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2012年3月 4日 (日)

何故、先発企業は強いのか?

標題の内容はかなり大上段に立ったものになっていますが、たぶん以下の内容は個人的なつぶやき程度のものになると思います。その前提で、ご興味あればどうぞ。

当方がもう1年を超えてずっと注目し続けているスマートフォン、タブレット市場の状態が、まさに標題の状態を典型的に表す事例となっていると思います。繰り返しになりますが、世界の携帯市場におけるAppleの利益シェアは75%とも80%とも言われる状態にまで達しており、両市場において、いわゆるMeToo企業群の大半が利益を挙げることすら困難な事態に陥っており、ビジネスの継続自体が危うい状況になってきている企業もあちこちに存在します。

個人的な経験をお話しますと、ここ一年以上、両市場に注目し、触れてきたマーケティング関連の典型的な発生事象は、自身で経験した業界でのマーケティング的な経験と全くもって整合的かつ同質な事象と思っています。

1つ例を挙げますと、昔、以下のようなことがありました。

あるMeToo企業、すなわち、他の先発企業の開発する商品をコピーし、わずかばかりの改善と思しきものを施した商品を世に出すことを繰り返していた企業が、ひょんなことから、競合他社の次期開発商品案を入手することが出来てしまいました。そこでこの会社は、なんとその競合他社がその商品を販売開始する前に、コピー商品を作り販売開始してしまいました。

これではどっちがオリジナルでどっちがMeToo企業かわからない状況です。

果たしてどうなったのか。MeToo企業が、先にコピー商品を市場に出したことによって、オリジナルな商品を世に最初に問うた会社として市場で支持されたでしょうか?残念ながらそうはなりませんでした。

このMeToo企業は、コピーした商品内に存在する欠陥によって、市場から手痛いダメージを被ってしまったのです。

面白いのは、コピーされたオリジナルの会社は、MeToo企業がコピー商品を販売開始した直後に次期開発商品を実際にリリースしたのですが、その商品からは内在する欠陥が取り除かれ、全く問題のない商品となってリリースされたことです。

結局MeToo企業は、オリジナル企業より一歩先にコピー商品を出すことに成功したのですが、それでも新しい市場を創造してその市場で一番手として君臨することに失敗してしまいました。

なぜ、こんなことが起こるのでしょうか?

答えは明らかです。

先発企業、すなわち上記の例では、次期商品案をコピーされた会社は、どうしたら今まで実現できなかった顧客のニーズに合致した新しい商品が実現できるかに着目して、商品販売開始するその日まで、この商品はどうあるべきか考え続けているわけで、だから、新機軸の商品案に内在する重大な問題点に自ら気づき、解決策を施すことができるわけです。

他方、他社の商品をコピーする企業が考えていることは、先発企業の出す商品よりも、ちょっとだけ良い商品を作り、先発会社の得るだろう成果を横取りしようということです。だから、運よく競合会社の新機軸の次期商品案が手に入っても、その商品をちょっとだけ他社より良く見えるようにすることにしかエネルギーを注がず、上記の例のような失態を招いたわけです。

つまり、先発会社が見ているのは、マーケットであり、顧客なのに対し、MeToo企業が見ているのは競合他社ということです。実際に市場で勝負する前に、その開発態度の違いにより、勝敗は決していたのです。

これに類する話は、他にも結構あります。

ずっと当方が着目しているスマートフォン、タブレット市場の直近の現在進行事例で一例を挙げると、サムソンのスタイラスペンが挙げられると思います。直近のサムソンのコメントから、彼ら自身も、タブレット市場で自らがうまくいっていないことを認めていることがわかります。Appleの商品をコピーして、かつ0.1mmだけ薄く、数グラムだけ軽くすることでは、彼らのビジネスは成り立たなかったわけです。そこでスタイラスです。彼らの今、主力と位置付ける商品では、スマートフォンとタブレットの中間商品、およびタブレット商品で、スタイラスペンを使用する商品を展開しつつあります。

これを見て、あの世でジョブスは間違いなく、嘆いていると思います。

「わざわざ、スタイラスペンを排除し、誰でも直感的に操作できる指での操作を実現したから、この新しい市場が確立したのに。」

こんなセリフが聞こえてきそうです。

私も、同様の経験をしたことがあります。競合企業がコピー商品を販売してくる時に差別化と称して付加してくる機能が、まさにその新しい商品コンセプトと逆行する機能であることは、決して珍しいことではなく、私がこれを経験したときも、嘆きの言葉しか出てきませんでした。「せめて、商品コンセプトくらい、ちゃんと理解してくれよ。」というものです。

しかしながら、全くもって白地のキャンバスに、自由に商品の絵を描く先発企業に対し、後発企業は、先発商品+αの商品を世に出すことが至上命題となるわけですから、おのずと先発企業が、「この機能はこの新しいカテゴリー商品に付加するのはふさわしくない」として切り捨てた機能を、後発として何かの+αをつけなければならないという苦境から、あえて付加せざるを得ない、もっと言うと、後発会社にはそういう要素しか+αとして思いつけないという、まことに苦し紛れの状況に陥っていたりするわけです。

上記は、先発企業がなぜ強いのかという大上段の命題に対しては、おそらくはただの一要因にしかなっていないと思います。しかしながら、個人的な経験もあり、自身ではいやというほど腹に落ちている要因でもあります。

しかし、Apple株、すさまじく上がりましたね。怖いのは、これだけ上がった後でも、また、世界一の時価総額を実現した後でも、株価はまだ割安というところです。これから、株主配当または自社株買いで株主還元されるだろう、10兆円近いオーダーのキャッシュがこの会社にあることを踏まえて考えると、いまだに将来PERで10倍当たりだというのですから、ほんとおそろしい限りです。資本市場の優勝劣敗は本当に容赦のないものです。

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