

それだけではなく、自身の行動を見ても、年100冊は読んでいた読書の虫であった自身が、今では月一冊読めば良いほどに読書量が減っています。(一部はAudibleに行っていますがそれを含めても以前に比べたら極めて限られた読書量です。)

要は外出時にはスマートフォン、家ではタブレットで、読書に限らずタイムリーになんでも出来ちゃう感じなので、おのずと読書にかける時間が減っているのです。私の場合は、外出時には、Podcastとサイトで世界のニュース等を追っていて、ダイナミックな世界の動きをいち早くつかむことに最も多くの時間を費やしています。(この目的では英語は文字通り最強のツールだと思います。英語圏に関係ない世界の情報も含め、英語で情報を得ることが、多くの情報をいち早くつかむための現実的には最強の方法だと日々感じます。)

当然のことながら、アマゾンでの書籍購入もめっきり減りました。

この、自身の行動の変化を振り返ってみても、間違いなくアマゾンは本の虫であった一人のドル箱顧客をすでに失っています。その原因が、主にスマートフォンとタブレットにあるわけですから、容易な推論により、これは個人的な出来事ではなく、世界中のあちこちで実際に起こっていることではないかと推測されます。

しかも、紙の本や電子書籍と競合するのは、PodCastやHPだけでは当然無く、間違いなくどこでもミュージックや映像、ツイッター、フェイスブックやソーシャルゲーム等を楽しむ過ごし方も、これらの新しいデバイスの普及で急速にまん延しているのではないかと、容易に想像できます。

最近、USで電子書籍の市場が早くも伸び悩みの傾向が表れ始めているというニュースが出ていましたが、間違いなく、いつでもどこでも思い思いのいろんな楽しみ方ができるデバイスの普及が、この現象の裏にあるものと推測されます。

ここまでのことを踏まえると、果たして電子書籍専用端末に未来はあるのか、かなり疑問です。もう電子書籍専用端末は、デジカメやミュージックプレイヤーのように、スマートフォンとタブレットに滅ぼされる運命にあるのではないかとすら思えます。

このような背景は、実際に自身の端末販売と紙の書籍および電子書籍の販売統計をつぶさに見続けているアマゾンは、いやというほど思い知らされているのではないかと推測します。だからこそ、アマゾンは専用の電子書籍端末からKindleFireという多機能タブレット端末に舵を切り直したのではないかとすら思えます。はっきりいってしまえば、Androidタブレットで利益を挙げている会社など存在しないのではないかと思えるほど、タブレット市場ではAndroidOS等はiOSに対して苦戦が続いています。コンテンツ販売に強みをもつAmazonも、決して楽な戦いには全くなっておらず、先日の四半期決算を見てもその他の業務の利益の大半をタブレットビジネスの初期損失で吹っ飛ばしている様子が伺える、苦しい決算になっています。それでも、上記のような大きな流れが背景にあるのだろうと思うと、アマゾンにとっても決して退却できない、不退転の戦いになってしまっているのだろうと腑に落とします。顧客が本と電子書籍だけにスティックしてくれず、急速にその他のコンテンツに流れるのならば、その受け皿を自社で準備するしか自社の生き残る道は無いというわけです。

それだけ、現実のマーケットの動きは実はダイナミックなのだとあらためて感じます。

今や、世界の携帯市場の利益の8割はアップル一社で挙げています。日本でiPhoneを扱えない唯一の大手通信会社のNTTドコモは、MNPで毎月大幅な顧客流出を相変わらず続けており、iPhoneを取り扱うソフトバンクとauにきれいに2分して顧客を分捕られつづけています。この苦境が、タブレット市場で独り勝ちを続けるアップルのiPad3のローンチが騒がれているこのタイミングでのKindleTouchの日本ローンチにつながっていると見ることもできると思います。個人的には、あいかわらず、このNTTドコモの苦境はiPhoneの取り扱いができる日まで、延々と続くだろうと予測しています。ちょうど、auがiPhoneの取り扱いとともに同様の顧客流出の苦境を脱したように。

