投資信託

2016年3月30日 (水)

ファンドの現金部分に手数料 ー マイナス金利の影響

投資信託の現金部分から手数料が徴収されることになるようです。

本日の日経新聞夕刊の一面にちょっと小さいですが記事が載っています。

この記事によると、信託銀行が提供する「特定金銭信託」と呼ばれる預金口座に、例えば三菱UFJ信託であれば0.06%の手数料を徴収するとのことです。4月中旬から適用とのことです。記事にははっきり書かれていないようにも見えますが、ファンドが運用する資金の現金の部分の運用が影響を受けるとのことですので、ファンドの余資の運用資金がこの信託銀行の提供する「特定金銭信託」に行っていて、そのせいでファンド運用の現金部分に手数料がかかるという風に読めます。

これも記事によれば、従来、信託銀行はコール市場で余資を運用していたが、マイナス金利政策適用以降の利回り低下で、日銀当座預金への預け入れを増やしたとのことです。
通常は、ファンドの現金保有部分はごく一部ですので、基準価格等に目に見えて影響が現れることはないものと推測されますが、個人へのマイナス金利の影響が現れ始めていると読めますね。

昨日だったか、同じ日経新聞でCitiのエコノミストの方が、理論的にはこのマイナス金利は、現金保管コストに相当する水準と同水準のマイナス0.5%からマイナス1.0%程度にはなり得るとの見解を示していたように思いますが、いずれマイナス金利がそういった意味あるオーダーの水準になっていく可能性を考えたら、将来の運用の世界はもしかすると今までの常識とはかなり異なる世界になっているかもしれません。

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2013年3月24日 (日)

Wisdomtree四半期配当

また配当金再投資の季節です。WisdomtreeのETFにも配当が出ています。

http://www.wisdomtree.com/about/pdf/2013/WisdomTree-ETFs-Declare-Distributions-985.pdf

US市場が投資対象のものは毎月配当に変わっているみたいですね。

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2012年9月25日 (火)

WisdomtreeETF 四半期配当

また、四半期配当の季節です。あやうく忘れるところでした。

http://www.wisdomtree.com/about/pdf/WisdomTree--875.pdf

また、しっかりと配当再投資を行っておきます。

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2012年6月26日 (火)

WisdomTreeETFの四半期配当

また、四半期配当の季節がやってきました。WisdomTreeのETF群も配当が出ています。

http://www.wisdomtree.com/about/pdf/WisdomTree-ETFs_DeclareQuarterly_Distributions-850.pdf

また、例によってしっかり再投資しておきます。

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2012年5月 4日 (金)

アマゾンのタブレットビジネス(たぶん最終)その他

ゴールデンウィーク真っ最中です。また、日本はお休みの真っ最中に、ある意味非常に興味深く、また個人的にはある意味かなり残念なニュースがUSでありました。

http://finance.yahoo.com/news/amazons-kindle-fire-shipments-slump-194956206.html

アマゾンのKindle Fireの直近四半期売り上げシェアが、4Qの17%弱から1Qは4%へガタ落ちとのことです。アマゾンは公式にはKindle Fire等の売上台数を公開していないので、どのような調査ベースの数字なのかわかりませんが、記事を読む限り、信憑性はありそうです。

数字上、このアマゾンのKindle Fire減がそのままAppleのiPadのタブレット内シェア上昇につながっている格好です。

これだけでも、事実は小説より奇なりという話だと思いますが、以下の記事もそれに負けず劣らずインパクトがあります。

http://seekingalpha.com/article/557151-kindle-sales-plunge-made-amazon-com-s-gross-margin-look-better?source=yahoo

アマゾンのKindle E-ReaderのE Inkスクリーンの発注情報からは、アマゾンのKindle E-Readerの売り上げのガタ落ちが推察されるとの記事です。アマゾンの4Qでのスクリーン発注が結果的に多すぎて、次Qである1Q以降の4カ月間で全く発注がなかったということのようです。

