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2012年4月18日 (水)

アマゾンのタブレットビジネス(その5)

アマゾンのタブレットビジネスに関して、当方が将来予測している姿にかなり近いUS記事を見つけましたので、リンクを張ってみます。
http://seekingalpha.com/article/505101-how-kindle-fire-killed-every-ipad-competitor-in-the-room-and-now-it-will-kill-itself?source=yahoo

アマゾンの現在のタブレットビジネスでの立ち位置での弱みは、明らかに以下の2つだと私は見ています。
1.Appleが創造したタブレット市場は、ロスリーダー戦略で挑んでいるアマゾンにとって、市場が大きすぎる。また、相手にしているAppleが対抗相手として大きすぎる。結果、とびぬけた市場リーダーしか取り得ないロスリーダー戦略を採っているにもかかわらず、構造的にニッチプレーヤーにしかなれないことが最初から見えており、これが戦略上の矛盾とも言える状況にあって、マーケティング上、成功する筋道の通った戦略になっていないと思われること。
2.アマゾンは自前のOSを擁しておらず、また端末メーカーとしての能力も有していないと思われ、OS、端末、サービスの全てを統合した優れたカスタマーエクスペリエンスを作り上げることが困難。これがAppleに比較したときに、劣化格安商品としての立ち位置に立つ以外の道がない状況に陥る主因となっていること。

アマゾンは、すでに四半期500万台レベルの売上で、ロスリーダー戦略が生み出す、おそらくは数百億円規模の初期損失でもうアップアップの状態になっています。同時期に、Appleは1500万台レベルの売上を享受し、しかもアマゾンとは違って損失どころか、他の全ての端末製造会社がうらやむだろう利益率を同時に叩きだしているものと思われます。しかもこの新型iPadは、日本の量販店でまだ予約受付中で、販売する実物を店頭に置くことすらできない品薄の状態が、発売開始後1カ月以上経過した今持って続いています。
なぜか、今、US記事等でうわさされているiPad Miniによって、将来のAppleの利益率が圧迫されるなどという、頓珍漢としか思えない見立てがUS記事の一部で踊っているらしいのですが、もしAppleがiPad Miniなるものを出すとしたら、間違いなく適正な利益率が確保できる価格設定になるだろうし、その価格はアマゾンの端末価格よりは間違いなくかなり高いでしょうが、上のリンク記事のように、それで傷つくのは間違いなくAppleの方ではなく、アマゾンの方でしょう。

それでも、アマゾンの戦略推移が判明してくる前に、その他のタブレット業者はアマゾンの低価格ロスリーダー戦略によって軒並み死亡してしまうだろうことも明らかなことだと思います。その他の端末メーカーは、アマゾンが持っている、ワンストップでのコンテンツ消費といった強みすら無いのですから。

直近見えている、サムソンの低価格タブレット分野でのアマゾン対抗の姿勢や、Googleの低価格自前タブレットのオンライン販売構想も、結果を見るまでもなく、うまくいかないだろうと私は予測しています。アマゾンが開いた低価格タブレットの分野ならばその他プレイヤーに勝機があるという判断も、本気でそんな判断をしているとは思いたくもないですが、まともな判断とは思えません。
おそらくは、もしそれが機能するとしたら、英語系のコンテンツが全くもって意味をなさない一部新興国を中心とした市場限定の話だろうと想像しています。コンテンツがまるでないならば、タブレットはその価値のかなりの部分を失ってしまうでしょうし、もともとがそのようなコンテンツ自体が全くもって整備されていないと思われる新興国で、パソコンやラップトップの代わりとしての低価格タブレット販売であれば、戦略上筋道が通っていると思いますが、アマゾンを追いかけてのUS等先進国市場での低価格タブレット販売には、戦略上の筋道がまるで見えませんし、成功の目がないのではと考えています。

Googleやサムソンの経営者が、そんなこともわからないとは到底思えず、それでもこの方向でチャレンジする以上の有効な手立てが見つからないのだろうと想像していますが、この展開は間違いなくiPadがiPodの再来となる方向の展開だろうと私は見ています。私はiPod市場での数多くの競合企業がAppleに対して討ち死にしていく姿を現在進行形で見てはいませんが、きっと今iPadで見ているような、負けるべくして負ける展開で、負け戦が繰り広げられていったのだろうと想像しています。

以前のアマゾンのタブレットビジネスのエントリーで、追加の競合会社がタブレット市場のさらなる発展には必要という個人的見解を示しましたが、今見えているその可能性のある企業としてのマイクロソフトからは、個人的にはかなりがっかりな内容が見えてきているのではないかと思っています。マイクロソフトがAppleのタブレット独壇場を切り崩すとしたら、間違いなくビジネス用途であって、表計算やワードをはじめとするビジネスユースでのパソコンとタブレット等のシームレスな利用の実現が、その切り崩しのための重要な武器だろうと想像していました。しかしながら、タブレットで用いられるチップセットと既存のパソコンのチップセットはどうも断層があって、なかなかシームレスな互換性を実現するのは難しそうです。

私も、今のパソコンでいまだに使用しているソフトがあって、これが今のパソコンではなく、タブレットのような、ウンウン言わない静かなパソコンで動かせるとしたら、すぐにでもそんなパソコンを買いたいのですが、どうもタブレット寄りのチップセットでは既存のインテルベースのソフトウェアは動かせないようです。これでは数多くのソフトウェア資産に縛られているビジネスユースでは、タブレット寄りのチップセットに移行できません。ビジネス環境と資産を継承するために、相変わらずインテルベースのチップセットで構成されているパソコンで、これからも運用せざるを得ないと思います。これでは、タブレットとのシームレスなビジネスユースの環境は実現できないだろうと想像します。このハードルを越えないとマイクロソフトがAppleのタブレット寡占を切り崩すことはできないと私は見ていて、今のところの情報では、個人的にどうも難しそうだなという感触を持っています。

個人的には、タブレットと同様に静かに動くパソコンがぜひ欲しいと思っているのですが。タブレット同等のチップセットを持つパソコン上のソフトウェアの充実を待って、データごとまるごと移行するしかないかなと今は考えています。

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