マーケティング

2012年5月 4日 (金)

アマゾンのタブレットビジネス(たぶん最終)その他

ゴールデンウィーク真っ最中です。また、日本はお休みの真っ最中に、ある意味非常に興味深く、また個人的にはある意味かなり残念なニュースがUSでありました。

http://finance.yahoo.com/news/amazons-kindle-fire-shipments-slump-194956206.html

アマゾンのKindle Fireの直近四半期売り上げシェアが、4Qの17%弱から1Qは4%へガタ落ちとのことです。アマゾンは公式にはKindle Fire等の売上台数を公開していないので、どのような調査ベースの数字なのかわかりませんが、記事を読む限り、信憑性はありそうです。

数字上、このアマゾンのKindle Fire減がそのままAppleのiPadのタブレット内シェア上昇につながっている格好です。

これだけでも、事実は小説より奇なりという話だと思いますが、以下の記事もそれに負けず劣らずインパクトがあります。

http://seekingalpha.com/article/557151-kindle-sales-plunge-made-amazon-com-s-gross-margin-look-better?source=yahoo

アマゾンのKindle E-ReaderのE Inkスクリーンの発注情報からは、アマゾンのKindle E-Readerの売り上げのガタ落ちが推察されるとの記事です。アマゾンの4Qでのスクリーン発注が結果的に多すぎて、次Qである1Q以降の4カ月間で全く発注がなかったということのようです。

この2つの記事と情報がおおむね正しいとすれば、アマゾンに起こったことは、下記のような感じかと想像します。
1.昨年の4QでKindle Fireを引っ提げてクリスマスシーズンの販売に臨んだが、アマゾンの経営陣の想定を大きく逸脱するKindle FireとKindle E-Readerのカニバリで、まずKindle E-Readerの売り上げがガタ落ちとなった。
2.4QのKindle E-Readerの売れ残り分は翌年1Q分の販売に回されたが、1Q以降にスクリーン発注が再開されなかったことから、売れ残り分は販売減少後の四半期売上水準に比してかなり多そう。
3.それだけではなく、1QではKindle E-Readerと売上がカニばっているはずのKindle Fireの売上もガタ落ちになった。

もし、Kindle E-Readerを買っていた顧客が4QではKindle Fireを買っていたのに、1Q以降ではKindle Fireを買わなくなったとすれば、もともとのKindle E-Readerのニーズが今は社外流出している可能性が高いと思います。

なので上記の情報がある程度正しいとすると、今足元のアマゾンのKindle Fire+Kindle E-Readerの売り上げは、もしかすると、Kindle E-Readerのみを販売していたときより却って減少しているかもしれません。

Kindle FireがKindle E-Readerを殺し、そのKindle Fireがたった3カ月で急激に失速するとは、アマゾンにとってこれ以上ない最悪のシナリオです。どこまでこの姿が正しいかは不明ですが、どう転んでも間違いなく経営上は、良い状態ではないと思います。

タブレットがE-Readerを食う姿は、スマートフォンがミュージックプレーヤーやデジカメを食う姿に似て、ある意味必然かもしれませんので、これ自体はいたしかたないと思いますが、E-Readerを食って大きく成長していくはずのKindle Fireタブレットが急失速しているとしたら、アマゾンはただただ、自身でE-Reader市場の死期を早めただけになってしまいます。

もともとが、AppleやGoogleに新しいタブレットデバイスを制されて、将来の有望市場である電子書籍、ミュージック、ビデオ、クラウドといった各市場を牛耳られてしまうことに懸念があって踏みこんだタブレットの世界だったのだろうに、ここまで経営判断が裏目に出るとは。

まさに、事実は小説より奇なりを地でいくような話です。

タブレット市場に話を戻すと、Kindle Fireがたった3カ月でシェアが17%から4%に落ちてしまうほど、急激に売れなくなってしまっているとしたら、この商品の将来性は疑問どころか、ほとんど希望を見いだせないと思います。製造原価を割り込んでの販売で、早くも需要側の天井がやってきたわけですから、マーケットの需要の弱さは深刻です。単純にかつ乱暴に表現して、250ドルかけないと作れないものが、200ドルで販売されていても、もはや客が集まらないとすれば、これまでの販売済みのお客はこれを50ドル(あるいはそれ以上)の得と考えたのに、これから直面する多くの客はこれを付加価値マイナスの行為、すなわち損失と考えることを意味するのだろうと思いますので、アマゾンが作り出したKindle Fire商品でのプロポジションがいかにニーズの小さい商品だったのかということになると思います。

例えば3Gをつけたり、画面を10インチにしたりといった単純な改善策で事態が改善するなら良いのですが、そういう端末をも擁するモトローラ、サムソン、ソニーといったその他の企業群がタブレット販売全般で一様に苦しんでいるのですから、これらの単純な策が解決策になる可能性は低く、アマゾン経営陣にとって事態はかなり深刻である可能性が高いと思います。

ここまで、アマゾンのタブレットビジネスを注目してきましたが、そこで考慮したアマゾンの資本制約すら心配の必要がないほど、売上が立たない状況に急速に直面している感じです。コンピュータの専門会社ではないアマゾンがこの事態を改善させる有効な策、例えば商品のカスタマーエクスペリエンス向上等といった手立てをどれだけ有効に行えるかはかなり個人的には疑問に思っていますので、上記の状況に間違いなければ、当面はタブレット市場発展のキーとしてのアマゾンの重要性は落ちたと判断します。

これら一連の要素のおかげで、すなわちKindle E-ReaderもKindle Fireも売れなかったため、初期負担が少なく、直近のアマゾンの四半期決算での内容は投資家予想より良かった可能性が高く、これはある意味とても皮肉な結果です。アマゾンが見た、将来の自身のビジネス展開に必要なビークルにおいての戦略的なムーブメントが見事に失敗に陥っており、このままではアマゾン経営陣が忌避し、回避しようとした未来がやってくる可能性が著しく高くなってしまっているのですから。

今アマゾンの株価は実績PERにして190倍とか、とんでもない水準で取引されており、なおかつ直近四半期決算での投資家予想を上回る利益で、Kindle Fireをはじめとする端末販売によるコンテンツ売上増をはやしてか、足元で株価上昇しています。しかしながら、上のような情報が事実をある程度的確にとらえているとしたら、コンテンツ販売増どころか、何百億かのタブレット初期投資が回収できるかどうかが暗礁に乗り上げているのみならず、将来端末エコシステムを牛耳られる他社の顔色をうかがいながらのコンテンツ販売を強いられることとなるアマゾンの将来はお先真っ暗というリスク満載の足元状況かと思います。

この状況でPER190倍とか買い上げられる投資家の神経は、少なくとも私には全く理解不能ですが、素直に、わからないものには近づかないようにしておこうと思います。

今、アマゾンKindle Fire対抗商品でサムソンをはじめ、Androidお膝元Googleまでもが、格安タブレットで勝負しようとやっきになっているところでこの事態です。各社、どうするのでしょうか?もはや、いきなりニーズの底が見えたカテゴリーでも、車は急には止まれず、Android各社入り混じった泥仕合がここからも見られるのでしょうか?