この2つの記事と情報がおおむね正しいとすれば、アマゾンに起こったことは、下記のような感じかと想像します。
1.昨年の4QでKindle Fireを引っ提げてクリスマスシーズンの販売に臨んだが、アマゾンの経営陣の想定を大きく逸脱するKindle FireとKindle E-Readerのカニバリで、まずKindle E-Readerの売り上げがガタ落ちとなった。
2.4QのKindle E-Readerの売れ残り分は翌年1Q分の販売に回されたが、1Q以降にスクリーン発注が再開されなかったことから、売れ残り分は販売減少後の四半期売上水準に比してかなり多そう。
3.それだけではなく、1QではKindle E-Readerと売上がカニばっているはずのKindle Fireの売上もガタ落ちになった。

もし、Kindle E-Readerを買っていた顧客が4QではKindle Fireを買っていたのに、1Q以降ではKindle Fireを買わなくなったとすれば、もともとのKindle E-Readerのニーズが今は社外流出している可能性が高いと思います。

なので上記の情報がある程度正しいとすると、今足元のアマゾンのKindle Fire+Kindle E-Readerの売り上げは、もしかすると、Kindle E-Readerのみを販売していたときより却って減少しているかもしれません。

Kindle FireがKindle E-Readerを殺し、そのKindle Fireがたった3カ月で急激に失速するとは、アマゾンにとってこれ以上ない最悪のシナリオです。どこまでこの姿が正しいかは不明ですが、どう転んでも間違いなく経営上は、良い状態ではないと思います。

タブレットがE-Readerを食う姿は、スマートフォンがミュージックプレーヤーやデジカメを食う姿に似て、ある意味必然かもしれませんので、これ自体はいたしかたないと思いますが、E-Readerを食って大きく成長していくはずのKindle Fireタブレットが急失速しているとしたら、アマゾンはただただ、自身でE-Reader市場の死期を早めただけになってしまいます。

もともとが、AppleやGoogleに新しいタブレットデバイスを制されて、将来の有望市場である電子書籍、ミュージック、ビデオ、クラウドといった各市場を牛耳られてしまうことに懸念があって踏みこんだタブレットの世界だったのだろうに、ここまで経営判断が裏目に出るとは。

まさに、事実は小説より奇なりを地でいくような話です。

タブレット市場に話を戻すと、Kindle Fireがたった3カ月でシェアが17%から4%に落ちてしまうほど、急激に売れなくなってしまっているとしたら、この商品の将来性は疑問どころか、ほとんど希望を見いだせないと思います。製造原価を割り込んでの販売で、早くも需要側の天井がやってきたわけですから、マーケットの需要の弱さは深刻です。単純にかつ乱暴に表現して、250ドルかけないと作れないものが、200ドルで販売されていても、もはや客が集まらないとすれば、これまでの販売済みのお客はこれを50ドル(あるいはそれ以上)の得と考えたのに、これから直面する多くの客はこれを付加価値マイナスの行為、すなわち損失と考えることを意味するのだろうと思いますので、アマゾンが作り出したKindle Fire商品でのプロポジションがいかにニーズの小さい商品だったのかということになると思います。

例えば3Gをつけたり、画面を10インチにしたりといった単純な改善策で事態が改善するなら良いのですが、そういう端末をも擁するモトローラ、サムソン、ソニーといったその他の企業群がタブレット販売全般で一様に苦しんでいるのですから、これらの単純な策が解決策になる可能性は低く、アマゾン経営陣にとって事態はかなり深刻である可能性が高いと思います。

ここまで、アマゾンのタブレットビジネスを注目してきましたが、そこで考慮したアマゾンの資本制約すら心配の必要がないほど、売上が立たない状況に急速に直面している感じです。コンピュータの専門会社ではないアマゾンがこの事態を改善させる有効な策、例えば商品のカスタマーエクスペリエンス向上等といった手立てをどれだけ有効に行えるかはかなり個人的には疑問に思っていますので、上記の状況に間違いなければ、当面はタブレット市場発展のキーとしてのアマゾンの重要性は落ちたと判断します。

