10月からでしたか、金融商品取引法が金融機関に適用されて、金融機関、特に銀行での投資信託の販売が、がた落ちになっているというニュースや記事を最近よく目にします。
これについて、主に投資信託の販売が落ちて手数料収入が減少している、銀行をはじめとする金融機関からでしょうが、恨み節もちらほら混ざっているような気がします。
今日は、このテーマについて、個人的に思うことを書いてみたいと思います。
個人的には、この金融商品取引法の適用で、手数料収入や販売高が激減した金融機関が、この法律や金融当局に文句を言うのは、筋違いではないかと思います。
というのは、こんな規制が出来た原因は、金融機関自身にあると私は思うからです。
「火の無いところに煙は立たない」と言いますが、今回の場合も、規制の必要のないところに無駄な規制ができたわけではないと思います。
例えば、グロソブを、年4.8%の金利が保証された預金のようなものと誤解して、定期預金資金を当てて購入したお年寄り等、世の中にたくさんいるのではないかと思います。「有利な預金商品だと思って購入した。」「元本割れの可能性があるなんて聞いていなかった。」などという事例が、おそらくは山のようにあるのではないでしょうか。
それ以外にも、仕組預金やら、デュアルカレンシー債やら、日経平均リンク債など、最近の銀行の所業は、証券会社も真っ青という感じがします。これは、金融知識の劣る個人を狙った、金融情報格差と金融リテラシー格差をついた、ある種詐欺的な商法だと、私は考えています。
というのは、以前にもさんざんこの手の商品の手口を当ブログで触れていますが、「わかりやすい高金利等のメリットをうたい、その代わりに生じるオプション性の確率的で不利な仕組みをわかりにくい形で混入させ、その有利性と不利性のトレードオフの判断のつかない一般消費者を、その有利性の側を強調することで釣るという手口が、上記に挙げた商品群の共通する一般形だからです。
昔から、証券会社はこのような仕組みの商品、すなわち不利な部分はオプションで仕組んで、その不利性をお客に定量的につかませないように設計するのは得意だったと思います。その結果が、長期においては、自らの行動によりお客を失い、商売が立ち行かなくなり、行き詰る結果につながったものと思います。
ずいぶん昔に、確か日興が、「これからは資産管理ビジネスを指向します。お客を食い物にして栄える、回転売買ビジネスは止めます。」なんてキャンペーンを大々的にやったように思いますが、お客を食い物にするビジネスはたいてい、最後にはどんなだまし商品を売りつけようとしても、その金融機関の商品であるというだけで、だれも見向きもしてくれなくなって行き詰ります。
銀行も、昔の証券会社のたどった道と同じ道をたどっていると思います。その究極な到達点にまでたどり着くのかどうかはわかりませんが、銀行をはじめとする金融機関が、自らで自らを律することができず、お客をはめ込む商売を競ってやっているから、金融当局が新たな規制をはめ込むのだと思います。
およそ規制というものは必要悪で、無ければ無いに越したことはないのですが、それがなければ、金融知識弱者、金融情報弱者なお客が一方的に搾取されるという不利益が生じ、それがそのような規制が新たに生み出す不利益よりも重要だからこそ、その前者の不利益を解消するための法的なしくみとしての規制が必要となるのだと思います。
また、放っておけば、この手のビジネスは、市場自体が金融商品のだましの手口に慣れてくるため、どんどんその手口が高度化していく宿命にあります。つまり、そのような高度化される手口にあわせ、そのような新たな形でだまされることのないように、あらかじめ金融機関が説明しなければならないポイントやその方法等が、変化したり追加されたりしていくのが必然だと思います。
すなわち、金融商品販売において、説明しなければならないことが増えていくだろうことも、あらかじめ説明しなければならないポイントが法令上、完全にクリアになっていないだろうことも、そういった規制の隙間狙いでお客の錯誤を狙った商売をしている限り、必然的に起こる結果だと思います。
要は、「金融機関は自分で自分の足かせを生じさせたのにもかかわらず、それに文句を言っている」ように私には感じられます。
こういうことは、日本のみで起こっているわけではなく、海外の先進国でも、自業自得で銀行ががんじがらめの規制を受け、かつ銀行から金融商品を買うものではない(だまされるから)という、国民のコンセンサスがある国も存在しているようです。
結局、お客が錯誤しても、損しても、自分さえ儲かればよい、今売上や手数料が稼げれば、後のことは知ったことじゃないという金融機関が、自ら将来の困難を招いているのだと思います。
銀行をはじめとする金融機関は、金融商品取引法を、どこか外部から降ってきた不運と考えることなく、自らのやってきたことを十分省みた上で、これからの自身の商売の方向性をきちんと定めていって欲しいものです。「銀行からは金融商品は買わないのが常識」などという国民のコンセンサスが出来上がる前に。
『数ヶ月前から拝読させていただいてます。「インフレの芽?」もとても興味深いです。さわかみ氏ははっきりと「これからインフレになるから、今は株を買うべし。」とレポートで断言調。
初心者質問で恐縮ですが、まだら模様でインフレとなると、物価連動国債ファンドはどのように捉えたらよろしいのでしょうか。分散候補の一つに「未来予想」というファンドもどうかと考えていたのですが・・。宜しくお願いします。』
物価連動国債は、庶民の必要生活物資の物価だけを捕らえることはできず、全体の物価しか捕らえられないと思いますので、このようなまだら模様のインフレをヘッジすることは残念ながらできないと思います。
また、日本国の発行する物価連動国債は、元本保証がない、すなわち、発行時よりも償還時のCPIが小さくなっていると、償還金が元本を割ってしまうという、他の先進各国のインフレ連動国債にはない、不利な特徴があります。
澤上氏の想定されているかもしれない、全体物価が明らかに上昇していくようなはっきりした将来インフレであれば、そんな心配をする必要はないと思いますが、現状のCPIはゼロ近辺を這っている状況だと思いますので、今のところはなかなか日本の物価連動国債ファンドは妙味が薄いのではと、個人的には感じます。
ただし、今起こっている物価値上げは、主に石油価格や資源、穀物など原材料価格の上昇が起因となっているように見えます。日本企業も売上減少につながりそうでずっと値上げができずにがまんしていたのが、とうとう耐えられずに次々と値上げに走り始めているように見えます。
もともとが、主に中国やその他の新興国の台頭によってこれら価格上昇がもたらされており、またこれからは、これら新興国は経済力の高まった新興消費国としても台頭してくるものと思います。このような背景を考えると、物価上昇の流れはこれからも止まらず、広範囲に広がり、加速していく可能性が十分あり得ると思います。
内外株式を少しでも含んだポートフォリオを構築し、長期に持続する、伝統的なインフレヘッジのための