上記のアマゾンに関する情報は、また例によって連休中のため、日本語の記事を私はまだ目にしておらず、連休後に翻訳され日本に紹介されるホットな情報ではないかと思います。(たぶん2番目の記事のような、裏で本当に起こっているかもしれないことに触る記事は日本では出現しないだろうと思いますが。)前もそうでしたが、この手のパターン、多いですね。

また、会社が積極的に売上台数等の情報開示しないケースにおいては、いかにそこに悪い情報が隠されていることが多いかということを改めて強く認識させる事例です。ほんと、何の売上情報も出さず、好調です、経営陣は満足してますって言う会社、多いですから。

他の話題ですが、昨日、サムソンが次世代スマートフォンの発表を行ったようで、記事を斜め読みしたところでは、AppleがiPhone4S等で導入した、Siri, iTunes Match, iCloudに相当する機能を有するとのこと。外観ではなく、今度はソフトの分野でのMeTooコピーがこの業界で進行しているようです。

この手の追随会社の無批判にも思えるレミングのような追随行動は、どこの市場でも見られる姿かと思います。このブログで散々見てきた投資商品系の世界でも、グロソブ、2重通貨建預金、ブラジル通貨ヘッジ等をはじめとする、山ほどのはやりの商品形が、レミングのように行列を成して各社に追随され、一方向に業界商品が流れていく姿がまだ記憶に新しいことと思います。

で、結局最初に新しい市場を確立した先駆者しかまともに利益が出せないパターンも、まるで一緒かと思います。

マーケットは人間が作り出すものであるだけに、どの業界でも似たようなパターンになるのでしょうね。

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2012年4月18日 (水)

アマゾンのタブレットビジネス(その5)

アマゾンのタブレットビジネスに関して、当方が将来予測している姿にかなり近いUS記事を見つけましたので、リンクを張ってみます。
http://seekingalpha.com/article/505101-how-kindle-fire-killed-every-ipad-competitor-in-the-room-and-now-it-will-kill-itself?source=yahoo

アマゾンの現在のタブレットビジネスでの立ち位置での弱みは、明らかに以下の2つだと私は見ています。
1.Appleが創造したタブレット市場は、ロスリーダー戦略で挑んでいるアマゾンにとって、市場が大きすぎる。また、相手にしているAppleが対抗相手として大きすぎる。結果、とびぬけた市場リーダーしか取り得ないロスリーダー戦略を採っているにもかかわらず、構造的にニッチプレーヤーにしかなれないことが最初から見えており、これが戦略上の矛盾とも言える状況にあって、マーケティング上、成功する筋道の通った戦略になっていないと思われること。
2.アマゾンは自前のOSを擁しておらず、また端末メーカーとしての能力も有していないと思われ、OS、端末、サービスの全てを統合した優れたカスタマーエクスペリエンスを作り上げることが困難。これがAppleに比較したときに、劣化格安商品としての立ち位置に立つ以外の道がない状況に陥る主因となっていること。

アマゾンは、すでに四半期500万台レベルの売上で、ロスリーダー戦略が生み出す、おそらくは数百億円規模の初期損失でもうアップアップの状態になっています。同時期に、Appleは1500万台レベルの売上を享受し、しかもアマゾンとは違って損失どころか、他の全ての端末製造会社がうらやむだろう利益率を同時に叩きだしているものと思われます。しかもこの新型iPadは、日本の量販店でまだ予約受付中で、販売する実物を店頭に置くことすらできない品薄の状態が、発売開始後1カ月以上経過した今持って続いています。
なぜか、今、US記事等でうわさされているiPad Miniによって、将来のAppleの利益率が圧迫されるなどという、頓珍漢としか思えない見立てがUS記事の一部で踊っているらしいのですが、もしAppleがiPad Miniなるものを出すとしたら、間違いなく適正な利益率が確保できる価格設定になるだろうし、その価格はアマゾンの端末価格よりは間違いなくかなり高いでしょうが、上のリンク記事のように、それで傷つくのは間違いなくAppleの方ではなく、アマゾンの方でしょう。

それでも、アマゾンの戦略推移が判明してくる前に、その他のタブレット業者はアマゾンの低価格ロスリーダー戦略によって軒並み死亡してしまうだろうことも明らかなことだと思います。その他の端末メーカーは、アマゾンが持っている、ワンストップでのコンテンツ消費といった強みすら無いのですから。

直近見えている、サムソンの低価格タブレット分野でのアマゾン対抗の姿勢や、Googleの低価格自前タブレットのオンライン販売構想も、結果を見るまでもなく、うまくいかないだろうと私は予測しています。アマゾンが開いた低価格タブレットの分野ならばその他プレイヤーに勝機があるという判断も、本気でそんな判断をしているとは思いたくもないですが、まともな判断とは思えません。
おそらくは、もしそれが機能するとしたら、英語系のコンテンツが全くもって意味をなさない一部新興国を中心とした市場限定の話だろうと想像しています。コンテンツがまるでないならば、タブレットはその価値のかなりの部分を失ってしまうでしょうし、もともとがそのようなコンテンツ自体が全くもって整備されていないと思われる新興国で、パソコンやラップトップの代わりとしての低価格タブレット販売であれば、戦略上筋道が通っていると思いますが、アマゾンを追いかけてのUS等先進国市場での低価格タブレット販売には、戦略上の筋道がまるで見えませんし、成功の目がないのではと考えています。

Googleやサムソンの経営者が、そんなこともわからないとは到底思えず、それでもこの方向でチャレンジする以上の有効な手立てが見つからないのだろうと想像していますが、この展開は間違いなくiPadがiPodの再来となる方向の展開だろうと私は見ています。私はiPod市場での数多くの競合企業がAppleに対して討ち死にしていく姿を現在進行形で見てはいませんが、きっと今iPadで見ているような、負けるべくして負ける展開で、負け戦が繰り広げられていったのだろうと想像しています。

以前のアマゾンのタブレットビジネスのエントリーで、追加の競合会社がタブレット市場のさらなる発展には必要という個人的見解を示しましたが、今見えているその可能性のある企業としてのマイクロソフトからは、個人的にはかなりがっかりな内容が見えてきているのではないかと思っています。マイクロソフトがAppleのタブレット独壇場を切り崩すとしたら、間違いなくビジネス用途であって、表計算やワードをはじめとするビジネスユースでのパソコンとタブレット等のシームレスな利用の実現が、その切り崩しのための重要な武器だろうと想像していました。しかしながら、タブレットで用いられるチップセットと既存のパソコンのチップセットはどうも断層があって、なかなかシームレスな互換性を実現するのは難しそうです。

私も、今のパソコンでいまだに使用しているソフトがあって、これが今のパソコンではなく、タブレットのような、ウンウン言わない静かなパソコンで動かせるとしたら、すぐにでもそんなパソコンを買いたいのですが、どうもタブレット寄りのチップセットでは既存のインテルベースのソフトウェアは動かせないようです。これでは数多くのソフトウェア資産に縛られているビジネスユースでは、タブレット寄りのチップセットに移行できません。ビジネス環境と資産を継承するために、相変わらずインテルベースのチップセットで構成されているパソコンで、これからも運用せざるを得ないと思います。これでは、タブレットとのシームレスなビジネスユースの環境は実現できないだろうと想像します。このハードルを越えないとマイクロソフトがAppleのタブレット寡占を切り崩すことはできないと私は見ていて、今のところの情報では、個人的にどうも難しそうだなという感触を持っています。

個人的には、タブレットと同様に静かに動くパソコンがぜひ欲しいと思っているのですが。タブレット同等のチップセットを持つパソコン上のソフトウェアの充実を待って、データごとまるごと移行するしかないかなと今は考えています。