これら一連の要素のおかげで、すなわちKindle E-ReaderもKindle Fireも売れなかったため、初期負担が少なく、直近のアマゾンの四半期決算での内容は投資家予想より良かった可能性が高く、これはある意味とても皮肉な結果です。アマゾンが見た、将来の自身のビジネス展開に必要なビークルにおいての戦略的なムーブメントが見事に失敗に陥っており、このままではアマゾン経営陣が忌避し、回避しようとした未来がやってくる可能性が著しく高くなってしまっているのですから。

今アマゾンの株価は実績PERにして190倍とか、とんでもない水準で取引されており、なおかつ直近四半期決算での投資家予想を上回る利益で、Kindle Fireをはじめとする端末販売によるコンテンツ売上増をはやしてか、足元で株価上昇しています。しかしながら、上のような情報が事実をある程度的確にとらえているとしたら、コンテンツ販売増どころか、何百億かのタブレット初期投資が回収できるかどうかが暗礁に乗り上げているのみならず、将来端末エコシステムを牛耳られる他社の顔色をうかがいながらのコンテンツ販売を強いられることとなるアマゾンの将来はお先真っ暗というリスク満載の足元状況かと思います。

この状況でPER190倍とか買い上げられる投資家の神経は、少なくとも私には全く理解不能ですが、素直に、わからないものには近づかないようにしておこうと思います。

今、アマゾンKindle Fire対抗商品でサムソンをはじめ、Androidお膝元Googleまでもが、格安タブレットで勝負しようとやっきになっているところでこの事態です。各社、どうするのでしょうか?もはや、いきなりニーズの底が見えたカテゴリーでも、車は急には止まれず、Android各社入り混じった泥仕合がここからも見られるのでしょうか?

上記のアマゾンに関する情報は、また例によって連休中のため、日本語の記事を私はまだ目にしておらず、連休後に翻訳され日本に紹介されるホットな情報ではないかと思います。(たぶん2番目の記事のような、裏で本当に起こっているかもしれないことに触る記事は日本では出現しないだろうと思いますが。)前もそうでしたが、この手のパターン、多いですね。

また、会社が積極的に売上台数等の情報開示しないケースにおいては、いかにそこに悪い情報が隠されていることが多いかということを改めて強く認識させる事例です。ほんと、何の売上情報も出さず、好調です、経営陣は満足してますって言う会社、多いですから。

他の話題ですが、昨日、サムソンが次世代スマートフォンの発表を行ったようで、記事を斜め読みしたところでは、AppleがiPhone4S等で導入した、Siri, iTunes Match, iCloudに相当する機能を有するとのこと。外観ではなく、今度はソフトの分野でのMeTooコピーがこの業界で進行しているようです。

この手の追随会社の無批判にも思えるレミングのような追随行動は、どこの市場でも見られる姿かと思います。このブログで散々見てきた投資商品系の世界でも、グロソブ、2重通貨建預金、ブラジル通貨ヘッジ等をはじめとする、山ほどのはやりの商品形が、レミングのように行列を成して各社に追随され、一方向に業界商品が流れていく姿がまだ記憶に新しいことと思います。

で、結局最初に新しい市場を確立した先駆者しかまともに利益が出せないパターンも、まるで一緒かと思います。

マーケットは人間が作り出すものであるだけに、どの業界でも似たようなパターンになるのでしょうね。

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2012年4月 2日 (月)

WisdomTreeETFの四半期配当

ちょっと出遅れましたが、また四半期配当の季節です。
WisdomTreeのETFも直近、配当が出ていますね。
http://www.wisdomtree.com/about/pdf/WisdomTree-ETFs_Declare_Quarterly_Distributions_3_23_12-823.pdf
また、配当金再投資をしておきます。