以前の当ブログのエントリーのように、この日本の展開はUSVerizonの展開を知っていれば、容易に推測することができます。また、中国での今月あるいは来月のローンチが予測されているChinaTelecomのiPhone4S取り扱いにより、中国でもこの手の動きがさらに加速され、最終的には世界最大の通信会社であるChinaMobileでのiPhone取り扱いにつながるだろうことも。

Googleのモトローラ買収も、モトローラとサムソンの標準3G特許でのドイツでのアップル商品差し止め請求も、世界市場で独り勝ちを加速させているアップルの勢いを止めようとする苦肉の策でもあるだろうことも言うまでもありません。これがいかに筋の悪い策であるかは、EUが独占禁止法でこれらの会社群をFRAND原則に基づき罰することになるだろうことを予期させる最近の動きをみれば明らかです。

要は全てマーケティングでいう、先発優位の原則なのです。もう真っ当な方法では、市場でアップルに勝つことは困難を極めていて、それどころか、この市場で利益を挙げることすら困難な状況に陥っています。各社、もう真っ当でない方法にすがるしかなくなっているのです。Googleもアマゾンも、獲得している利益で考えれば、アップルから見るともはや弱小企業になってしまっていて、この差はこれからもどんどん広がるだろうことが容易に推測できます。

ある意味、典型的なマーケティング原理に沿った展開ですが、典型的すぎて逆に怖いほどです。

ところで、今盛んにうわさされている翌月のiPad3ローンチですが、今これを購入しようかどうしようか頭を悩ませています。今や購入したiPad2は家庭の必需品になっていて、当方の子供も、単にゲームで遊ぶだけではなく、勉強や宿題の調べ物等に普通に使用する端末になっています。家族で1台だと、2人同時に使いたい場面が結構あって、やっぱり不便なわけです。というわけでiPad3を買うか否か、現在検討中です。

たぶん、Siriの日本語版が一緒に来たら買ってしまうだろうな。今でもiPadは旅行の必須アイテムですが、Siriの日本語版はiPadの旅行必須アイテム度合いを格段に増すことになると思います。ぜひ、最新iPadではこの機能を実装して欲しいものです。

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2012年2月11日 (土)

株価指数より値動き小さい上場投信(その2)

標題の件、その1で資産全体のボラティリティを常に一定にコントロールする形の新しいETFについてのエントリーを書きましたが、その中で「個人的に検証した範囲では、リーマンショックのような急激かつ短期間の下げの場合に有利で、逆に日本のバブル崩壊のように非常に長期のダラダラした下げときに不利な投資のしくみ」であると書きました。

これに関して、少々の追加と個人的に思うことをもうちょっと書いてみようと思います。

上記の投資のしくみは長期のダラダラした下げに弱いだけでなく、今のようなリーマンショックという大クラッシュ後の気迷い相場にも、おそらくは弱いと思います。今のような市場環境では、ボラティリティが下がりリスク資産に傾けたら市場の下げにあい、それでボラティリティが上がってリスク資産から引き上げたら市場が戻してしまう、往復の逆ビンタを食らいがちです。

逆に、しくみ上、万人がいけいけの右肩上がり相場にはたぶん強いのではと思います。市場が好調なときは、安定的にボラティティティが下がり、リスク資産に多くのアロケーションを置くことになるからです。

つまり、この投資のしくみに投資すると、高確率で、これからのぐずぐず相場の往復びんたを我慢し続け、そのあとにやってくるいけいけ右肩上がり相場と市場の大クラッシュでその我慢の見返りを得るという感じになると思います。

言葉にすると簡単な話ですが、これは実際にやると、たぶんおそろしい苦行になるのではないでしょうか。たぶん、ほとんどの人はこの投資方法が報われる時期が来る前に、往復ビンタにより市場から置いていかれ続けることに我慢できず、途中で辞めちゃうことになるのではないかと想像します。