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2012年4月 4日 (水)

今現在のマーケティング的な注目点

例によって、当方の継続的なウォッチ対象である、スマートフォン及びタブレット市場で今、個人的に着目し、どうなるか注目している点について、好き勝手につぶやいてみようと思います。

一年以上前のUSベライゾンのiPhone導入発表のニュースから、「いわゆる世界の最先端市場で起こったことは、ある程度のタイムラグを置いてその他の市場でも類似の形で起こることが非常に多い」と言う、ある意味マーケティング的な原則や法則とでも言うべき現象の枠組みで判断し、auやその他の国のキャリアの将来のiPhone導入を予測してきましたが、足元の状況を総括してみても、この枠組みのとおりの現象が継続して各国で起こっているものと判断できます。

言わずもがなですが日本ではauがiPhoneを導入し、USではスプリントが、中国ではチャイナテレコムがその後iPhone導入に至っています。

それだけではなく、この世界各国のキャリアがiPhoneを導入しなければならなくなる理由である、iPhoneを取り扱わないキャリアから取り扱いキャリアへの恒常的な顧客の移動が、今も各国のiPhone未取り扱いキャリアを襲っています。日本ではドコモが毎月のようにMNPで顧客流出の憂き目に遭いつづけていますし、USではやはり未だiPhoneを取り扱っていないT-Mobileが一人負けの顧客流出を続けています。中国でも3Gが弱いという特殊要因もあると思いますが、チャイナモバイルがやはり一人負けの顧客流出に遭っていることが記事で確認できます。

そして、 USではAT&Tでもスプリントでもこの第一四半期はすべてのandroid等のその他スマートフォン機種合計よりもiPhoneが足元2012年第一四半期では売れており、VerizonでもiPhoneとその他すべてのスマートフォン機種合計売上が同程度の比率になっているというUS統計記事が届き始めています。US市場におけるVerizonのiPhone導入を契機とした動きは、非可逆的なAppleとその他市場のプレイヤーの間の一方向のシェア変動につながっています。

今も各国のiPhone非取り扱いキャリアは継続的な顧客流出に直面し続けているのですから、当然のことながらここまでの動きはこれからも続いていくものと予想しています。
すなわち今の注目点のひとつ目は、いつドコモがiPhoneを導入するか、また、世界一のキャリアであるチャイナモバイルがいつiPhone導入に踏み切るかということです。

やっとUSのアナリストも、西ヨーロッパや新興国で、Appleがスマートフォンのシェアを増やし始めていることに言及し始めています。上のマーケティングの法則を知っていれば、それが統計上数字に現れてくるよりもずっと前からその現象が起こるだろうことが予測できるのに。前にも本質的に同じことを書きましたが、なぜ統計数値を追うだけでなくその先を読もうとしないのか不思議でなりません。

もう一つの注目点は、標準特許に関係するものです。今ちょうど、EUがモトローラを標準特許乱用の疑いで正式調査し始めたというニュースが報道されています。標準特許乱用の疑いでのEU正式調査開始はサムソンに続き2社目です。前のエントリーで書いた、すべての会社に公平公正にライセンスすると約束した上で標準として業界に採用された特許を、特定他社の商品を差し止めるために利用するといった暴挙の疑いで正式調査されているわけです。結局のところモトローラの狙いは、つまるところApple等の標準でない特許を、自身の標準特許を盾にしてただで手に入れようという作戦であって、マーケティング的に表現すれば、新しい市場を創造した先駆者の特許技術を模倣することによってその市場創造の成果の分け前の一部を横取りしようとした上で、その行為を特許に関する権利上も正当化しよう、あるいは特許上の対価を支払わず踏み倒そうとする行動となります。そのために自身の標準特許を使ってその目的を成し遂げようとしているわけですが、それがうまくワークしないだろうことが誰の目にも明らかになってきたわけです。

EUの正式調査の後に有罪であることが確定すれば、グローバルターンオーバーの10パーセントを上限とする罰金が待っています。標準特許は、いかなる会社も差別せず公平にライセンスする宣言をしたからこそ、標準技術としてその業界に採用されたのに、それで業界全体が後戻りできない状況になった後で、その状況を利用して最初の約束、前提を反故にして差別的にライセンスを取り扱い、特定一部の会社が商品を販売できないようにしようとするのは、世間一般で言う詐欺行為に相当すると思いますから、有罪確定したら、自身の標準特許のライセンス収入では到底挽回できないほどの多額の罰金支払いになると想像します。そうでなければ、すなわちリスクが限られていてうまく行ったときのリターンがでかいなら、値千金を狙ってこのような標準特許を用いた反競争的行為に踏み出す業者がこれから列をなすこととなり、規制当局にとっては全く持って逆効果ですから。

ここで、当方の注目する2点目の点です。上記の展開になると、Googleのモトローラ買収の主要な目的であったモトローラ保有特許が、対Apple、対Microsoftでちっとも役に立たなそうだということが明らかになってきます。それどころか、買収後もこの手の無理筋のごり押しを辞めずに続けると、買収後のGoogle本体の売上まで、罰金の対象になりかねないと思います。買収で一兆円近く払う会社の純資産価値はその半分未満で、かつここのところのビジネスは、Verizonで端末が売れていたときからろくな利益が出せず、売れなくなってからは赤字の、ビジネスとしての何の価値も示せていない状態です。考えようによっては、マイナス6,7千億円の状態からスタートする会社の、最も期待している特許が他社対抗上ほとんど価値を生み出さないとすれば、Googleにとってこの買収をする意味はあるでしょうか?

このまま買収して、なんの芽も出せずにこの会社を清算する最悪の状況を想定すると、スタートの約マイナス6,7千億円から、更にEU当局等への罰金支払いのマイナスと、会計上評価し切れていなければ残存特許等資産価値分のプラス、ビジネス継続前提資産の清算価値による毀損部分のマイナスと、そんなところでしょうか。どうにも大怪我せずに終われそうな気が全くしません。

今、中国が審査中のこの状態で買収を辞めるとすると、違約金の2000億だったか、そんなオーダーの損失で終われるらしいですから、モトローラの特許があまり他社対抗上役に立たず、標準特許の微々たるライセンス収入前提の価値しかないのであれば、買収を辞めた方が傷はかえって浅いかもしれません。

ということで、果たしてこの状況下でGoogleは買収を完遂するのかどうなのか、注目点だと思って見ています。

ここに注目している理由は、この結論で、Googleの経営者の力量が判断出来る可能性があると思っているからです。
並の経営者なら、モトローラの特許部分があまりワークしないとしても、Appleの並み外れた利益に魅惑され、「自社も端末製造を手がければ、同様の利益が創出できるかも」と血迷ってしまって買収を成立させてしまうだろうと、私は見ています。
端末を一年使ってもらって、やっと一台当たり10ドルやそこらの収入を得るGoogleに対し、キャリアと端末契約した瞬間に、まだ端末を実際に製造する前から、一台当たり500ドルといったオーダーの利益をAppleは生み出しているのですから、これは、上から落ちてくる雫で飢えをしのいでいる横で、ステーキをがんがん食われているようなもので、並の経営者なら間違いなく血迷って転んでしまうだろうと思います。

