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2012年6月23日 (土)

Microsoftタブレットのコンセプトに内在する矛盾

表題の件、当該タブレットの発表があってからずっと感じていた違和感を、端的に図で表してくれているHPがありましたので、リンクを貼っておきます。

http://www.cultofmac.com/175204/the-microsoft-surface-vs-the-macbook-air-oooh-so-innovative-humor/

普通は、このHPの図が物語っているように、
「どこでも仕事に使えるキーボード入力を備えた優れた端末を作りたい。」⇒「平らな場所が無くても、場所を選ばず安定感があって機動的に使える軽いラップトップにしよう」
となるはずなのですが、わざわざキーボード入力の安定感がなく、平らな場所をいちいち探さないといけない端末になってしまっています。

これはたぶん、最初の開発目的が、「どこでも仕事に使えるキーボード入力を備えた優れた端末」といったような、ユーザーのニーズからスタートしていないことを如実に表しているのではないでしょうか。

つまり、実際は、
「今、売れているタブレットで自分も市場を取りたい」⇒「iPadと同じでは、後発なので競争に勝てない。何か、付加出来るものはないか。」⇒「タブレットのカバーにキーボードをつけて、仕事に使えるタブレットをうたおう。」
という、ある意味、本末転倒な商品開発姿勢になっていることが疑われます。

これは、典型的な後発企業のアプローチだと思います。冷静に考えれば、
「待てよ。仕事に使えるタブレット?これじゃあ、電車の座席でも、ベンチでも使えないじゃないか!」
と、なるはずなのです。

「仕事に使えるタブレット」⇒「仕事に使うなら、MacBook Airの方が便利」
とすると、そもそも、

「仕事に使えるタブレット」というコンセプト自体に果たして意味があるのだろうか?
わざわざ毎回、キーボード入力のために平らな場所を探すという不便な思いをしながら、タブレットを仕事に使いたいって市場、果たして存在するのだろうか?

というところに行き着きます。

先発企業は、こんなアプローチはしません。そもそもタブレットのコンセプトを考えたときに、この商品で応えるニーズの中に、「モバイル目的でどこでもキーボード入力ができる」というニーズは入っておらず、意図的に切り捨てたニーズであるはずです。

成功する先発企業は、この商品でいままで実現できなかった市場のどんなニーズに応えるかというフォーカスが出来ていて、その過程で「応えないことにしたニーズ」が明確になっています。「モバイルで平らな場所でなくてもどこでも安定的なキーボード入力ができる」というニーズも、「詳細なペン入力でメモ等ができる」というニーズも、間違いなく商品コンセプトの段階で切り捨てた「応えないことにしたニーズ」のはずです。

結果、非常にエッジの効いた商品形となって、どんな顧客も、そういう商品は一目見た瞬間に、「この商品は今までになかったこんなシチュエーションでこんなふうに使う商品」というイメージが鮮明に湧いてきます。結果、そのエッジの効いた商品形が提供する新しい、「応えることにしたニーズ」が市場に潜在していた要請にフィットすれば大ヒットという結果になるわけです。

それに対して、得てして失敗する後発企業は、わざわざ先発企業が切り捨てて応えないこととしたニーズを、先発企業のエッジの効いた商品に追加して、わざわざどのように使えばよいのか、誰のどんなニーズに応えるのかといったイメージが湧かない商品にしてしまいます。

今回のマイクロソフトのタブレットで言えば、「仕事で使えるタブレット」であるはずなのに、電車の座席やベンチ等、膝の上でタイプしたいときに出来ない代物になってしまっています。じゃあ、平らな机やテーブルがあって、腰を落ちつけてタイプ出来る場所で使おうかと思えば、薄っぺらい打鍵のキーボードでは、おそらくはしっかりと長時間タイプする仕事をしようとする気に到底なれないと思います。私なら、もっと厚くても入力感のしっかりとしたbluetoothキーボードでも買って机やテーブルにあらかじめ置いておいて、そこに来たらすぐさま快適に仕事できるようにすると思います。結局、必要なのはbluetoothキーボードかMacbook AirであってSurfaceではなかったねということになってしまいます。いや、もっというと、今の自分のように、タブレットに向かってキーボード打つ必要なんて無いし、今の時代、仕事を持ち帰ることも不可能になってきているので、そのニーズそもそも無いよというのがマジョリティではないかと思います。

腰を落ちつけられる場所が必要な商品形なのに、腰を据えて仕事するに適した商品内容になっていないというある意味の矛盾。わざわざ、売れてる商品が今応えているニーズからはずれているニーズに訴求しようとしているのに、売れてる商品形を踏襲してその応えたいニーズに適さない商品仕上がりにする矛盾。

結局、「誰のどんなニーズに応えるのか」というスタート地点から立脚せず、「売れている商品形に何をプラスしたら差別化できるのか」というスタート地点に立つのが、大方のMeToo企業であって、だからこそ大方のMeToo企業は「誰のどんなニーズに応えるのか」よくわからない商品を作ってしまって見事に失敗しちゃうわけです。

今回のマイクロソフトの商品の中にも、追随企業の陥るこの典型的な落とし穴を見てしまうのですが、これは果たして気のせいなのでしょうか。

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