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2012年3月18日 (日)

レバレッジETF取り扱い-東京証券取引所

東証で4月からレバレッジ型のETFを取り扱うそうです。

http://news.nifty.com/cs/economy/economyalldetail/yomiuri-20120318-00246/1.htm

US市場ではとくに目新しいものでもないので、日本での取り扱い開始について特にコメントは無いですが、このタイプの商品や投資について注意事項等を探している方は、当ブログの過去エントリーへの以下のリンクが役に立つのではないかと思います。

http://max999.cocolog-nifty.com/blog/2008/12/post-391f.html

http://max999.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/ultrashortetf-c.html

ご参考まで。

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2012年3月 3日 (土)

TD AmeriTradeのiPad用アプリを試す

TD AmeriTradeのHPを見ていたら、この会社のiPad用のアプリがあることに気づき、さっそくAppStoreに行ってダウンロードし、使ってみました。

問題なくログイン出来て、注文を出すところまではしていませんが、それも問題なく出来そうな感じでした。iPadなのでインターネット上の通常のHPからログインして証券口座にアクセスすることもできるのですが、このアプリ経由のやりとりもiPadに最適化されているので、iPadから証券口座にアクセスするときどちらを使うか、迷うところです。

一点気づいたのが、HP経由のときのセキュリティ目的の追加の質問回答入力プロセスが、今のところこのアプリ経由では存在しないようです。これも、将来装備されるかもしれません。

自分が使用しないので国内事情は非常に疎いのですが、銀行や証券等のタブレット対応も着実に進んでいるのでしょうね。以前のエントリーで書いたことがどんどん現実の姿として目の前に現れてきます。

http://max999.cocolog-nifty.com/blog/2011/04/ibaccountmanage.html

来週、正式な発表があると予想されているiPad3ですが、事前の下馬評では、レティナディスプレーなのは固そうです。最近、日経新聞のiPad用アプリが出来て、新聞をまるまる持ち出せるようになりましたので、iPad3が販売開始されたら今度は3Gバージョンを購入して、外で思う存分、新聞を読みたいと考えています。視認性の高い9.7インチタブレットと非常に精細なディスプレイ表示のレティナの組み合わせは、このような使い方に完全フィットしそうで、今から楽しみです。

もう紙の新聞はいらない感じです。良い時代に生まれたものです。

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2012年2月11日 (土)

株価指数より値動き小さい上場投信(その2)

標題の件、その1で資産全体のボラティリティを常に一定にコントロールする形の新しいETFについてのエントリーを書きましたが、その中で「個人的に検証した範囲では、リーマンショックのような急激かつ短期間の下げの場合に有利で、逆に日本のバブル崩壊のように非常に長期のダラダラした下げときに不利な投資のしくみ」であると書きました。

これに関して、少々の追加と個人的に思うことをもうちょっと書いてみようと思います。

上記の投資のしくみは長期のダラダラした下げに弱いだけでなく、今のようなリーマンショックという大クラッシュ後の気迷い相場にも、おそらくは弱いと思います。今のような市場環境では、ボラティリティが下がりリスク資産に傾けたら市場の下げにあい、それでボラティリティが上がってリスク資産から引き上げたら市場が戻してしまう、往復の逆ビンタを食らいがちです。

逆に、しくみ上、万人がいけいけの右肩上がり相場にはたぶん強いのではと思います。市場が好調なときは、安定的にボラティティティが下がり、リスク資産に多くのアロケーションを置くことになるからです。

つまり、この投資のしくみに投資すると、高確率で、これからのぐずぐず相場の往復びんたを我慢し続け、そのあとにやってくるいけいけ右肩上がり相場と市場の大クラッシュでその我慢の見返りを得るという感じになると思います。

言葉にすると簡単な話ですが、これは実際にやると、たぶんおそろしい苦行になるのではないでしょうか。たぶん、ほとんどの人はこの投資方法が報われる時期が来る前に、往復ビンタにより市場から置いていかれ続けることに我慢できず、途中で辞めちゃうことになるのではないかと想像します。