でも、言うまでもないことですが、OS会社が端末製造したくらいで魅力的な利益が生み出せるのなら、HPのwebOSも頓挫しなかったでしょうし、RIMMもここまでの苦境に陥ってないでしょう。iPadがiPodの再来に成りつつあるのは、決してただの先行者利益ではなく、21世紀はじめからiPodプラスiTunesで種まきを始めたおかげで構築できた著作権コンテンツやアプリ、そこで積み上げられた製造ロジスティクスや販売、マーケティングノウハウやブランド価値、ビジョンに基づく能動的市場創造といった全てを含めた総合力が実っているのだと思います。OSと端末を統合的に作り上げれば、それでApple類似の利益が生み出せるなどという考えは、ただの幻想でしかないと思います。Appleをこの方向で追随して対抗していくのは、実際はイバラの道でしょう。

今のGoogleは、Facebookを追いかけ、Appleを追いかけ、Dropboxを追いかけるといった、新しいマーケットを創造してそこで先駆開拓者として君臨するビジネスではなく、そのようにして現れた先駆者を追いかけるフォロワーのビジネスを各所で展開する企業になっています。これは、マーケティング的にみると危ない兆候で、かなりの強者であっても、このように振る舞い始めた会社は滅びへの一本道を下って行くケースが非常に多いと思います。

なので、逆にこの状況で買収を取りやめて損切りし、他社の後追いをするのではなく、自身の独自の強みにフォーカスして将来のビジネスを切り開いて行くという決断ができる経営者であれば、その経営者は間違いなく並み外れて有能な経営者で、少なくともGoogleを次なる繁栄に導くためのポテンシャルを持っていると思うのです。

というわけでこの買収の最終的な着地点に注目しているのですが、果たしてどうなりますか。見ものです。

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2012年3月17日 (土)

The new iPad他

iPad2のときも、日本での発売日に購入しましたが、今回も世界での発売初日である昨日、さっそく、New iPadを購入してきました。今回も、初日に買えなければまた数週間待ちだろうと思っていましたので、4Gバージョンの予約開始日にプランを確認することもなく予約してしまいました。今回は4Gバージョンだったので、お金を払って終わりというわけにはいかず、だいぶ時間がかかってしまいましたが、無事購入できました。

公式販売開始前の記事等の記述に違わず、非常に精細なレティナディスプレーは感動もので、今回のiPadはじっくり新聞やHP記事等を読むのにやはり最適と感じました。今は、電車のグリーン席等で長時間過ごす機会が日常的にかなりあるので、これからはそういった時間がほんと楽しみです。

ディスプレーの表現力が前バージョンと段違いなので、旧iPadはランドスケープモード(横置き)で固定して使うことが多かったのですが、新iPadは使い始めてすぐにポートレートモード(縦置き)で固定して使うようになりました。要は、文字が小さくてもくっきり見えるので、大きく拡大する必要がなく、一画面にたくさんの行を表示することができて前より捗るようになったのです。

今となっては会社の会議にまで登場するiPadですが、そのような仕事のときにいつも感じるのが、「画面がもっと大きければいいのに」というものでしたが、これも新iPadになれば感じ方が変わるかもしれません。精細表示により一画面により多くの情報が表示できれば、端末をもっと大きくする必要を感じなくなると思います。拡大しなくても、スクロールしなくても、資料内容の確認が簡単にできるようになりますから。

1点残念なのが、Siriが今回のNew iPadには実装されず、実装されたのが音声入力部分だけだったところです。ただ、今のところ、日本語のSiri自体がレストランやアミューズメントプレイス等の旅行時に必須の部分への対応がなされていないので、まだ日本語部分の使い勝手が整備されているとは言えず、iPad対応がなされてもまだフルに使える状態ではありません。このポイントは、将来の楽しみにとっておきましょう。

それでも、将来予定している海外旅行には、この新iPadを連れていく予定です。たぶん、旅を100%満喫するのにフルに活躍してくれるものと期待しています。

例によって、購入直後の休日である今は新iPadは家族に取られ、なかなか自身でとことん使うことができない状況です。なので、今日は電気屋に行って、ポートレートモードで使うのに適したスタンドを物色してきました。私が今日行った店では、もう新iPadは売り切れていて、予約受付に移行しているようでした。アップルのオンラインストアのインターネット注文でも、もう世界的に2~3週間待ちになっているようですから、前回のときと同じく、しばらくは品薄の状況が続きそうです。

今回の新iPad発表のときも、前回のiPhone4Sのときに、「5ではなく4とほとんど変わらずディスプレイも大きくならずただ性能がアップしただけ」と酷評した一部マスコミと同じく、「革新的要素が無い」等と酷評する一部マスコミが今回も日米マスコミに現れましたが、ほんと何度こっぴどく曲がれば気が済むのか、そのはずしっぷりがあまりにも毎回見事すぎて驚きます。

たぶん、仕事関係等で、iPad万歳のスタンスには決して立てない事情があるのでしょう。何度も同じミスをしても、その見立ての悪さを改善する策を講じる様子もなさそうで、これらの記事の書き手はおそらくはもっとずっと重要な何かを背負った人たちに違いありません。

一消費者であれば、商品のカスタマーエクスペリエンスが優れていれば、何の制約もなく、日々が便利に快適にまたより楽しくなることを喜べます。そしてそういう商品を生み出す会社がより発展していき、利益も挙げていくだろうし、また株価が非常に割安で将来、利益を株主配当や自社株買いで株主還元するだろうことが見えていれば、市場でスペキュレーションをしなくても、株を持っているだけで報われていくことになりますから、その株はおそらくは下がるよりは上がる可能性が圧倒的に高いだろうことも簡単にわかります。

どうも、最近の記事を見ると、様々なファンドが今アップル株を買っているとか。その理由が、買わないとベンチマークに負けるからとか運用成果が劣るからという理由だそうで。今やこの会社の時価総額が世界一になってしまってますので、ファンドが裏目を引いたときの対市場比の負のインパクトは大きそうです。

職業投資家は何かと不自由ですね。恐ろしく割安な時は、配当してないので買えないとか、株価が上がったら、逆に有無を言わさず買わないといけないとか。

週末のUSの日本時間の夜中のニュースで、ある有名なUSのポッドキャストで、Appleの商品を製造する台湾の会社の中国工場での労働環境を報じた1月の放送に少なからずでっち上げがあったようで、USでは各ニュース記事で取り上げられています。有名な新聞社もこのポッドキャストの内容を引用したApple叩き記事を書いていて、その記事がこの出来事の後、削除されたとか。

しかしながら、日本では私が知る範囲ではまだ全くどこでも報道されていません。経験上、このパターン、非常に多いように思います。月~木曜日に発生した出来事であれば、比較的早くに翻訳記事が出回るので、せいぜい半日遅れ程度ですが、週末に起こった世界の出来事は、狭い日本の新聞記事に載らないものは得てして翌週のウィークデーにならないと翻訳記事にならず、英語で情報を得ていないとこのパターンのときは情報取得の遅れが激しくなります。

モトローラやサムソンの標準特許によるアップル商品差し止め請求と、これら企業群の独禁法違反のEU等調査開始も、上のアップル商品の中国工場の労働環境を問題として取り上げる動きも、根っこに同じ要因が存在していると私は見ています。両方とも、マーケティング的に新しい市場を作った先発企業の独り勝ち状況を何とかしようという無理筋の動きに見えます。