個人的には、これもある意味、一種のバックミラー投資に近いんじゃないかと思います。リーマンショックを食らった後で、リーマンショック前後のような特殊な状況のときに有利な投資のしくみを選んでしまうことになっていると思います。これでは、その後の全く異なる市場環境において、長期に裏目を引き続けてしまい、あきらめて報われる前にこの投資法をやめてしまうと、リスク資産に投資するにもかかわらず、リスク資産からの適切な無リスク資産超過リターンを得ることに失敗してしまう可能性が高いと思います。

バックミラー投資にもいろいろあります。バリュー株式ビークルへの投資も、バリュー株が調子悪くなったことを見た後でバリュー株式ビークルへの投資を減らし、調子が良くなってきたのを数字で確認した上でバリュー株式ビークルへの投資を増やしたりすると、同じようなバックミラー投資行動で、リスク資産に対するリターンを毀損してしまいます。この種のことは、昔も当ブログで取り上げ、ヒストリカルな実際データを用いて、この起こり得る現象を示しました。興味ある方は以下のリンクをご覧ください。

http://max999.cocolog-nifty.com/blog/2007/05/post_1b95.html

いずれにせよ、個人的にはバックミラー投資は厳禁として、これを行わないように心がけています。ボラティリティをコントロールした投資をこの時期に始めることも、私にとってはバックミラー投資で、個人的にこの手の投資商品に手を出すつもりはありません。

それでは、良い休日を!

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2012年2月 5日 (日)

株価指数より値動き小さい上場投信

日経電子版に標題のETF新商品記事が出ています。

http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C889DE1EAE7E4EAE3EAE2E2E6E2E0E0E2E3E09797EAE2E2E2

さっそくこの記事に出ているETFの基になっている東証の指数がどんなものか見てきました。

指数構成方法をざっと読んで当方が理解した範囲では、この指数は配当込みTOPIXとキャッシュに投資され、TOPIXへの投資割合は、当該TOPIX指数の直近100日間の年率換算ボラティリティを基に、全体投資資産のボラティリティ値を事前に定めた一定率(例えば5%等)に保つように決められ、継続的、動的にこの割合がリバランスされていくしくみのようです。計算式から、おそらくはこのTOPIXへの投資割合はDailyでリバランスされるのでしょう。(素人の斜め読みでの解釈ですので、もし上記認識に間違いがありましたら、ご容赦願います。)

いわゆるリスク資産に対するボラティリティコントロールの仕組みで、例えば直近100日間のヒストリカルボラティリティ(年率換算)が20%であれば、上記の変動率5%の指数上では、TOPIXに25%、キャッシュに75%投資されることになります。大体、日本株式の平均的な年率ボラティリティ数値が20%前後ですので、資産の4分の1が日本株式に、4分の3がキャッシュに投資されるのが、この指数の平時の姿だろうと思います。

他方、リーマンショック後のような特殊な状況では、直近100日間のヒストリカルボラティリティは40%とか50%等になり得ますので、仮にこの値が50%となったときには、当該指数に基づく投資アロケーションは、TOPIX10%、キャッシュ90%となると思います。

上記の記述で、この新しいETFの内容がイメージ出来ましたでしょうか?こういう定性的な情報で、この商品を買うとどんな投資ビークルに投資することになるのか判断するのは、結構、難しいと思います。

たぶん、この投資行動を取ると結果がどうなるのか、どんなときに有利でどんなときに不利な投資行動であるのかを定量的に見ることなしに、このタイプの商品の良しあしを判断することは、困難を極めると思います。

なので、非常に限定的ながら、当方の経験の範囲で書けることを書いてみようと思います。また、個人的にこのタイプの商品について思うことも。

当方、TOPIXやその他世界の株式指数について、上記のボラティリティコントロールの仕組みのパフォーマンスを簡易試算した結果を、伝統的な固定比率のアロケーション投資と比較してみたことがあります。この比較も、フェアに比較する方法についてよく考えると結構難しく、悩みどころなのですが、そのときは以下の通りの比較をしました。