個人的には、これもある意味、一種のバックミラー投資に近いんじゃないかと思います。リーマンショックを食らった後で、リーマンショック前後のような特殊な状況のときに有利な投資のしくみを選んでしまうことになっていると思います。これでは、その後の全く異なる市場環境において、長期に裏目を引き続けてしまい、あきらめて報われる前にこの投資法をやめてしまうと、リスク資産に投資するにもかかわらず、リスク資産からの適切な無リスク資産超過リターンを得ることに失敗してしまう可能性が高いと思います。

バックミラー投資にもいろいろあります。バリュー株式ビークルへの投資も、バリュー株が調子悪くなったことを見た後でバリュー株式ビークルへの投資を減らし、調子が良くなってきたのを数字で確認した上でバリュー株式ビークルへの投資を増やしたりすると、同じようなバックミラー投資行動で、リスク資産に対するリターンを毀損してしまいます。この種のことは、昔も当ブログで取り上げ、ヒストリカルな実際データを用いて、この起こり得る現象を示しました。興味ある方は以下のリンクをご覧ください。

http://max999.cocolog-nifty.com/blog/2007/05/post_1b95.html

いずれにせよ、個人的にはバックミラー投資は厳禁として、これを行わないように心がけています。ボラティリティをコントロールした投資をこの時期に始めることも、私にとってはバックミラー投資で、個人的にこの手の投資商品に手を出すつもりはありません。

それでは、良い休日を!

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2012年2月 5日 (日)

株価指数より値動き小さい上場投信

日経電子版に標題のETF新商品記事が出ています。

http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C889DE1EAE7E4EAE3EAE2E2E6E2E0E0E2E3E09797EAE2E2E2

さっそくこの記事に出ているETFの基になっている東証の指数がどんなものか見てきました。

指数構成方法をざっと読んで当方が理解した範囲では、この指数は配当込みTOPIXとキャッシュに投資され、TOPIXへの投資割合は、当該TOPIX指数の直近100日間の年率換算ボラティリティを基に、全体投資資産のボラティリティ値を事前に定めた一定率(例えば5%等)に保つように決められ、継続的、動的にこの割合がリバランスされていくしくみのようです。計算式から、おそらくはこのTOPIXへの投資割合はDailyでリバランスされるのでしょう。(素人の斜め読みでの解釈ですので、もし上記認識に間違いがありましたら、ご容赦願います。)

いわゆるリスク資産に対するボラティリティコントロールの仕組みで、例えば直近100日間のヒストリカルボラティリティ(年率換算)が20%であれば、上記の変動率5%の指数上では、TOPIXに25%、キャッシュに75%投資されることになります。大体、日本株式の平均的な年率ボラティリティ数値が20%前後ですので、資産の4分の1が日本株式に、4分の3がキャッシュに投資されるのが、この指数の平時の姿だろうと思います。

他方、リーマンショック後のような特殊な状況では、直近100日間のヒストリカルボラティリティは40%とか50%等になり得ますので、仮にこの値が50%となったときには、当該指数に基づく投資アロケーションは、TOPIX10%、キャッシュ90%となると思います。

上記の記述で、この新しいETFの内容がイメージ出来ましたでしょうか?こういう定性的な情報で、この商品を買うとどんな投資ビークルに投資することになるのか判断するのは、結構、難しいと思います。

たぶん、この投資行動を取ると結果がどうなるのか、どんなときに有利でどんなときに不利な投資行動であるのかを定量的に見ることなしに、このタイプの商品の良しあしを判断することは、困難を極めると思います。

なので、非常に限定的ながら、当方の経験の範囲で書けることを書いてみようと思います。また、個人的にこのタイプの商品について思うことも。

当方、TOPIXやその他世界の株式指数について、上記のボラティリティコントロールの仕組みのパフォーマンスを簡易試算した結果を、伝統的な固定比率のアロケーション投資と比較してみたことがあります。この比較も、フェアに比較する方法についてよく考えると結構難しく、悩みどころなのですが、そのときは以下の通りの比較をしました。