当然のことながら、先発企業が新機軸の商品を出した時には、「こんなの売れない」と嘲笑し、まんまと巨大な市場を創造されて、模倣商品を出さなければやっていけない状況になったときには時すでに遅しで、後発会社は模倣商品では利益を出すことすら困難な状況に陥っているのが、マーケティング的には定番の話です。当然のことながら、後発会社は先発の模倣ですから、先発会社の新市場創造の基になったアイディアに関連した、先発企業に対して対抗できる特許などあるはずもなく、上記の会社群は誰に対しても公平にライセンスすることを自ら宣言して標準として業界に採用された標準特許を使って、先発企業の独走を止めようという暴挙に走っています。これが、EUをはじめとする当局から独禁法違反の罪で罰せられるだろうことは火を見るより明らかで、こんな愚かなことをやらなければならなくなるほど、後発企業は追い詰められてしまうということだと思います。

アップル商品の中国工場に関する最近のマスコミ関係の動きも、少なからぬでっち上げをちりばめるというリスクを冒した上で、センセーショナルにぶちあげてこの会社を叩く必要がマスコミにはあったのですから、そこにはそう行動せざるを得ない背景としての理由があると考えるのが自然です。間違いなくマーケティング上での独り勝ち先発企業に対して対抗できる真っ当な手段が後発にはたいてい見つからないのですから、またそれでは飯のタネに困る人たちもあちこちに多いのですから、上記の後発の特許分野での無理やりな行動と全く同じく、無理やりにでも、先発企業を叩く方法やネタを見つけようとなるのが自然です。

この手のマスコミの動きに乗せられて消費者運動をやってしまう一部消費者は、純朴なのかわかってやっているのかわかりませんが、これらのマスコミの動きや主張に合理性が無いのはよく考えれば明らかですから、純朴なのであれば思慮が足りず、意図的ならば偽善といわれても仕方がないと個人的に思います。

当方は、このマーケットを完全にマーケティング視線で見ているので、余計、そう思えるのかもしれませんが、これらの複数の出来事を、先発企業があふれるほどの後発企業群に囲まれてなお、独り勝ちを強めていく典型的なマーケティング現象の中で必然的に発生してくる現象として見ています。

今回は特に取りとめのない話になりましたが、しかし、良い時代に生まれたものです。次のイノベーションのジレンマは、どこでどんな形で起こるのかわかりませんが、今はこのイノベーションが起こしてくれる圧倒的な楽しさを、思う存分享受したいと思います(マーケティング関連事象も含めて)。S.ジョブス氏にあらためて感謝です。

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2012年3月 4日 (日)

何故、先発企業は強いのか?

標題の内容はかなり大上段に立ったものになっていますが、たぶん以下の内容は個人的なつぶやき程度のものになると思います。その前提で、ご興味あればどうぞ。

当方がもう1年を超えてずっと注目し続けているスマートフォン、タブレット市場の状態が、まさに標題の状態を典型的に表す事例となっていると思います。繰り返しになりますが、世界の携帯市場におけるAppleの利益シェアは75%とも80%とも言われる状態にまで達しており、両市場において、いわゆるMeToo企業群の大半が利益を挙げることすら困難な事態に陥っており、ビジネスの継続自体が危うい状況になってきている企業もあちこちに存在します。

個人的な経験をお話しますと、ここ一年以上、両市場に注目し、触れてきたマーケティング関連の典型的な発生事象は、自身で経験した業界でのマーケティング的な経験と全くもって整合的かつ同質な事象と思っています。

1つ例を挙げますと、昔、以下のようなことがありました。

あるMeToo企業、すなわち、他の先発企業の開発する商品をコピーし、わずかばかりの改善と思しきものを施した商品を世に出すことを繰り返していた企業が、ひょんなことから、競合他社の次期開発商品案を入手することが出来てしまいました。そこでこの会社は、なんとその競合他社がその商品を販売開始する前に、コピー商品を作り販売開始してしまいました。

これではどっちがオリジナルでどっちがMeToo企業かわからない状況です。

果たしてどうなったのか。MeToo企業が、先にコピー商品を市場に出したことによって、オリジナルな商品を世に最初に問うた会社として市場で支持されたでしょうか?残念ながらそうはなりませんでした。

このMeToo企業は、コピーした商品内に存在する欠陥によって、市場から手痛いダメージを被ってしまったのです。

面白いのは、コピーされたオリジナルの会社は、MeToo企業がコピー商品を販売開始した直後に次期開発商品を実際にリリースしたのですが、その商品からは内在する欠陥が取り除かれ、全く問題のない商品となってリリースされたことです。

結局MeToo企業は、オリジナル企業より一歩先にコピー商品を出すことに成功したのですが、それでも新しい市場を創造してその市場で一番手として君臨することに失敗してしまいました。

なぜ、こんなことが起こるのでしょうか?

答えは明らかです。

先発企業、すなわち上記の例では、次期商品案をコピーされた会社は、どうしたら今まで実現できなかった顧客のニーズに合致した新しい商品が実現できるかに着目して、商品販売開始するその日まで、この商品はどうあるべきか考え続けているわけで、だから、新機軸の商品案に内在する重大な問題点に自ら気づき、解決策を施すことができるわけです。

他方、他社の商品をコピーする企業が考えていることは、先発企業の出す商品よりも、ちょっとだけ良い商品を作り、先発会社の得るだろう成果を横取りしようということです。だから、運よく競合会社の新機軸の次期商品案が手に入っても、その商品をちょっとだけ他社より良く見えるようにすることにしかエネルギーを注がず、上記の例のような失態を招いたわけです。

つまり、先発会社が見ているのは、マーケットであり、顧客なのに対し、MeToo企業が見ているのは競合他社ということです。実際に市場で勝負する前に、その開発態度の違いにより、勝敗は決していたのです。

これに類する話は、他にも結構あります。

ずっと当方が着目しているスマートフォン、タブレット市場の直近の現在進行事例で一例を挙げると、サムソンのスタイラスペンが挙げられると思います。直近のサムソンのコメントから、彼ら自身も、タブレット市場で自らがうまくいっていないことを認めていることがわかります。Appleの商品をコピーして、かつ0.1mmだけ薄く、数グラムだけ軽くすることでは、彼らのビジネスは成り立たなかったわけです。そこでスタイラスです。彼らの今、主力と位置付ける商品では、スマートフォンとタブレットの中間商品、およびタブレット商品で、スタイラスペンを使用する商品を展開しつつあります。

これを見て、あの世でジョブスは間違いなく、嘆いていると思います。

「わざわざ、スタイラスペンを排除し、誰でも直感的に操作できる指での操作を実現したから、この新しい市場が確立したのに。」

こんなセリフが聞こえてきそうです。

私も、同様の経験をしたことがあります。競合企業がコピー商品を販売してくる時に差別化と称して付加してくる機能が、まさにその新しい商品コンセプトと逆行する機能であることは、決して珍しいことではなく、私がこれを経験したときも、嘆きの言葉しか出てきませんでした。「せめて、商品コンセプトくらい、ちゃんと理解してくれよ。」というものです。

しかしながら、全くもって白地のキャンバスに、自由に商品の絵を描く先発企業に対し、後発企業は、先発商品+αの商品を世に出すことが至上命題となるわけですから、おのずと先発企業が、「この機能はこの新しいカテゴリー商品に付加するのはふさわしくない」として切り捨てた機能を、後発として何かの+αをつけなければならないという苦境から、あえて付加せざるを得ない、もっと言うと、後発会社にはそういう要素しか+αとして思いつけないという、まことに苦し紛れの状況に陥っていたりするわけです。