まず、一定間隔のヒストリカルボラティリティ測定により、上記ETFのような総資産のボラティリティを一定率に保つようなデイリーリバランスを施した場合の指数の長期リターンを算出して、この計算で明らかになる、当該投資方法に基づく過去の平均的な株式指数への投資割合を算出します。そして、仮に最初からその比率で固定したアロケーションで株式指数とキャッシュに投資し続けていたらどうなっていたかを算出して、ボラティリティコントロールした投資結果と比較しました。

その結果は、結構特徴のある内容でした。リーマンショック時のような、急激かつ短期間に大きく下落する市場のときは、上記ETF指数のような、ボラティリティコントロールを施した指数の方がよい結果が得られ、逆に日本のバブル崩壊のような、非常に長期にわたってだらだら下げ続ける市場では、スタティックなアロケーションでのリスク資産投資の方が結果が良かったのです。

個人的な、かつかなり限定的な試算結果ですので、興味ある方は自身での計算や調査、考察等をおすすめしますが、上記の結果に対する当方の解釈は、短期的な市場のクラッシュでは、直近の過去のボラティリティ水準が情報として意味を持つが、非常に長期の構造的な下げの最中においては、直近のボラティリティ水準自体がある意味情報として意味を持たないのだと解釈しています。

ここからは、個人的な好き好きも含んだ個人的意見ですが、当方はこのタイプの商品には投資する気はないです。投資行動として、直近下げを見てリスク資産をたたき売り、直近上げでボラティリティが落ち着いてから、またぞろ投資をはじめることになる投資のしくみが、まさに素人っぽい安値売り、高値買い投資行動だということ(この安値売り、高値買い投資行動自体は、レバレッジ型ETFのしくみと本質的には同等だと思います。)もありますが、それとは別に、このしくみにまつわる本源的な考え方がどうにも好きじゃないのです。

こういう投資のアイディア自体が、投資はその投資先の株式会社の営業活動によって得られた株主に対するリターンを得る行為なのだという、本質的なスタート地点の考え方を否定しているように思えるのです。このアイディア自体が、投資は投資先からリターンを得るものではなく、それを売り買いする市場でうまく立ち回ることにより超過リターンを得るものといった発想が根元にあるように思えてなりません。

一般にはあまりこれは言及されることはないですが、長期投資の意味の1つとして、株式投資のリターンは株式市場から得るのではなく、株主配当や自社株買い償却といった手段で、投資先の株式会社から得るためという、重要な意味があると思います。株式投資のリターンを株式市場から得ようとすると、ミスターマーケットの気分でその行為の勝ち負けは定まり、株式市場に出入りする摩擦等によって、半数をはるかに超える人々が、構造的に負け組になります(ベンチマークに負けるということです)。上記のETF商品に投資することによって、圧倒的に負け組になりやすい投資行動の世界での、勝ち組になるための挑戦をすることになるのではないかと思います。ボラティリティコントロールのロジックにより、原理的に不利な世界での勝者になることにベットするのは、私は勘弁願いたいです。

自身の限定的な試算でも、どちらに転ぶかは非常に怪しいベットだと思いますし、株式市場は市場参加者の将来行動によって過去の試算自体も通用しなくなる構造の世界ですし。市場でこのボラティリティコントロール投資をすると、市場での売買が自然に多くなるこの投資行動で証券業界が利益を得るだろうことは確かですが、投資家自身はその分だけ不利になるだろうことも見逃せません。構造上、東証のこの投資指数よりも実際のパフォーマンスが悪くなるだろうことも、やってみるまでもなく明らかなことでしょう。

いずれにせよ、日本のETF商品の世界も、いろいろ考えなければならない時代に入ってきているようですね。

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