まず、一定間隔のヒストリカルボラティリティ測定により、上記ETFのような総資産のボラティリティを一定率に保つようなデイリーリバランスを施した場合の指数の長期リターンを算出して、この計算で明らかになる、当該投資方法に基づく過去の平均的な株式指数への投資割合を算出します。そして、仮に最初からその比率で固定したアロケーションで株式指数とキャッシュに投資し続けていたらどうなっていたかを算出して、ボラティリティコントロールした投資結果と比較しました。

その結果は、結構特徴のある内容でした。リーマンショック時のような、急激かつ短期間に大きく下落する市場のときは、上記ETF指数のような、ボラティリティコントロールを施した指数の方がよい結果が得られ、逆に日本のバブル崩壊のような、非常に長期にわたってだらだら下げ続ける市場では、スタティックなアロケーションでのリスク資産投資の方が結果が良かったのです。

個人的な、かつかなり限定的な試算結果ですので、興味ある方は自身での計算や調査、考察等をおすすめしますが、上記の結果に対する当方の解釈は、短期的な市場のクラッシュでは、直近の過去のボラティリティ水準が情報として意味を持つが、非常に長期の構造的な下げの最中においては、直近のボラティリティ水準自体がある意味情報として意味を持たないのだと解釈しています。

ここからは、個人的な好き好きも含んだ個人的意見ですが、当方はこのタイプの商品には投資する気はないです。投資行動として、直近下げを見てリスク資産をたたき売り、直近上げでボラティリティが落ち着いてから、またぞろ投資をはじめることになる投資のしくみが、まさに素人っぽい安値売り、高値買い投資行動だということ(この安値売り、高値買い投資行動自体は、レバレッジ型ETFのしくみと本質的には同等だと思います。)もありますが、それとは別に、このしくみにまつわる本源的な考え方がどうにも好きじゃないのです。

こういう投資のアイディア自体が、投資はその投資先の株式会社の営業活動によって得られた株主に対するリターンを得る行為なのだという、本質的なスタート地点の考え方を否定しているように思えるのです。このアイディア自体が、投資は投資先からリターンを得るものではなく、それを売り買いする市場でうまく立ち回ることにより超過リターンを得るものといった発想が根元にあるように思えてなりません。

一般にはあまりこれは言及されることはないですが、長期投資の意味の1つとして、株式投資のリターンは株式市場から得るのではなく、株主配当や自社株買い償却といった手段で、投資先の株式会社から得るためという、重要な意味があると思います。株式投資のリターンを株式市場から得ようとすると、ミスターマーケットの気分でその行為の勝ち負けは定まり、株式市場に出入りする摩擦等によって、半数をはるかに超える人々が、構造的に負け組になります(ベンチマークに負けるということです)。上記のETF商品に投資することによって、圧倒的に負け組になりやすい投資行動の世界での、勝ち組になるための挑戦をすることになるのではないかと思います。ボラティリティコントロールのロジックにより、原理的に不利な世界での勝者になることにベットするのは、私は勘弁願いたいです。

自身の限定的な試算でも、どちらに転ぶかは非常に怪しいベットだと思いますし、株式市場は市場参加者の将来行動によって過去の試算自体も通用しなくなる構造の世界ですし。市場でこのボラティリティコントロール投資をすると、市場での売買が自然に多くなるこの投資行動で証券業界が利益を得るだろうことは確かですが、投資家自身はその分だけ不利になるだろうことも見逃せません。構造上、東証のこの投資指数よりも実際のパフォーマンスが悪くなるだろうことも、やってみるまでもなく明らかなことでしょう。

いずれにせよ、日本のETF商品の世界も、いろいろ考えなければならない時代に入ってきているようですね。

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