上記は、先発企業がなぜ強いのかという大上段の命題に対しては、おそらくはただの一要因にしかなっていないと思います。しかしながら、個人的な経験もあり、自身ではいやというほど腹に落ちている要因でもあります。

しかし、Apple株、すさまじく上がりましたね。怖いのは、これだけ上がった後でも、また、世界一の時価総額を実現した後でも、株価はまだ割安というところです。これから、株主配当または自社株買いで株主還元されるだろう、10兆円近いオーダーのキャッシュがこの会社にあることを踏まえて考えると、いまだに将来PERで10倍当たりだというのですから、ほんとおそろしい限りです。資本市場の優勝劣敗は本当に容赦のないものです。

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2011年7月16日 (土)

「多機能」スマートフォン台頭 デジカメ・電子辞書を浸食

標題の本日の日経夕刊の一面記事にも、なにげに「イノベーションのジレンマ」の実例が取り上げられている感じです。

http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819594E3E6E2E1808DE3E7E2E5E0E2E3E39F9FE2E2E2E2

日経電子版で無料で読めるさわりの部分だけ以下で引用します。

(以下、引用)

スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)やタブレット端末が、他のデジタル機器の市場を奪いつつある。あおりを受けているのはコンパクトデジタルカメラや電子辞書など。「撮る」「調べる」など様々な用途をこなせる多機能端末の販売増に合わせ、売り上げ減少が続く。スマホが一段と進化・普及すれば、余波はさらに広がりそうだ。

(以上、引用終わり)

破壊的なイノベーションは最初は未熟な技術なので、高機能市場にシフトすれば既存業者はほとんど痛みがなく生きながらえるけれども、そうやって上へ上へと逃げていると、いずれ破壊的なイノベーションがその技術を進化させていくにしたがって、逃げる上位市場が存在しないほど破壊的なイノベーションが高機能になってしまい、既存業者は死を迎えてしまうというやつです。

当該記事では、この破壊的イノベーションの餌食になりつつあるのは、携帯オーディオプレイヤー、コンパクトデジカメ、電子辞書、ICレコーダー、ビデオカメラそしてカーナビにまでいたるようです。これらのビジネス分野を主力にしている企業の将来業績には注意が必要ですね。

まさに、気づかずにゆでガエルになってしまうような現象です。怖いですね。

そういえば、当方が興味をもって注目している市場の一つであるタブレット市場では、Appleのipadの成功を見て、タケノコのごとく次から次へと追随参入する企業が絶えませんが、それら追随企業群がうまくいっていないことを示す記事が目立つようになってきました。例えば、企業決算開示でのタブレット売上予測の下方修正をはじめとする追随会社群の売上不調とタブレット市場イコールipadとなっていることを記述するUS記事や、さらにはインターネットトラフィックでのiOS以外のタブレットの異常なほどの存在感の無さなどが目につきます。これが何を意味するのか、当方も100%消化できてはいませんが、非常に興味深い現象です。

仮説として1つ思いつくのは、タブレットが主にコンテンツ消費のためのより優れた端末として、ネットブックやノートパソコン市場を侵食しているので、AppleのiTunesのように、茶の間で寝そべりながらワンクリックでゲームや便利機能をこなせるアプリや映画、テレビドラマや音楽ビデオ、ビデオポッドキャストそして電子書籍といったコンテンツ群を簡単に費消できる環境にないAndroid等の他端末では、既存マーケットに対してイノベーションのジレンマ現象を起こせていないのではといった仮説です。

単なるipadの先発優位なのか、あるいは上記のような根源的な理由が存在するのか?これについても、継続的に当該市場をウォッチしていけばおのずと答えがでるだろうと考えています。どうなるか、将来が楽しみです。

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2011年4月29日 (金)

ipad2

昨日、日本での発売開始初日にipad2を買いました。海外での販売開始の様子から、販売開始時の商品を手に入れないと2、3週間待ちになりそうだと判断して、家の者に朝、買ってきてもらいましたが、正解だったようです。

64GB黒wifiのみバージョンです。

さっそく、子供に大人気!とりあえず、子供がよろこびそうなゲームアプリを並べて、家族で使ってもらっています。

完全に家での使用を想定して、wifiバージョンを手にいれましたが、光回線にwifiでつないでインターネットも非常に快適です。間違いなく、家のノートパソコンの使用頻度が極度に減りそうです。これも以前の想定、イメージ通りです。そりゃ、パソコンの売り上げも減るわなという感じ。

まだ、十分ipad専用アプリ等を調べることができていませんが、6万5千のアプリでもまだまだ、ipadの機能、能力を100%生かしきれているようには思えません。まだまだこの市場はアーリーステージで、これからもどんどんアプリ等も増え、便利になっていくのではと期待しています。

これで使用しているApple商品はipod touchとipadの2商品になりました。このAppleのビジネス構造に気づき、目の前で起こっているだろうイノベーションのジレンマをリアルタイムで確認するために、関連記事、情報を追っていますが、その中で統計記事にも注意が必要とあらためて再確認しました。

2月の米国でのVerizonのiphone販売開始は、新しい世界規模でのプラットフォーム争いにとって、とてつもなく重要な意味があっただろうと思うのですが、それが統計上誰の目にも明らかになっていてもおかしくない今時点でも、わざわざ直近6カ月平均の統計数字を用いたAndroidOS優勢との記事が流れています。その統計がどんなベースの統計なのか、その統計記事を書いた者に特定の意図、恣意がないかどうかを確認しなければ、人は簡単にもっともらしい統計記事にだまされてしまうものだということを、あらためて再認識しました。

特に、その分野に詳しくないときには、投資に関連する情報として統計記事等を利用とする場合に細心の注意が必要と思います。

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2011年3月 2日 (水)

スマートフォンに見るマーケティング(その3)

「スマートフォンに見るマーケティング(その2)」でKDDI(au)のiphone参入を予想しましたが、いよいよその布石といいますか、そのための周辺環境が整ってきたようです。

(以下、関連する記事のリンクと引用(『』)です。)

http://www.nikkei.com/tech/news/article/g=96958A9C93819499E0EAE2E0938DE0EAE2E0E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2;da=96958A88889DE2E4E1E2E5E0E6E2E0E7E2E6E0E2E3E2E2E2E2E2E2E2;df=2

『これについても「グローバル端末の日本市場への投入は容易になったのか。例えばCDMA版iPhoneはどうか」という質問が出た。田中社長は「今回発表した日本版のHTC EVO WiMAXは米国版とほとんど差がなく、ソフトのビルド番号が違う程度。グローバル端末を日本市場に導入することは、今ではほとんどハードルがなくなったといえる。しかし、具体的にどんな製品が入ってくるかはセンシティブな話なので回答を控えたい」と明言を避けた。』

http://www.nikkei.com/tech/personal/article/g=96958A9C93819499E2E3E2E39A8DE2E3E2E1E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2;df=3;p=9694E3EAE3E0E0E2E2EBE0E4E2E6

『「グローバルモデルが使える新800MHz帯ネットワーク」「SIMカードがなくても端末に契約者情報を書き込める仕組み」――。この2つの条件は何を意味するか。

■現実味帯びるKDDI版iPhone

 それは2月11日に米国でベライゾンが発売したCDMA2000版「iPhone4」を日本で受け入れる準備ができているということだ。

 ベライゾンのCDMA2000版iPhoneは、日本に持ち込むとKDDIの新800MHz帯周波数をキャッチする。ベライゾンから発売されているため、SIMカードは当然ない。田中社長はiPhoneについて「ノーコメント」を貫いているが、KDDI版iPhoneの登場は、着実に現実味を帯びてきている。

 CメールをiPhoneのSMS(ショート・メッセージ・サービス)に対応させるなどの課題は残るが、KDDIがグローバルモデルの導入に舵を切ったことで、状況は大きく変わった。今年のスマートフォン市場にはまだいくつもの波乱が待ち受けていそうだ。』

(引用おわり)

KDDI(au)がiphoneを採用するためには、3G周波数帯の問題を解決する必要があるようなのですが(ずいぶん前から指摘されていた話です)、今回他機種でその問題に踏み込んで解決に向けた早急な動きをKDDIが見せていることから、この問題はiphone導入のための障害にはならなそうです。(当方、当然のことながら、この分野の専門家ではないので、細かいことはわかりませんが)

当方はKDDIからiphoneが出ても購入予定はありませんが、当方の女房はau携帯持ちでスマートフォンを欲しがっているので、auからiphoneが出れば購入する可能性は高そうです。

今後の展開が非常に楽しみです。

今までの展開はまさにUSですでに起こったマーケティング的事象を、韓国、中国、日本と、順繰りに追っかけるように、同様の経路をたどって進んでいる展開だと思います。

ほんとマーケティング的には、定石通りの展開だと思います。

KDDI社長の「ワンセグ、お財布ケータイもシェア挽回に全くといってよいほど効果を発揮しないじゃないか!何とかしろ!」という声が聞こえてきそうです。マーケティング的にはこの展開は当たり前の展開だと、当方には思えますが。新たな付加価値を提供する商品で攻め込んで来る競合他社に対して、その競合他社の商品を凌駕する新たな付加価値を提供しない限り、シェアが削られるのは、ある意味必然だと当方は思っています。だからこそ、それをしない、あるいは出来ないKDDIがiphone導入で自らの地位を防衛しようと最大限の努力をするだろうことは容易に想像できます。

これはipadでも同じことだと思います。後続追随会社が「ipad or ipad2より高スペックです。」といくら謳ったところで、お客の心には響きません。お客にとっては、それが自分の生活をどう変えるのか、いままで出来なかったどんな素晴らしいことが実現できるのかが重要なのであって、デュアルコアだろうがなんだろうが、自身の生活を革新してくれるのでなければ、「ipadで自身の日々の生活を変えるかもしれない革新的な提案をしてくれたAppleのipad2を買っとけ、それが一番無難。」となるだろうことは容易に推測されます。

その意味で、「Appleはipad2のプライスをたたいて来なければ(プライスディスカウントをしなければ)、これから津波のように襲ってくる追随業者たちの存在によって、苦しい展開となるだろう」と予想している、一部US記事を書いている記者たちは、マーケティングを知らない人間なのだろうなと(勝手に)想像しています。価格競争でこれから本当に苦しむのは、これから山ほど参入してきて、1社のみではまともなシェアも販売ロットも確保できない数多くの追随会社群と、相場は決まっているだろうに。

あと、Appleはその独特のビジネスストラクチャーから、Googleをはじめとするどの競合他社も実現できない革新的なあるサービスを将来実現することができるだろうし、実際に2011年中にAppleはそれをやってくるだろうと、当方は予想しています。Appleのその独特のビジネスストラクチャーを基に考えれば、誰もが一瞬でその結論に到達できるだろうと思うのですが、なぜかどの記事もどの専門家もそれを指摘していないのが、当方にはどうにも不思議でなりません。ただ、当方がその記述を発見できていないだけなのかもしれませんが。

こういった、マーケティング的な将来予測は本当に楽しいです。ipod touchを使いこなして、最初にAppleのビジネスストラクチャーの価値が腹に落ちた時には、「これに1年、2年前に気づいていれば(株式投資で大きくもうけられたのに)と思いましたが、このようなマーケティング的に興味深い市場に気づけただけでも儲けものだと今は考えています。

そもそも、当方の子供が「(MP3プレイヤーで)嵐の曲を聴きたい」と言い出したことが、Audibleにせよ、スマートフォン市場の発見にしろ、当方の最近の気づきのすべての発端となっており、それがなければ、当方は今でも全くこの世界に気づいていなかっただろうと思います。その意味で、子供にはほんと感謝しきりです。

今後も、この市場の将来展開が楽しみです。

(例によって、上記は単なる一素人のつぶやきでしかありません。読まれる方はその旨、ご了解いただければと思います。)

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2011年2月26日 (土)

スマートフォンに見るマーケティング(その2)

以前のエントリーで書いたとおり、ipod touchをうっかり買ってしまったために、Appleが行っているビジネスの価値がわかり、またその周辺で起こっているマーケティング的な内容について注目するようになりました。

これは、見れば見るほど、どの業界でも観察される、ある意味普遍的なマーケティング的事象と思えます。

というわけで、せっかくなので、個人的に興味を持って見ていて引っかかった記事や情報等を、ある意味好き勝手にエントリーに書いてみようと思います。

例によって、一素人のたわごとでしかありませんので、以下を読まれたり、以下で得られた情報等を投資判断等に利用されたりする場合が(万が一にも)ありましたら、当内容は一素人のたわごとであることを踏まえてご利用いただければと思います。

どちらかというと最近の記事になりますが、USでVerizonがiphoneを販売開始するというニュースがありました。

http://www.businessweek.com/news/2011-01-11/verizon-to-sell-iphone-feb-10-ending-at-t-exclusive.html

人によってはいわずもがなの内容ですが、簡単に当方が理解しているこのニュースの背景を説明しますと以下の通りとなります。

・Appleはiphoneを各国で排他的に通信業者に対して商品供給してきており、例えば日本ではソフトバンクだけがiphoneを販売していて、NTTドコモやau等はiphoneを販売していない。

・なので、タッチパネル式スマートフォンの市場を作った先駆者Appleのiphoneを独占的に扱うことのできるメリットを、各国のiphone取り扱い通信業者は享受しており、例えば、日本ではソフトバンクの快進撃の源となっている。(ソフトバンクは日本で携帯純増第一位を継続している。)

・この動きは、本家USをはじめとして、各国の下位通信業者が上位通信業者をやっつけていき、各国の通信業者携帯シェアが変動する原因となっており、最近では、iphoneを擁して上位通信業者を攻め込む下位通信業者と、それをGoogleのAndroid携帯で防衛しようとする上位通信業者という構図になっている。(GoogleのAndroid携帯は、マーケティング的に簡単に言うと、タッチパネル式スマートフォンの市場を新しく創造したAppleのiphoneに対する、後続追随会社のMeToo商品。ビジネス的には垂直統合orNotとかいろいろあるのですが、ここではとりあえず省略します。)

・本家USでは、先発キラー商品iphoneを擁してシェアを奪還していく2番手AT&Tと、それを防衛しようとして、MeToo商品を開発したGoogle(OS)+世界のその他の携帯製造会社のAndroid携帯を強力に推進してきた1番手Verizonの争いになっていた。

・この構造により、2番手AT&Tと1番手Verizonのシェアが拮抗し、またUSでのiphone独占契約が切れたことから、2番手の快進撃の源である武器を無効化するために、1番手Verizonが今までのコピー商品Androidの強力推進の方針を翻して、iphone採用&販売に動いた。

というのが、上記のリンク記事の背景として当方が理解している内容です。

ここで、当方がいかにもマーケティング的現象だなあと思う事象を、また箇条書きで書いてみます。

・先駆者が市場を作って、その市場の価値が認められると、その市場は山ほどのMeToo業者であふれ、活気づく。(iphoneを追随する、Android(Google)+世界の携帯端末製造業者等)

・しかしながら、その数多くのMeToo業者のほとんどは、市場がとれないか、全く利益が上げられないという苦難に直面し、数多くのMeToo業者であふれればあふれるほど、得てして先駆者のみが儲かるという構造になる。(携帯製造業者の生み出す利益のおよそ半分はApple1社のみで生み出しているらしい)

・世界の最先端市場で起こった事象は、一定のタイムラグを置いて、その他の地域、市場で類似の形で起こることが多い。

上記については、それぞれソースがあるのですが、以下では、上記に挙げた3番目の現象についての現在進行形のみを記事で示すことにしたいと思います。

上記のVerizon記事の現象が発生したことを知った時に、上記の3番目のマーケティング的パターンを知っていれば、この動きは他国でもいずれ起こるかもとすぐにピンときます。

調べてみれば、日本も韓国も、そして世界最大の市場の中国でも、下位通信業者が上位通信業者をiphoneで追撃する構図になっていることがすぐにわかります。(その他、この件に関しては、通信方式の違いといった要素もあったりするのですが、ここでは説明を省きます)

ここまで確認すれば、このVerizonのiphone販売と同様の動きが、世界各国でこれからどんどん起こってくるかもという予想が、確信に変わるわけです。実際、

(韓国)

http://www.reuters.com/article/2011/02/25/sktelecom-iphone-idUSSEL00321620110225?feedType=RSS&feedName=hotStocksNews&rpc=43

(中国)

http://www.digitalone.com.sg/news/article/14748

http://www.streetinsider.com/Corporate+News/China+Mobile+%28CHL%29+Pushing+to+be+Next+Apple+%28AAPL%29+iPhone+Dealer/6237140.html

のように、iphoneを擁して上位通信業者を追撃する下位通信業者の猛攻から身を守るために、韓国でも中国でも、実際に上位通信業者がiphone採用へ動いている様子がニュースで届きはじめています。

ここまで確認して、さてこの動きは、最終的に日本でも起こるのかどうかが次の注目ポイントですが、私は起こると予想しています。また、このまま放っておくと、いずれ携帯シェアでソフトバンクに逆転されて第3位に転落するだろうauが、最終的にはiphone採用に動かざるを得なくなるのではと予想しています。

http://voices.allthingsd.com/20110225/verizon-wireless-ceo-says-iphone-sales-strong/?reflink=ATD_yahoo_ticker

上記記事、Verizonはやっとほっと一息つけたといったところでしょうか。

もう1つ、当方の注目点はipadです。ipadについては、iphoneの1周周回遅れで同じマーケットサイクルをたどっているように、当方には見えます。つまり、「先駆者が市場を作って、その市場の価値が認められると、その市場は山ほどのMeToo業者であふれ、活気づく。」の「その市場の価値が認められ、山ほどのMeToo業者であふれて活気づく。」フェーズが今年なのだろうなと思っています。正直、いくつかのWindowsソフト資産で行わなければならないことが存在しなければ、当方もパソコンではなくipadを毎日常用したいと思います。いままでもパソコンのライトユーザーのニーズをipadが奪ってきているようですが、さもありなんという感じです。

ほんと、どこの業界もマーケティングの世界で起こることは一緒ですね。

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2011年2月10日 (木)

スマートフォンに見るマーケティング

以前の記事でAudibleにハマっていることをすでに書きましたが、Audibleが聞けてかつ倍速再生の音が奇麗に聴けるMP3プレイヤーを探す旅の終着駅がOlympusのUS市場機種であったことは、個人的に非常に考えさせられる事例でした。

USで成り立っているAudiobookの市場において、日本人の当方を満足させる倍速再生の機能を最高に満たす機種が日本の会社のものであったこと、そしてこのような技術力で段違いのハイレベルな力を見せつけてくれるOlympusやSonyが世界のMP3プレイヤーの分野で全く主流になれないこと、またこれらの技術力では両社の足元にも及ばないだろうと思われるAppleのipod touchが、圧倒的な楽しさで間違いなくこの世界の勝者になるだろうと(個人的に)思えること。これらすべてが自分にとって非常に考えさせられる事例となりました。

Audibleを快適に聴ける機種を探す中でうっかり買ってしまったipod touchは、その目的では当方は全く使っておらず、前出の通り、当該目的では私はOlympusのUS機種を使って毎日Audibleを堪能しています。しかしながら、ipod touchは使用してみると、それ以外の目的でもマルチに使える非常に便利な道具であることを思い知りました。私が今、ipod touchで使っている機能等を挙げると以下の通りになります。

・映画のレンタル・購入

・USTVドラマやアニメのレンタル・購入

・世界株式市場等のチェック

・面白いポッドキャストを探す

・電子書籍を読む

・ゲーム(主に子供が活用してますが)

・YouTubeを見る

・その他便利なアプリの利用

一言で言って、「使って楽しい」道具です。また、便利な数多くのアプリで使う人の数だけ違う携帯便利マシンに変身します。これは単なるMP3プレーヤーではなく、全く別の1カテゴリーを占める商品だと思います。

私はiphoneは持っていませんし、これからも買うつもりもないですが、iphoneが売れる理由は、ipod touchを持ったことでいやというほどわかりました。

また、今、巷をしきりに騒がせているスマートフォンの市場競争が、単なる端末販売競争ではなく、実際はプラットフォームをめぐる争いなのだろうというふうに私は見ています。アプリ、ゲーム、映画、TVドラマ、Audiobook、電子書籍といった将来市場を制覇する会社が、将来の端末販売のハード収入をはじめとして、その他付随してくるさまざまな市場からの収入により繁栄していくのだろうと、私は予想しています。少なくとも、Appleはそのことをおもいっきり意識した上で行動していると感じますし、また、この観点では今のところ、AppleはGoogleをはじめとする競合他社のはるか先を行っていると思っています。

こういう観点でスマートフォンに関係するニュースを毎日見ていると、これは生きたマーケティング教材だなとつくづく思います。

また、この観点で考えると、最近のスマートフォンのOSシェアの各社占率を取り上げている新聞記事はある意味本質をはずしていて、この市場の競争が、さまざまなコンテンツを提供するためのプラットフォーム競争だと思えば、当然のことながらApple機種で考えればiphone+ipod touch+ipadが市場シェアを考えるときの基準になるだろうと思います。また、ノキアのシンビアンがいまだこの携帯OSシェアNo1であったとしても、現在および将来のお客が当該OSを、さまざまなコンテンツを入手、消費するためのプラットフォームとして認識しないのであれば、当該OSをiOSやAndroid等と競合する同列のOSとして考えること自体が、ある意味筋違いなのではと考えます。

上記は、単なる一素人のつぶやきにすぎず、投資等の参考にするには耐えられないものだと思いますので、読まれた方は話半分以下と思っていただければと思います。

ただ、個人的には、上記の認識に1年前や2年前にたどりついていたとしたら、間違いなくその時点でAppleの株式を大量購入していたと思います。何度考えても、残念でならないです。後から悔んでもしょうがないので、毎日ipod touchを使い倒して楽しむことで良しとしておきましょうか。

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